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当選が決まった後、支持者にあいさつする小沢金男選対総本部長(1月28日夜・飯山の選挙事務所)

 小沢金男選対総本部長ら3人、供応買収で逮捕  小林常良派選挙違反

 1月28日に投開票された厚木市長選で、選挙違反を調べていた神奈川県警捜査2課は、2月2日、初当選した小林常良氏(57)の選対幹部ら3人を公職選挙法違反の供応買収容疑で逮捕した。逮捕されたのは小林氏の選挙対策総本部長をつとめた前県議の小沢金男容疑者(78)、株式会社武相代表取締役の吉村保典容疑者(58)、難波造園株式会社代表取締役の難波良雄容疑者(53)の3人。
 3人は昨年12月25日、厚木市内の温泉旅館で有権者6人を集めて酒食をもてなし、票の取りまとめを依頼したもので、1人当たり数万円の飲食を供応していた。宴会は1人1万円の会費で行われたが、実際には数万円の費用がかかっており、選対幹部がその差額を負担したとされている。宴席には小林氏も呼ばれて同席していた。
 県警では小林氏の関与がなかったかどうか、また、選対総本部長の逮捕で、公職選挙法の「連座制(れんざせい)」の適用も考えられるため、3人がどのような役割を果たしたのか、慎重に容疑を調べている。 2日午後2時30分、小林氏は沈痛な表情で記者会見し「有権者の皆様に大変ご心配、ご迷惑をかけた。深くお詫びする」と謝罪した。同氏によると、「小沢さんの会合に呼ばれて行ったが、誰が集まっているかは分からなかった。会費の1万円は自分で支払った」という。
 小沢氏は元県議会議員で、小林常良後援会の最高顧問をしていたが、告示後、選対総本部長に就任、後援会の総決起大会、出陣式、個人演説会場などで応援演説を行っていた。県議会では議長をつとめたこともあり、8期当選の長老的存在だったが、4年前の県会議員選挙には出馬せず、小林常良氏の応援に回ったため、小林氏は事実上の後継者と目されていた。
 当選の翌日、厚木市農協で開かれた祝勝会で、小沢氏は「手弁当で公明正大な選挙ができた、市民の皆さん一人ひとりの勝利」とあいさつしたが、一方で、酒食を提供して票のとりまとめを依頼するというクリーン選挙とはほど遠いやり方を行っていたことになり、支持者はショックを隠しきれないでいる。
 小林氏の支援者は、「市民型選挙と思って応援したのに、幹部の間でそうしたことが行われていたとは残念。有権者としてとても恥ずかしい」と話している。
 連座制とは選挙において秘書や親族が犯した選挙違反の結果、候補者が関与していなくとも候補者も処分を受ける制度のことで、総括主宰者、出納責任者、地域主宰者、親族(父母、配偶者、子、兄弟姉妹)秘書、組織的選挙運動管理者などが対象となる。(2007年2月月3日)