「元気な厚木」実現へ改革に邁進中! 就任6ヶ月目の小林市長へインタビュー

 市長に就任してから6カ月目に入る小林市長に、「元気なあつぎ」 実現のため、庁内大改革、中心市街地の活性化、市立病院や中間処理施設問題など改革の現状について聞いてみました(聞き手は山本耀暉編集長)

 ■市長に就任して6カ月目に入ります。これまでのご感想をお聞かせ下さい。
 
小林市長 時が経つほど行政課題の多さ、質の重さというものを感じます。私は「元気な厚木」の実現には「元気な市役所」「元気な職員」をつくっていくことが第一歩であると考えていますので、情報公開や職員の意識改革を含めた「庁内の大改革」に取り組んでいます。
 ■職員の意識改革はどの程度進んでいますか。
 
小林市長 職員には責任は市長である私が取りますから、失敗を恐れずにチャレンジャーとして攻めの気持で仕事をやって欲しいと指示しています。
 まず始めたのが「HASSIN、ミーティング」です。これは朝8時半から私と副市長、教育長、理事、市政企画部長の5人で行うミーティングです。理事者間の意思の疎通を深め、情報を共有化する、意識統一を図るというのが目的です。このHASSINというのは、私から情報を「発信」し、職員の共通認識を深めるという意味、もう1つは朝一番から元気に「発進」しよういという2つの意味があります。
 次に始めたのが部長との「元気メール」です。これも情報の共有化と幹部の意識改革を目的に実施しているもので、内容は「理事者を含めた部長間のメーリングリスト」です。役所の弊害に「縦割り行政」があります。自分の所管でない課題については誰も口を出さないし、解決策も示さない。部長は所管の責任者であることはもちろんですが、同時に市の幹部ですから、市全体の課題を把握し、自らの視点で解決策を提案することが求められています。例えば医師不足の問題、待機児童の問題など、所管部だけで考えていると斬新な発想が出てきません。職員一丸となって問題解決に取り組んでいく姿勢を示すために始めたものです。
  3つ目は若手職員との「市長ミーティング」です。月に1回、普段あまり顔を合わさない職員、特に若手職員に私という人間を理解してもらうと同時に行政のトップである市長という役職の敷居を下げ、職員のモチベーションを上げることを目的に始めたものです。職員の生の声を聞くことは、私自身の意識改革にもつながります。これまで多い時には1回に23人の職員が参加しました。
 このほか、市が抱えている最重要課題解決に向け、庁内の横割り組織として、やる気のある職員を中心に「特別推進チーム」を設置しました。今回は中心市街地の活性化施策、産業用地確保を含めた企業誘致の支援施策、地域運営の仕組みと拠点施設の3つを取り上げ、具体的に検討していくことにしています。 
 今後は部長が具体的な目標を掲げ、達成目標について市長と契約する「目標宣言制度」を立ち上げるほか、「民間有識者会議」の設置についても検討を進めたいと考えています。それから、新たな市民対話として、市民の生の声をお聴きする「市長のぶらり訪問トーク」と「市長の移動談話室」をスタートさせました。
 ■特別職の人事についてはどのようにお考えですか。
 
小林市長 事業の見直しの中では組織改革が必要な分野も出てきました。来年4月に向けての機構改革も考えていますので、それも念頭に考えていきたい。副市長については現在1つが空席、教育長も9月で任期を迎えます。特別職は一般職員と異なって本人のお気持ちもありますし、どういう方がいいのか、サプライズなものになるのか、経験を考えて安定した形がいいのか、若手で刷新した人事がいいのか、能力や経験、意識の問題もありますので、いろいろな角度から考え対応していきたいと考えています。
 ■市立病院の産婦人科が8月から診療休止になります。医師確保の見通しについてはいかがですか。
 
小林市長 医師の確保については大変申し訳ないのですが、明確にいつまでにというお約束をできる状況にはありません。ご承知のように産婦人科は勤務時間が大変過酷です。24時間体制で交代勤務、そして医療事故というリスク医療への対応も常に考えていかなければなりません。
 まずやらなければいけないのは職場環境の改善です。単に高い給与を出せばいいという問題ではありませんが、新たな手当の創設についても検討する必要があるでしょう。診療科ごとの医師や看護師の定員の見直しも必要ですし、公立病院としての使命と責任を持ってやっていただける人材を確保しなければなりませんので、他の大学機関や医師会など他方面にも協力をお願いして、できるだけ早い時期に診療を再開できるよう努力してまいりたい。
 ■3月に、市立病院の将来像を示した「整備計画素案」が発表されましたが、素案そのものの見直しも必要ではありませんか。
 
小林市長 「救急医療」「小児・周産期医療」「がん医療」「地域医療連携」「予防医療」「災害医療」の6つが整備計画素案の重点目標ですが、運営形態をどうするか、公と民の病院の責任分担のあり方や病診連携の問題もあります。2次医療機関として何が大切かということを考えると、メニューの検討も必要かと思います。将来の場所の問題も関係してきますので、公立病院としての機能と役(4面に続く)
割をさらに絞り込み、運営形態をどうするかという基本的な点もつめていかなければと思っています。
 ■ごみの中間処理施設の建設候補地問題が暗礁に乗り上げています。棚沢との話し合いはいつごろになるのでしょうか。
 
小林市長 まず行政への不信感を払拭させていただくために、これまでの経過も含めて、信頼関係を構築できるよう「陳謝と説明」をしていかなければと思っています。話し合いを持つという市の行動がまだともなっておりませんので、8月中にはそういう機会を持ちたいということで、地元の皆様との間で調整を行っているところです。
 ■棚沢を候補地にするという考えは基本的に変わらないのでしょうか、それともそれ以前の4箇所の作業レベルまで戻して仕切直しをされるのでしょうか。
 
小林市長 考え方はいろいろあると思いますが、それ以前の問題として行政に対する不信感があるわけですから、棚沢を候補地に選定したというこれまでの経過の説明はきちんとしなければいけません。まずそこからがスタートになると思います。市側に地元への説明手続きが早急であったことを素直に反省陳謝し、また必要な説明もさせていただくということです。
 建設が遅れるということは否めませんが、一方ではもっと減量できないか、資源化率も他の市町村に比べて低いというのが実状ですので、そういう分野も合わせて取り組む必要があると思います。
 ■行政改革に対する取り組みをお聞かせ下さい。
 
小林市長 私は就任してから現在まで、「ゼロベース」で事業を見直すよう指示してきましたが、行政は本当に事業を廃止することが苦手です。スクラップアンドビルドと言いますが、手を変え、品を変え事業を上積みしているだけです。これからの厚木市は斎場整備や中心市街地の再開発、中間処理施設、そして市立病院の建て替えなど大きなプロジェクトが目白押しであるにもかかわらず、相変わらず湯水のごとく経費を支出しています。
 厚木市は財政力があるといわれていますが、このままでは大規模事業のための予算を確保できません。職員には今後とも全力で「ゼロベース」から事業の見直しに取り組むよう指示しています。また、市が実施している事業が、市民サービスとして必要か不要か。必要であれば、行政が実施すべきか民間が実施すべきか。行政が実施すべきものであれば、改善できることはないかなど「事業の仕分け」を、8月18日に市民公開のもとで行います。今年度35事業を対象に行い、結果を平成20年度以降の予算編成やアウトソーシングの推進などに反映していきたいと考えています。
 ■7月13日、市街地中心部に「あつぎにぎわい処」を開設されました。今後の取り組みはいかがですか。
 
小林市長 「あつぎにぎわい処」は、大型店舗の閉店や体感治安の悪化が懸念される中心市街地で、活気やにぎわいを取り戻すのがねらいで、市民や警察と連携して取り組む地域安全活動の拠点「あつぎセーフティーステーション番屋」を合わせて併設したのが特徴です。市民の皆さんに気軽に出入りしていただいて情報交換や市との連携、提案などをしていただければと考えております。
 また、消費者、商業者、学識経験者などが、自ら「市街地にぎわい懇話会」を立ち上げ、厚木のまちを元気にしていくための具体的提案や構想などについて、検討が始まりました。行政もその具現化のためにバックアップしていきたいと考えています。
 ■新総合計画については今後どのように進めていかれますか。
 
小林市長 新総合計画は、平成21年4月から32年度まで12年間のプランになりますが、市民と行政の協働化をさらに進めるべく市民と職員が同じ立場で、同じ目線で市の将来の方向性を創造できるよう公募を含めた市民39人、職員31人からなる合同の検討組織を立ち上げます。
 この中には1明るいまちづくり班、2楽しいまちづくり班、3元気なまちづくり班、4ひらかれたまちづくり班の4つの分科会を置き、今年度意見を集約して提言をいただいたうえで基本構想、基本計画をまとめます。そして20年度に素案をもとにパブリックコメントを実施し、総合計画審議会でご審議いただき、12月議会へ上程する予定です。特に新たな総合計画は「読んでいただく」「身近なものにしていただく」ために、具体的かつ分かりやすいものにしていきたいと考えています。