第664号(2005.07.15)

エコマネーで生ゴミリサイクル  厚木なかちょう大通り商店街

処理機に生ゴミを入れる利用者

 地産地消の循環システム構築  活性化に期待 

 厚木市なかちょう大通り商店街振興組合(木村嘉宏理事長)では、7月8日、家庭から出る生ゴミを「エコマネー」と交換して回収・たい肥化し、契約農家がそのたい肥を使って有機野菜を栽培、収穫した野菜を商店街を通して消費者に還元する「キッチン・リサイクル」事業を本格稼働させた。
 商店街の活性化と地産地消の循環システムの構築を目指すのが目的で、商店街がエコマネーを使った生ゴミリサイクル事業に取り組むのは全国でも珍しい。
 同事業は平成15年度に環境省が公募した「循環型社会の形成に向けたエコ・コミュニティ事業」に2年連続して採択され、東京農業大学厚木キャンパスの協力を得て、生ゴミのたい肥化に向けた実証実験を続けてきた。今年度、県と市、厚木ガーデンシティビル株式会社の補助を受けて、同商店街の大型店厚木サティ北側に、100キログラム入りの生ゴミ処理機3台を備えた「エコステーション」をオープンさせた。
 入口にはポイントカード読み取り機と重量計が設置され、会員が生ゴミ専用のごみ袋かバケツに入れて持ち込むと、100グラムにつき1円相当のポイントがエコマネーとしてカードに加算される仕組み。持ち込み日は木曜日と日曜日をのぞく毎日15時から17時まで。現在会員は70人だが、ポイントカードの会員であれば誰でもキッチン・リサイクルの会員になれる。
 生ゴミは1日平均300キロ集められ、処理機で乾燥させると約8割の減量になる。これを同市船子の東京農業大学に持ち込み、畜糞などをまぜたい肥として発酵させる。完熟したたい肥が出来上げるのは約3カ月後だ。たい肥は提携している愛甲地区の専業農家が引き取り、有機野菜の栽培に活用する。出来上がった野菜は会員に優先販売されるほか、二七の市(にひちのいち)などの商店街のイベントでも販売される。
 木村嘉宏理事長は「生ゴミは捨てればただのごみだが、エコステーションに持ってくればたい肥になりポイントがつく。会員はできた有機野菜を優先的に買うこともできるし、ポイントを貯めれば買い物にも反映できる。しかも廃棄から生産という循環プロセスがすべて透明で、消費者は安心・安全な有機野菜を食べることができる。環境テーマに住民の皆さんとの共同作業でまちの活性化につなげたい」と話している。

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 厚木市で初の女性消防団員誕生

任用された女性消防団員
 厚木市で初めての女性消防団員が誕生、7月3日午前、20人の団員に市消防本部3階大会議室で辞令が交付された。
 市消防団では、女性の参加により消防団の活性化や防火・防災思想の普及充実を図るとともに、救命率を向上させるための応急手当の充実をめざす観点から、女性消防団員を任用したもの。市内在住在勤の18歳以上の女性を公募したところ、33人の応募があった。面接の上19歳から53歳までの20人を選考した。職業は大学生から看護師、歯科衛生士、会社員、主婦に至るまで幅広い。
 応募動機は「市民として地域防災活動に貢献したい」「テレビで消防士が活発に働いているのを見てあこがれていた。看護師として働いているが、全身熱傷などで運ばれてくる患者がいて、少しでもお役に立てれば」「子どもの手が離れ、新しい専門の知識や技術を学びたい」などさまざま。
 女性消防団員は消防団本部付けの団員として活動する。任期は2年だが、今回は中途での採用のため、来年3月31日まで。市消防団では4月以降も継続してほしいと希望している。
  今後の活動としては7月から10月まで礼式訓練、消防訓練、応急手当普及員講習などの研修と訓練を行い、11月20日の「市制50周年記念第1回あつぎ消防フェスティバル」の公式行事に参加する。
 同市の消防団は1団8分団52部で構成。554人の団員がおり、消防ポンプ自動車9台、小型動力ポンプを積載した消防車両43台で、常備消防と連携した災害防御活動を行っている。
 女性消防団員は、県下では横浜、川崎、横須賀、相模原の各市に次いで5市目となる。

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厚木小で防犯教室
 7月8日、厚木市寿町の市立厚木小学校(神崎良一校長・児童数747人)で、全児童を対象にした防犯教室が開かれた。
 児童が安心して学べる安全・安心な環境づくりに向け、県安全防災課の職員を講師に招いて、夏休みに多発する誘拐やストーカーから身を守ることを目的に行ったもの。
 講習会は「モンちゃん」と称する動物の着ぐるみを主人公に、指導員が「外出するときは行き先、帰り時間を家の人に伝えておく」「「知らない人にはついていかない」「外では一人で遊ばない」「無理やり連れて行かれそうになったら大きな声を出す」などと指導していた=写真。
 実演指導では、誘拐犯に扮した職員らが「おもちゃをあげるから一緒に遊ぼう」「お母さんが交通事故で病院に運ばれた。急いで病院に行こう」などと声をかけながら児童の腕を取ると、児童は大きな声で叫びながら助けを求めていた。
 同小では5日と6日にもPTAや教職員を対象にした防犯教室を開いた。

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大規模災害に備えてトリアージ訓練  厚木市立病院
 厚木市水引の厚木市立病院(岡部武史院長)で、大規模災害に備えて災害拠点病院としての実践的な訓練が行われた=写真。大規模災害時に病院には短時間に患者が詰めかけることから、効率的な治療を行うためのトリアージ訓練などが行われた。トリアージとは災害時の医療現場で使われる「負傷者を重傷度に応じて選別する」手法。
 訓練は神奈川県西部で震度6強の地震が発生、同病院に多数の負傷者が詰めかけたとの想定で行われた。詰めかけた患者を正面玄関での1次トリアージで軽症患者と重症患者に選別、軽症患者にはその場で処置した。緊急治療を必要とする重症患者は、さらに外来ホールで2次トリアージを実施し、優先順位をつけた。また、外来棟に待合用として設置してある椅子154脚を154床のベッドとして病床に転用する訓練も行われた。
 医師や看護師など約200人が参加、職員が模擬患者としてどなる人や泣き叫ぶ家族を演じるなど、本番さながらの雰囲気の中、医師らは模擬患者を迅速に選別し、処置を行っていた。

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青年海外協力隊員の山田岳さん 市長に出発報告
 7月11日、青年海外協力隊員としてパプアニューギニアに派遣された厚木市山際の山田岳(たかし)さん(24)が、出発前の6日、山口市長を表敬訪問した=写真。
 山田さんはパプアニューギニアのサンダウン州教育局「セントイグナシウス高校」に日本語教師として赴任、2年間滞在する。
 同校は平成6年に初代隊員を受け入れて以来、3代にわたって日本語教育を行っており、2代目隊員が専用教科書も完成させている。しかし、現地日本語教師を養成するまでにはいたっていないことから、校長の派遣講師継続要望を受け、今回、山田さんの派遣となった。
 山田さんは「大学生の時から青年海外協力隊に参加したいと思っていた。しかし、その時は資格や経験がなく諦めていたが、今回日本語教師として合格することができ、現地で精一杯頑張ってきます」と抱負を語った。

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インターンシップの充実と行政課題研究に支援  厚木市・大学懇話会
 厚木市内にある6つの大学・短期大学の学長と厚木市長とが出席して、7月6日「厚木市・大学交流懇話会」が、市役所で開かれた。
 参加したのは神奈川工科大学、松蔭大学、湘北短期大学、東京工芸大学、東京農業大学、昭和音楽大学、同短期大学部の学長ら11人=写真。
 意見交換では山口市長が「学生が自分の専攻や卒業後の進路に関連した就業体験を在学中に行う場として市役所を活用するインターンシップの充実や大学が行政課題を研究した場合の支援について検討していきたい」と提案、大学側からは交通渋滞や本厚木駅周辺の治安対策、スクールバスの発着場の確保、市の奨学金制度の検討などが要望された。
 山口市長は「交通渋滞対策は3大施策の1つでもあり、厚木環状2号線や3号線をはじめとして、新設改良工事を進めており、平成18年度中にはある程度の目処がつくものと考えている」。また、治安対策については、「現在、厚木署などの関係機関の協力を得て職員によるパトロールを実施しているところで、犯罪などの抑止力となることは積極的に行っていきたい」と述べ、スクールバス発着所の確保と奨学金制度については「研究していきたい」と答えた。

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「広域観光ネットワーク」テーマにやまなみサミット        
 厚木、伊勢原、秦野、愛川、清川、県央地域県政総合センターで構成する「第10回県央やまなみサミット」が7月4日、清川村役場で開かれた=写真。丹沢大山を中心とした豊かな自然環境に恵まれた地域の特性を守り育て、新たな行政課題に広域的に対応するため、2年に1度会場を持ち回りで開いているもの。
 この日は「広域観光ネットワークの確立を目指して」をテーマに、貴重な共有財産としての丹沢大山を中心とした多彩な魅力を備える広域観光の将来像について、各市町村長による活発な意見交換が行われ、第10回宣言文を採択して閉会した。
 宣言文には1やまなみ地域の美化活動の推進やエコツーリズムなどの自然学習型観光プログラムの構築、2高規格道路の整備とそれにともなうインターチェンジ開設のメリットを生かすため、観光拠点の整備と圏域内観光ネットワークの確立、観光案内サインの統一とインターネットを活用した共通の観光情報の発信、3製造業をはじめとする多様な産業施設や地域財産である地場産業を観光資源として積極的に活用する\などの内容が盛り込まれた。
  また、平成15年度から各市町村で開催するイベントに「県央やまなみコーナー」を設置して、特産品の普及や地域情報の発信を実施しているが、今年は11月3日に秦野市の「市制施行50周年記念第26回秦野市民の日」で、やまなみ地域のPRと各市町村の特産品(落花生、きゃらぶき、鮎料理、繊維製品、お茶など)の販売を行う。

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地域に合った防犯活動を  市内23地区を防犯モデル地区に指定
 7月1日、厚木市ヤングコミュニティーセンターで「平成17年度防犯モデル地区指定式」が行われ、市内23地区(50自治会)の代表に対して、厚木市と厚木警察署から防犯モデル地区指定書と防犯看板が交付された=写真。
 「自分たちのまちは、自分たちで守る」という自主防犯気運を高め、地域の防犯活動を強化するため、犯罪が多発している地域や問題を抱える地域をモデルとして指定したもので、昨年から10地区が引き続き指定され、今回13地区が新たに指定された。指定期間は平成18年3月31日まで。

 モデル地区は、まちの安全点検をはじめ、防犯危険箇所マップや地域安全だよりの作成、パトロール隊の活動、啓発看板の設置、防犯監視所の設置、防犯灯照度アップ、防犯教室など、それぞれの地域に合った自主的活動を実施して、「犯罪の発生しにくい環境づくり」を進める。
 指定地区には市からセーフティーベストの配布や啓発看板の設置、防犯灯照度アップなどが支援されるほか、市の防犯パトロール隊や厚木署による重点的なパトロールが行われる。指定式では西仲地区の山本正美さんが、モデル地区代表として決意表明し、「防犯モデル地区として路地パトロールやセーフティベスト着用運動など、身近な防犯対策に取り組み、私たちのまちから犯罪をなくし、安心して安全に暮らせるまちづくりを目指します」と、力強く宣言した。

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「子どもたちの安全」テーマに市民安全フォーラム開催
 7月9日、日本市民安全学会と厚木市などの主催で、「市民安全フォーラム〜考えよう子どもたちの安全」が、市文化会館で開かれた。あいさつに立った山口市長は「厚木市は市民のアイディアを積極的に取り入れた防犯対策を実施してきた。他の模範として評価されており、厚木市のやり方を取り入れる自治体もある。職員をあげて防犯パトロールをしており、厚木市がかつての穏やかな都市になってほしい」と述べた。
 続いて石附弘日本市民安全学会会長が「全国の市で安心安全部という名称の部局を持つのは厚木市だけ。行政の最大の使命は、市民の生命と安全を守ることと、職員が市民を守る責務を語るのに感銘を受けた」とあいさつした。
 
 続いて行われたシンポジウムでは、4人のパネラー=写真=がそれぞれの立場から発表を行った。市内で剣道場の館長をつとめる滝澤健治さんは「本厚木駅は厚木市の玄関、この玄関と子どもの遊ぶ公園をきれいにすることで、犯罪を犯しにくい街にしよう」と呼びかけた。厚木地区保護司会の都高真道さんは「非行を起こすサインを必ず出している。食事をしながらサインを受け止めるのは親の責任で、子どものしつけは家庭ですべきです」と万引きなどを犯罪と思わずにスリルとして楽しんでいる子どもたちのサインに気づくことの大切さを語りかけた。最後にNPO法人ガーディアン・エンジェルスによる護身術の実演が行われ、会場の参加者も手を取られたときのふりほどき方などを練習した。

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 市町村長が神奈川の防災を考える 神奈川みらい構想研究会全体会議
 7月5日、厚木市文化会館で神奈川みらい構想研究会(会長・山口巌雄厚木市長)の平成17年度第1回全体会議が開かれ、藤沢、茅ヶ崎、二宮、中井など県下の市町村から市長など24人が参加した=写真。
 冒頭あいさつに立った山口会長は「(今回のテーマは防災について)災害に備えることは行政の義務。お互い語り合いながら国や県に提案していきたい」と述べた。
 会議では浜銀総合研究所の八木理事が、最近の国や県の防災戦略などについて説明、この後、阪神・淡路大震災記念協会・理事長の貝原俊民氏を講師に迎えて講演会を行った。
 貝原氏は阪神・淡路大震災の災害復興に兵庫県知事として専心、震災での経験をもとに「大地震に備える」と題して講演、「防災には国や自治体よりも住民の対応能力を高めることが重要。阪神・淡路大震災で家に閉じこめられた約16万4千人のうち、公的機関による救出は4・8%に過ぎず、大半は自力での脱出、または民間人による救助であった」ことなどを例に挙げ、防災教育の充実や地域コミュニティーの支援などを通して、住民の力を強化することの大切さを語った。

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