候補者の政策(選挙公報)をよむ

議会改革について

 4月の統一地方選挙では議会改革が1つの争点にもなった。風見鶏(7月1日)でも指摘したが、地方分権が進み、情報公開、市民協働などの改革が進む中で、二元代表制の1つである議会の存在自体が問われているのである。7月6日に配布された選挙公報から、議会改革についての言及を見てみる。
 この議会改革には10人の候補者が何らかの形で政策の中に取り入れ、開かれた議会(内川ゆき子)やオープンな議会(神子雅人)、定数削減・議員報酬・ボーナスのカット(徳間和男・松本樹影・高澤孝一・作山豪・井上武・泉修、竹松俊雄)、議会基本条例の制定(小島一郎)などを打ち出している。高澤孝一は議員定数・報酬見直しの「第三者検討委員会」の設置を上げる。徳間和男は昨年3回も議員の給与、ボーナス、政務調査費の時限的削減を議長に提案したが、全会派の反対で日の目を見なかったと記述、税収増の見込めない財政論的見地から「いまこそ議員は身を削れ」と訴え、議員と市役所の人件費を3%削ることで小学生の給食費は無料、8%のカットで高齢者の介護に対する市の援助が2倍になると提案している。
 議員定数(現行28人)については竹松俊雄が20人に削減することを提案している。これは人口1万人に1人という考え方がある中で、それなりの説得力があるだろう。他方、みんなの党の泉修、井上武、作山豪の3人は現在の定数を半減して14にするを公約に掲げる。その根拠は公民館(現在15館)単位で選出するという考えだ。改選後、大多数の議員の反対が予想される中で、各会派の意見をどう集約して定数削減に結びつけることができるのか、次の改選時までに実現へ向けた具体的なプログラムを明らかにできなければ、みんなの党のアジェンダに乗っただけの単なる選挙目当てのスローガンに終わるだろう。定数削減は条例の改正を伴う。これを議会が出すのか市長が出すのかも明確ではない(みんなの党を応援している小林市長が出してもおかしくはないが、これをすると名古屋市や阿久根市のように市長が議会に挑戦状を叩きつける形となり、政争に発展する可能性があるため、理事者提出は不可能だろう)。要は政策の実現度が問われるのである。その意味で有権者は手続きやプロセスなども最後まで見ておく(監視)必要がある。33人の中では小島一郎ただ1人が「議会基本条例」の制定実現を選挙公報に掲げている。
 これまで議会改革といえば、議員定数や報酬の削減など「量的」な面の改革、すなわち行政改革が中心だった。しかし、それが議会改革の本丸ではない。政治の質(議員の質・議会の質)を高める改革こそが本丸である。その改革のポイントが「議会基本条例」の制定にあることはいうまでもない。 議会基本条例とは、議会のルールを自ら定めることであるが、そのねらいは議会のあり方、討論など議会運営の体系化、総合化をはかろうとする点にある。
 例えば、年1回議会報告会の開催を義務づける、参考人制度及び公聴会制度の活用、請願・陳情者からの意見聴取、議員の質問に対する市長や職員への反問権の付与、委員会のケーブルTV放映やインターネット中継、議会図書室の充実と市民への開放、議会モニターの設置、慣例や申し合わせ人事の廃止、会期の見直しと夜議会・休日議会の開催、議長の定例会見と情報公開の徹底、決算特別委員会の常任委員会化と予算委員会の設置、総括質疑は事前通告制なしの一問一答形式、議員同士の審議方式の導入などである。
 今回、市議選に出馬した候補者の中で、定数や報酬以外の議会改革に言及している人は驚くほど少ない。改選後、厚木市の議会改革は進むのだろうか。 市民は住民とともに歩む議会、議員同士が討議する議会、市長や執行機関と切磋琢磨する議会への脱皮を求めている。(敬称略)(7月6日)