第613号(2003.05.15)

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BSEやO157の検査強化・県食肉衛生検査所精密検査棟が本格稼働

精密検査棟の理化学検査室
 食肉の安全を確保するため、牛海綿状脳症(BSE)や微生物検査を行う厚木市酒井の県食肉衛生検査所(沢谷広志所長)の精密検査棟が完成、5月9日午後、報道機関に公開された。
 平成14年4月、厚木、平塚、小田原、相模原にあった食肉衛生検査所を、厚木市に新設された神奈川食肉センターの隣接地に集約するとともに、検査体制の機能を充実させるため、精密検査棟を新たに建設したもので、3月に完成、4月1日から稼働を開始した。
 本館南側に隣接した検査棟は、鉄筋コンクリート造り2階建て。床面積は651平方メートルで、機械設備を含めた建設費は2億6千万円。
 1階には腸管出血性大腸菌O157などの細菌を検査する細菌検査室、ウィルスの検査を行うウィルス検査室、器具や機材の洗浄を行う洗浄滅菌室、動物飼育室・観察室、エライザ法と呼ばれるBSEのスクリーニング検査を行う組織培養室などを配置した。
 2階には、食肉中に残留する抗性物質をはじめとする動物用医薬品、PCB、有機塩素系農薬、重金属などの環境汚染物質を検査する理科学検査室と精密分析室を配置した。ここでは高速液体クロマトグラフやガスクロマトグラフといった分析装置が威力を発揮する。
 これと隣接する本館1階では、BSEスクリーニング検査の前処理や病理解剖・病理組織学的検査が行われている。
 精密検査棟では1日、牛60頭、豚2,100頭の検査に対応できるが、同検査所では昨年度、牛約1万頭、豚約43万頭の精密検査を行った。事務系を含めた職員61人のうち、58名は獣医師の資格を持った検査員。
 沢谷所長は「BSEの発生をきっかけに、食の安全に対する消費者の見方が大きく変わってきた。その意味では検査所は、食の安全を確保する最後のトリデである。消費者の健康を守り安全な食肉を確保するという立場から、職員一丸となって検査に全力を傾けている」と話している。    

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介助犬と合同訓練・飼い主の市川さん訓練期間のボランティア求む

 厚木市の妻田南で介助犬の育成を行っている「トータルケア・アシスタント・ドッグセンター」( TAC)で訓練を積んできたサクラが1年半の訓練生活を終え、5月20日から重度障害者である飼い主との合同訓練に入る。
 介助犬としてこれまで身につけてきたものを、飼い主にも同じようにサポートできるよう訓練するもので、飼い主と約1ヶ月間寝食を共にして、「家族の関係」を築く。
 介助犬は、携帯電話や家のカギ、コインなど落ちたものを拾ったり、玄関ドアや冷蔵庫の開閉、電話の受話器を取るほか、上着や靴なども脱がせてくれる。また買い物にも同伴して品物を選んだり、横断歩道のボタンを押すなど、パートナーのニーズに応じたさまざなサポートをしてくれる。「テイク」や「ギブ」など70種類以上の言葉を理解し、細かいことは飼い主の目線をキャッチして行動するといわれ、サクラも1年半にわたってこうした訓練を受けた。
 TACにサクラの訓練を依頼したのは、愛知県に住む市川洋子さん。介助がないと日常生活を送ることができない重度の障害者だ。このため介助犬を持とうと、1昨年、飼い犬のサクラを訓練センターのTACに預けた。TACの介助犬育成犬としては3頭目に当たる。
 市川さんは今月20日ごろ厚木を訪れ、約1ヶ月間、TACに泊まり込んでサクラとの合同訓練を受けるが、厚木での生活は愛知県に住んでいる時と同じく介助がないと困難。市川さんは、月115時間公的な障害者支援費制度を利用するが、とてもこの範囲では介助の手が足りない。そこで厚木での合同訓練が終了するまでの期間、サクラのブラッシングの手伝いや食事の支度、身体介助、洗顔の用意、身支度、トイレ、入浴、車椅子からベッド・ベッドから車椅子への移動などをサポートしてくれるボランティアを探している。時間は早朝、昼間、夕方、夜の1時間から2時間ぐらい。問い合わせはTACTEL:223・9606番へ。

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三〇〇分の一の校舎・湘北短大生が模型校舎製作
 厚木市温水の湘北短期大学(山田敏之学長)の2人の学生が、授業で身につけた技術を応用して300分の1の校舎模型を製作した。
 この学生は生活科学科で住居関連の学習を専攻し、現在2級建築士の資格取得を目指して勉強に取り組んでいる2年生の柳町綾美さんと荻野ちひろさん。春休みを返上して毎日登校し作業を進めたもので、二ヶ月がかりで完成した。模型は現在同大学の玄関ロビーに展示され、学内や来訪者の間で話題となっている。
 模型は7号館の新築に伴い、校舎の全体像を300分の1に縮小したもので、建物はスタイロフォームにジェッソ塗り、敷地はスタイロに貼れパネを使い、植栽も白のボリュームモデルに仕上げた。
 2人は「湘北の校舎は意外と複雑。一つのことをやり遂げる力はいままでより数段上がったと思う」「疑問に思う場所は何度も確認した。この模型を作ることで、いままで以上に湘北を知ることができました」と話している。
2人の製作過程を見守っていた水上指導教員も「製作者らしいほのぼのとした心のこもった力作」と完成を喜んでいる。
 展示された模型を見た学生も「こんな完成度の高い模型をつくれるなんてびっくり」「空からみた校舎ってこんなかんじなのか」と驚きの声を発していた。
 二人が模型を作るきっかけとなったのは。同大学で昨年度から始まった学生の新しい活動「SHOHO」(Shohoku hands-on Office)
の取り組みだ。学生の自主的な発動によって構成されたチームが活動を開始し、収支についても考慮しながら実践的なプロジェクトに取り組む全く新しい学生活動のスタイル。学生たちに自分たちが立ち上げた企画がビジネスとして成り立つかどうかを考え、行動する機会を与えている。
 チームの人数は2名から8名まで様々。勉強している専門性を生かしたプロジェクトの活動は、本格的なものを目指しており、今回の模型製作プロジェクトのほかにも、来訪者へのプレゼントを企画製作中のチームが、現在作業を進めているという。 

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里山マルチライブプランがスタート・七沢でビオトープづくり
 4月27日、厚木市の七沢で「里山マルチライブプラン」が始まった。このプランは、地域の協力と指導で、公募の市民が環境ボランティアとして、里山体験を味わいながら自然環境を保全していこうというもので、市の公募に市民65人が応募した。
 七沢では昨年度から使われなくなった棚田を復元し、水生植物や水生生物が生息できる「ビオトープ」を作る作業にとりかかっている。今後、栗林ではカブトムシなどの養殖にも取り組む。
 この日参加した50人はグループに分かれ、午前8時30分からスコップを手に、棚田にあぜ道や水路を作ったり、木を切り出して皮をむきイノシシやシカなどの進入を防ぐ柵=写真=を作るほか、道路脇の竹や笹を伐採するなどして4時間ほど汗を流した。
 参加者は「今日は天気もよく、とても楽しかった」「防護柵を作ったが、今朝は何もなかったのにもう柵ができあがり、達成感に満足している」と話していた。今後、月1回程度の作業を9月まで続けていくという。

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元湯旅館が老人会を昼食会に招待    
 厚木市飯山温泉の元湯旅館(石川範義社長)が、5月8日、地元小鮎地区のお年寄りを昼食会に招待、心づくしの料理をプレゼントした。同旅館が「日頃から地域のみなさんにお世話になっているお礼に」と毎年開いているもので、今年で24回目。この日は小鮎地区老人クラブ連合会(臼井美二会長・11クラブ)に所属する70歳以上のお年寄り223人が招待された。最高齢は千頭老人会の加藤サダさんで94歳。
 石川社長が「今日は季節の料理やアトラクションを用意していますので、ごゆっくりおくつろぎ下さい」とあいさつ、80歳以上のお年寄り17人にベゴニアの花をプレゼントした。料理は魚介類や竹の子など季節の野菜を使った揚げ物、煮物、焼き物などを会席弁当風に盛りつけたもので、臼井会長は「家庭では味わえないおいしい料理にみな満足しています」と話していた。
 食事中は飯山温泉芸妓衆の踊りや東家三楽さんの浪曲のほか、美里劇団よる大衆演劇などが披露され、お年寄りたちは楽しいひとときを過ごした。

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会頭へ意見上申や商工業の振興事業など開催・厚木商工会議所女性会が発足
 女性経営者の提言や協力を地域商工業の発展に生かそう――厚木商工会議所女性会が発足、5月9日13時より商工会議所大会議室で設立総会が開かれた。商業部会を中心に昨年1月から準備を進めてきたもので、会議所ニュースや働く女性セミナーを通じて会員を募集、市内で事業を営む55人の女性経営者が参加した。
 女性会は、会員相互の親睦と研鑽のための事業や、女性会としての意見を会頭に上申するほか、会議所の諮問に応じて答申、調査・研究、情報・資料の収集と提供、商工業の振興や社会一般の福祉に関する行事の開催、会議所から委託された事業などを行う。
 設立総会ではメンバー1人ひとりの紹介が行われた後、女性会規程と会費規則、平成15年度事業計画と収支予算案が審議され、会長には有限会社ジョリイの安藤晴美さんが選ばれた。

 また、平成15年度事業として、他の女性団体との交流を目的としたネイチャアップ交流会、あつぎ商工観光まつりでのイベントパフォーマンス、メンバーズ交流会、オールシンク会議(全体会議)などに取り組むことを決めた。
 総会終了後、東京浅草でスーパーオオツヤを経営する有限会社大津屋本店の石橋規子専務が、「女将さん、細腕奮戦記」と題して講演、生き残りにかける自らの体験談を披露した。
 県下14商工会議所中、女性会があるのは11会議所で、厚木は12番目。

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厚木警察署少年剣進会
 メーン、ドー、コテッ―毎週火曜日の夕方5時になると、厚木署4階の道場から子どもたちの元気のいい声がこだましてくる。神奈川県警が青少年の健全育成を目的に、県下52の警察署で行っている「少年柔剣道」の一コマだ。厚木署の剣道は昭和57年から始まった。
 現在、女子4人を含め小学生20人、中学生8人が稽古に励んでいる。指導しているのは剣道5段で、小鮎駐在所勤務の清野晴光巡査部長(50)。父母の会も「剣進会」(松本薫会長)を作って子どもたちをバックアップ、合宿や行事のお手伝いをしている。 
 練習は正座のあいさつから。基本指導のあと、防具をつけて練習=写真=するが、この時は中学生も小学生の相手をする。毎年行われる市内の剣道大会と県警主催の大会には、団体戦、個人戦に選手を送り出すため、大会が近づくと、練習にはいっそう熱が入る。
 父母の会の母親たちは「礼に始まって礼に終わるので、あいさつがしっかり身についた」「熱心な指導で子どもたちも楽しんでいる」と話している。現在、新年度の練習生を募集中だ。連絡は厚木署生活安全課少年係。0223・0110・内線265番へ。

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18人を委嘱―消費生活モニター
 4月22日、厚木市消費生活モニターの委嘱式が行われ、公募で応募した18人に山口市長から委嘱状が手渡された=写真。
 最近は不況などの影響もあり、キャッチセールスや訪問販売、携帯電話を悪用した架空の請求など、悪徳商法の被害に遭ったというトラブルが増え、消費生活センターへの苦情や問い合わせの電話が多くなっている。
 市では契約をめぐる正しい知識を身につけ、被害に遭わないよう注意を呼びかけているが、新手の商法が出現し、いたちごっこになっているのが実情。
 消費生活モニターは、勉強会や研修会を通じて、賢い消費者としての知識を習得するほか、市の消費生活行政に対する意見や要望を寄せたり、市が主催する行事やキャンペーンなどに参加し協力するのが仕事。
 任期は1年で、来年の3月末日まで。今後、10月に開催を予定している「消費生活被害未然防止キャンペーン」や、1月に開催する「消費生活展」などの行事に参加するほか、月1回の割合で、研修会やモニター会議などを開いて、意見交換などを行っていくことにしている。

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七沢でせんみ凧づくり
 5月5日、厚木市七沢の玉川公民館で、せんみ凧の製作と凧揚げが開かれた。玉川地区文化振興会(三橋光男会長・26名)が、昔ながらの凧揚げの風習を再現しようと企画したもので、子どもからお年寄りまで百名が参加した。
 せんみ凧は「せみ」の絵が描かれている凧のことで、昭和30年ごろまで県央、県西地区では5月の節句の時期に盛んに揚げられた。
 参加者は地元で、せんみ凧を作っている青木静子さんの指導で、4、5の2日間凧を製作、骨組みから色つけまで行った。完成すると公民館近くの田圃で、いっせいに凧揚げ開始=写真=、親子連れの参加者は「自分の作った凧がこんなに揚がるとは思わなかった」と喜んでいた。

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六価クロム環境基準の86倍を検出―日立ユニシア工場内
 厚木市恩名の自動車部品製造会社「日立ユニシアオートモーティブ」厚木工場は、5月8日工場内の土壌から、環境基準の86倍の六価クロム、地下水から環境基準の800倍のトリクロロエチレンが検出されたことを明らかにした。
 昨年10月から今年の3月にかけて、同社が自主的に土壌・地下水調査を実施したところ確認されたもので、25年から30年前まで自動車部品のめっき工程において使用していたクロム化合物と、洗浄工程で使用されていたトリクロロエチレンが漏洩したものと思われ、市の調査でも同工場周辺1カ所から最大で環境基準の1・4倍の六価クロム、7カ所から最大で4倍のトリクロロエチレンが検出された。
 同社では今後、土壌の除去、不溶化処置を中心とした対策のほか、土壌中の汚染ガスを吸引浄化する装置や地下水揚水浄化装置を増設し、汚染の除去に取り組むという。

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