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当選後、だるまに目を入れ、支持者に手を挙げて応える小林常良氏(2月28日夜・飯山の選挙事務所)

 小林常良氏が圧勝!「多選阻止」で現職破る

 任期満了に伴う厚木市長選は1月28日投開票され、無所属で新人の小林常良氏(57)が、現職で4選を目指す山口巖雄氏(64)=自民・公明推薦=に1万1千票近い大差をつけて圧勝、初当選を果たした。
 同市長選は、自民系保守を2分する保守同士の闘いとなったが、選挙戦は盛り上がらず、投票率は期日前投票を加え、辛うじて前回の市長選より2ポイント上回る45・34%だった(前回43・33%)。
 現職で4選を目指す山口氏は自民党の推薦と公明党の推薦を受け、徹底した組織選挙を展開、亀井衆院議員や堀江県議のほか、保守系、公明合わせて16名の市議、1800を超える推薦団体の支援を受けて盤石の体制を整えた。選挙戦突入後は、財政再建や防災対策などの実績を訴えたが、「多選批判」をスローガンに、情報公開やまちの体感治安対策などを訴えた小林氏が、「現状を変えて欲しい」という有権者の心をつかんで大勝した。
 小林氏は昨年11月24日に出馬表明、出遅れもあって自民党の推薦を受けられず、支援市議も6人のみだった。年末に県議を辞職しての厳しい選挙戦だったが、「改革市民派」、「多選を問う」をスローガンに、告示直前、後援会総決起大会を成功させてからは勢いを増し、選挙戦突入後、急速に支持を拡大した。後半には神奈川ネットワーク運動と政策協定を結ぶなどして支援を取り付けた。さらには多選批判を前面に出すことによって、無党派層への浸透をはかるなど投票率のアップを狙った。
 山口氏は「多選批判」を展開する小林氏に対して、あえて反論、「多選批判は政策ではない」とする法定ビラまで作成して実績を強調したが、多選批判の大きな流れを食い止めることができなかった。
 政策論争は告示前から低調で、選挙戦に突入してからも「多選の是非を問う」以外にこれといった争点がなく、投票率が高ければ小林氏有利、低ければ山口氏有利といわれていた。山口氏は「多選阻止」という呪縛に捕らわれてしまったほか、本音と建前を使い分ける山口支援の保守層に「山口離れ」起きていることに気づかず、公明党の支持母体である創価学会の十分な支援が得られなかったことも敗因につながった。(2007年1月29日)