第621号(2003.09.15)

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斉藤さんが自宅に民俗資料館開設  愛川ふれあいの村で「道具絵展」を開催

「道具絵展」で昔を語る齋藤さん(愛川ふれあいの村で)

自宅資料館の縄ない機を実演してみせる斉藤さん

自宅の離れに開設した民俗資料館

収集した資料の解説本

 厚木市に上依知に住む斎藤房雄さん(81)は、10年ほど前から昭和初期に使われた農具や民具を集め、自宅に「民俗資料館」を開設している。
 釣瓶井戸の滑車や手桶、釜、魚取りのウケ、投網、蒸籠(せいろう)、囲炉裏、火鉢、石臼、タライ、洗濯板、石油ランプ、簑など生活の道具や、馬耕用の鞍、代掻き万鍬、千歯、クルリ棒、縄ない機、米選機、唐煽り、足踏み脱穀機など、資料館には農具と民具が所狭しと並べられている。
 珍しいものでは、婚礼の時に花嫁が髪飾りに使ったべっこう製の櫛や角隠しなどのセット、屋根屋職人が使った屋根バサミ、山芋掘具、消防の手押しポンプのほか、昭和初期に尋常高等小学校で使われた教科書、さらに蓄音機やカメラなどの娯楽品も集めた。
 また、当時流通した五銭や拾銭、五拾銭硬貨と紙幣、昭和23年に依知村役場が発行した家庭用品購入通帳、改築前の依知神社や旧浮島弁天、新昭和橋の渡り初めなど、地域の記録写真なども残している。
 「最初は自分の家にあった古い道具を捨てるのがもったいなくて取っておいたが、そのうち知り合いが、これはあるか、あれはあるかと言って持ってきてくれるようになった」という。持ち込まれたものは、道具の名前と寄贈者名を書いた札をつけ、誰が提供者か分かるようにした。
 「気がつくと、いつのまにか千点を超えるようになった」という齋藤さん。10年ほど前から、これらの農具や民具を離れの2階に展示、「民俗資料館」として地域に開放している。最近では、上依知小学校や北小学校の児童が、総合学習の時間を利用して社会見学に訪れるようにもなった。
 3年ほど前から、集めた道具や民具の解説書作りにも取り組んでいる。「実際に使われている様子を絵に描けば、子どもたちもより分かりやすく理解してくれるのでは」と、道具の種類を用途別に分けて描き、それらを小冊子にまとめた。
 たとえば、「お米とご飯」では、米は出来上がるまでに八十八回の手間がかかることから、八十八と書くという文字の成り立ちから、畦付(くろつけ)、苗代、苗床、代掻き、植え田、稲刈り、掛け干し、脱穀、籾すり、唐臼、米選機、俵ゆい、検査にいたる米づくりの過程を細かく描いて、道具と仕事の流れを分かりやすく説明している。
 この解説書を展示した「昭和初期の農家のくらしと道具絵展」が、9月7日から愛川町半原にある県立愛川ふれあいの村で始まっている。展示されたのは画用紙大の紙に描かれた19タイトル120枚の力作。
 「農家の暮らしが分かりやすく描かれていて、ほのぼのとしたあたたかさが伝わってきます」と訪れた人たちに好評だ。
 齋藤さんは「昔はほとんどの人が農業だった。今のように便利な農機具はなく、重労働で生活は楽ではなかったが、そうした時代を通って来たお年寄りたちの昔の暮らしを若い人たちに知ってもらえたら嬉しい」と話している。展示は12月27日まで。

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「パルナス」主宰の石川さんが初の詩集を出版

 厚木市で同人雑誌「パルナス」を主宰している石川道生さん(43・温水在住)が、このほど初めての詩集『呟き部屋の幽霊』を自費出版した=写真。
 石川さんは小学校4年の時、朝日新聞の「小さな眼」に自作の詩が2回載ったことから、詩作の喜びを知り、言葉へのこだわりを持つようになった。中学校に入ると、ボードレールやベルレーヌなどを読みあさり、毎日詩を書いては仲間と交換していた。
 中2の時、たまたま陸上部で怪我をし、入院した時に出会った作品が角川文庫版のw中原中也詩集xだった。「ものすごいカルチャーショックを受け、以後すっかり中原中也の虜になった」という。
 その後、数人の仲間とガリ版刷りの詩集「媒体」を発行、高校1年の時、「パルナス」を創刊した。恩師の露木國寛さんや、和田傳さん、森村誠一さんにも頼んで作品を書いてもらった。20年間で7号しか出てないが、創刊同人の4人は今でもメンバーである。
 今回上梓した『呟き部屋の幽霊』は、高一の時から今日まで書いた作品の中から、36篇を選び出して年代順にまとめたもの。表題作のほか、パルナス創刊号を飾った「埃」、「笑う生活」、「ココロ」、「華潮音」など36篇が収録されている。
 文学者の串田孫一さんから、「私の部屋にもあなたの幽霊を届けてくれてありがとう」という礼状が届き、出版して良かったという。
 石川さんの作品は自由詩だが韻を踏むリズムが特徴だ。中原中也の影響が強く、今回も詩人仲間からも「リズムが際だっている」という評価をもらった。希望や邂逅、不安など自分の内面からほとばしる思いを言葉にしていく作業は、生と死を行き来する綱渡りのようだという。これからも「言葉という細胞を活性化させるため書き続けていきたい」と話している。
 B6判95ページ。一部2,600円。有隣堂厚木店、内田屋書房で取り扱い中。

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 長寿祝い厚木市長が高齢者訪問

 厚木市の山口市長は、8月20日、22日、25日、28日の4日間、90歳になった高齢者と95歳以上の高齢宅を訪問して、長寿を祝った。
 9月15日の敬老の日の行事にちなんで毎年行われているもので、最終日の28日には8月31日で101歳になる同市戸室の落合クニさん宅を訪れた=写真。
 市長が「これからも元気で長生きしてください」とお祝いの記念品を渡すと、クニさんは「ありがとうございます」とにっこりほほえんでいた。その後、クニさんを囲んで子どもや孫たちと一緒に記念撮影をしたり、歓談して楽しいひとときを過ごした。
 今年の高齢者訪問の記念品は90歳以上がシルク混毛布、高齢者夫妻が祝状と翁媼(おきなおうな)像、白寿の高齢者には銀杯が贈られた。
 同市内には90歳以上の高齢者が8月1日現在839人在住している。市長は4日間で49人48件のお宅を訪問した。

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 下川入の諏訪神社  新神楽殿こけら落としで里神楽奉納

 8月27日、厚木市下川入298の諏訪神社例大祭が行われ、新築された神楽殿において市の無形民俗文化財に指定されている「相模里神楽」の面芝居が奉納された=写真。
 諏訪神社の本殿は、江戸時代後期に建てられた希少な建築物として平成6年、市の文化財に指定されていたが、昨年8月火災に遭い神楽殿と中にあったみこし2基が消失した。
 今年4月、総工費3千万円をかけて再建することになり、7月に工事が完成した。新築された神楽殿は床面積が115・7平方メートル。
 こけら落としでは相模里神楽垣澤社中(垣澤勉家元)が、寿式三番叟付五人囃子など3つの演目を披露、地元「深山会」による舞踊も行われ、境内は夏の最後の夜を楽しむ大勢の家族連れで賑わった。
  氏子総代会長の志水文雄さんは「昨年は火災のため十分な例大災ができず地元の人はみながっかりしていた。ようやく新しい神楽殿を建て直すことができて喜んでいます」と話していた

  

 

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文化祭で沖縄舞踊のエイサーを披露 東高生
 厚木市王子の県立厚木東高等学校(丸山恵子校長)で、9月6、7の両日、「手児奈祭(てこなさい)」が開かれ、2年C組の生徒が沖縄の伝統芸能「エイサー」を披露した=写真。
 同校では四年前から沖縄修学旅行を実施しており、平成13年にはアメリカ同時多発テロの影響で多くの学校が中止する中沖縄旅行を実施、現地の人たちから大変な歓迎を受けた。今年もこの10月1日から沖縄への就学旅行が予定されている。
 エイサーは、二年C組の生徒41名が、沖縄の伝統文化を肌で感じ、2年前に先輩たちが受けた歓迎に応えようと同市三田に住む和田千永子さんの指導を受け、夏休みを返上して練習に取り組んだもの。
  本番では41人の生徒全員が息のあった踊りを見せ、文化祭に訪れた保護者達から盛んな拍手を浴びていた。
 生徒達は「太鼓に合わせて踊るのが難しかったが、うまくできて良かった。修学旅行先でも踊りたい」と話していた。

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天然温泉「ほの香」オープン 日本初の可動式麦飯石サウナ導入

日本初の麦飯石サウナ「火の鳥」

露天風呂
 株式会社プラザホテル厚木(角田明敏社長)では、9月8日、厚木市林に天然温泉「ほの香」=写真下=をオープンさせた。
 今年の春、地下1,500メートルを掘削して湧出させた自家源泉で、抗底温度は46度だがモーターを使って途中から湯を汲み上げるため浴槽温度は35度くらいになる。
 神経痛、筋肉痛、関節通、五十肩、運動麻痺、うちみ、慢性消化器病、冷え性などに効能があるとされている。
 この天然温泉と合わせて目玉となっているのが、日本初上陸といわれる可動式麦飯石サウナ「火の鳥」。
 電気炉で高温に熱した麦飯石をサウナ室中央に滑車で移動して熱源とするもので、入浴者は専用のサウナ着を着たまま入浴する。カップルや家族連れで一緒に楽しめるほか、熱源の麦飯石からの距離で、自分の好みに応じた温度帯を選べるのが特徴。
 熱の冷めた麦飯石は滑車で移動して炉に下げ、もう一台の熱した麦飯石をサウナ室に交互に移動させるというシステム。サウナ室の広さは約50坪でおよそ70人が入浴可能だ。
 露天風呂は、イチョウのエキスが入った「銀杏の湯」、薬王石で足裏のツボを刺激する「足神道」、マイナスイオン効果がある「木炭の湯」、さらには深風呂で波動の高い麦飯石で体を癒す「開運の湯」など特徴ある風呂をそろえており、男女の露天風呂、内風呂は風水を活かした対称設計になっている。入館料はタオル・サウナ着付きで大人1,600円(会員になると1,200円)、子ども600円。問い合せはTEL:296・4126番。

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厚木サティがオープン 地域密着型の店舗展開

 厚木市中町1丁目の大型店「厚木ビブレ」が撤退、9月6日「厚木サティ」に生まれ変わって、リニューアルオープンした。
 事業主体はビブレと同じ更正会社株式会社マイカルで、業態転換にともなって売り場を再編成、新ショップも導入して地域密着型の店舗に生まれ変わった。
 リニューアルのポイントは、子ども衣料品、ゲーム、遊び場などを総合展開するキッズワールドの構築と、ヤングミセスやメンズカジュアルの新規ショップを多数導入して、ヤングファミリーをターゲットにした品揃えの充実を図ったほか、住生活では日常品、生活必需品の品揃えを拡大、また、「安心」「安全」をキーワードにした食品の品揃えの拡大や「地場野菜コーナー」「デリカストリート」などを開設、地域に密着した売り場づくりの展開を図っている。
  店舗面積1万7千38平方メートルのうち、直営が1万4千155平方メートル。テナントも38店舗が入居した。従業員380名で、年商73億円を見込んでいる。

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自主防災隊と市職員が防災総合訓練

  東海地震や南関東地域の直下型地震、富士山噴火を視野に入れた厚木市の総合防災訓練が8月31日行われ、市内215の自主防災隊が、138会場で初期消火訓練や救出救護訓練を行ない、一万7千人を超える市民が参加した。
 また、市職員による総合防災訓練が、市役所前の厚木中央公園で開かれ、1156人の職員が参加した=写真。
 職員訓練は「大規模地震から市民を守る」をテーマに、自宅から訓練会場までの登庁訓練から、中心市街地災害危険箇所把握訓練なども行われ、400人の職員が12班に分かれ、危険なブロック塀や看板、違法道路占用物件、倒壊の恐れのある樹木、道路や路地の危険箇所などを調べて歩いた。

職員の懲戒処分 厚木市 ホームページなどで公表練

  厚木市は、公務員の倫理の徹底と不祥事の再発防止を図るとともに、市民に信頼される公正で透明な行政運営の実現をめざすため、9月1日から「職員の懲戒処分に関する公表基準」を定め、市ホームページ上での公表をスタートさせた。
 公表する懲戒処分の種類は、地方公務員法にもとづく免職(免職となり退職金は支給されない)、停職(停職期間は1日以上6月以下とする。停職期間中の給与は支給されない)、減給(減給は1日以上6月以下給料の10分の1を減ずるものとする)戒告(職員の規律違反の責任を確認するとともにその将来を戒める)の6種類。
 公表されるのは、所属、補職名、年齢、処分年月日、処分内容、非違行為の概要などで、氏名の公表については非違行為に対する社会的影響の重大性により判断するという。公表事項については速やかにマスコミに資料提供するほか、必要に応じて記者会見を行い、市のホームページにも掲載する。
 政令市を除く県内で、職員の懲戒処分に関する公表基準を定めたのは、鎌倉市、横須賀市、藤沢市、茅ヶ崎市に次いで5市目である。

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