第609号(2003.03.15)

減資と債権放棄を要請・市へはサブリース事業や税の徴収猶予―厚木テレコム

M厚木テレコムパークが1階から9階までを所有する厚木アクストメインタワー
 厚木市や神奈川県などが出資する第3セクター会社「厚木テレコムパーク」(落合直文社長)で、経営改善計画骨子案を立て、株主や金融機関、市などの関係機関に協力を要請していることが3月10日開かれた市議会で明らかになった。
 骨子案の内容は、株主118社に対して一律70%の減資を要請することと、日本政策投資銀行など7つの金融機関に約70億円ある債権の一部放棄を求めるもので、厚木市に対しては固定資産税の徴収猶予と分割払い、サブリース事業に伴うフロアの公共利用などの協力を要請している。
 市への協力要請については、山口市長と中村第三セクター担当部長が徳間和男(厚木クラブ)森屋騏義(共産)両議員の質問に答えたもので、山口市長は「市の新しい支援策となる骨子案を検討したうえで結論を出したい。改善計画案が共同事業者にご理解をいただければ再生の道は開けるものと思う」と答え、骨子案の理解に前向きな姿勢を示した。
 サブリース事業は、明治生命、富士通などが所有している厚木アクストメインタワーのフロア約1万3千平方メートルを借りて賃貸しオフィスを新設するもので、市や県などの公共機関に借りてもらい、その差額を同社の収益にするのがねらい。同社が所有するテレコムビルの1階から9階については、この4月に入居率が100%に達するため、新たな収益事業として考えたもの。
 徳間議員は、第3セクターの公益性と市民生活への影響について質問した後、総務省の「ガイドライン」を引き合いに出し、5項目ある経営改善計画の全容を明らかにするよう求めたが、市側は「現在金融機関や株主などに協力を要請している段階で、一定の方向性が出ないうちは他への影響も考えられるので公表は差し控えたい」と答えた。
 また、森屋議員は「これまで厚木市の態度の不鮮明さがこの問題を先送りしてきた」と指摘、「筆頭株主である厚木市の再建策を示されたい」と迫ったが、市側は「テレコム事業は官民共同で立ち上げたプロジェックトで、経営改善計画案は共同事業者、金融機関が応分の努力で経営改善を図っていこうと取締役会で承認されたもの。合意に達すれば債権が進むものと思う」と答えただけで、市の主体的な再建策や支援策は示さなかった。
 テレコム会社では、骨子案が合意されると、減資差益で累積損失を圧縮できるほか、金融機関の債権一部放棄やサブリース事業などにより、2004年度末には単年度黒字に転換できる見込みを示しており、10年で35%の借入金を返済、最終的には45年のスパンで返済が終了するシュミレーションを描いているという。
 同社は第11期の決算で、累積損失が約54億2千万円となり、資本金53億9,900万円を上回る債務超過に陥った。金融機関からの借入金は約69億円で、返済期限を過ぎて債務不履行になっている額は約24億円。固定資産税などの滞納額は3億5千万円にのぼっている。
 今回明らかになった経営改善計画案の中で、株主の減資と金融機関への一部債権放棄が認められるどうか、注目されている。

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善明川にダイオキシン―環境基準の2.3倍

 厚木市の下川入地区を中津川に並行して南北に流れる善明川(ぜんみょうがわ)で、環境基準の2倍を超えるダイオキシンが検出されたことが、昨年12月に行った市の水質調査で分かった。
 善明川は愛川町坂本の中津川を源流として、下流の長坂青少年広場東側先で再び中津川に合流している。汚染の原因は不明で、流域には工場排水などが流れ込む場所はない。今のところ人体に直接影響はないが、春先から農業用水として利用されるなど環境への影響が心配されるため、公表に踏み切った。
 環境基準を超えた場所は、同市関口の長坂青少年広場東側の地点で、2.3ピコグラム(1リットル当たりの含有量。ピコは1兆分の1)のダイオキシンが検出された。市では上流の中の橋や蟹沢橋の地点でも水質と低質(水底に堆積した泥土やヘドロなど。砂や石などは含まれない)調査を行ったが、いずれも環境規準を下回った。
 善明川は昨年8月29日、荻野川を含む市内9河川10カ所の定期ダイオキシン調査で、0.9ピコグラムを超えたため、12月16日民間の分析機関に委託して最調査を行っていた。
 市では汚染原因を絞り込むため、3月6日、長坂青少年広場東側から上流約750メートル区間の河川水3カ所の水質調査や、善明川に流入する都市下水路2カ所、農業用排水路3カ所、市道路側溝2カ所の計10カ所の水質調査を実施し、結果が分かり次第公表するという。

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3月16日 第30回相模人形芝居大会

相模人形芝居
 国と県の無形民俗文化財に指定されている相模人形芝居の5座が一同に会して演目を披露する「第30回相模人形芝居大会」が、3月16日、厚木市文化会館小ホールで開かれる。
 同人形芝居連合会の主催で行うもので、厚木市などの5教育委員会が共催する。
 相模人形芝居は今からおよそ250年前に、江戸から相模地方一帯に伝わったといわれ、1つの人形を3人で遣う「3人遣い」=写真=と、「鉄砲差」という独特の操作方法が特徴だ。
 現在、県内には厚木市の長谷座、林座、小田原市の下中座、平塚市の前鳥座、南足柄市の足柄座などその伝統を受け継ぐ5つの座がある。
 厚木の林座は240から250年の歴史があるといわれ、江戸時代後期の記録には、大阪の有名な人形遣い吉田朝右衛門を師匠に迎え、明治時代には「林の人形」「吉田連」とも呼ばれていた。林座には現在、51個の首が伝わっており、そのうち31個が鉄砲差。
 また、長谷座は今から300年前に淡路の人形遣いが伝えたものと口伝され、それを裏づける淡路の面が、地元の堰神社に伝わっている。長谷座には現在、56個の首が伝わって」いるほか、座員が作ったものを多数保有している。
 16日の大会では、林座が古典芸能の開演前に演じられる儀式舞踊「三番叟」と「本朝廿四考十種香の段」、長谷座が久しぶりに「藪鶯恋枝道小磯ヶ原の段」を公演する。
 このほか、小田原の下中座が「菅原伝授手習鑑寺子屋の段」の前段を復活公演、前鳥座が「生写朝顔話宿屋より大井川まで」、足柄座が「艶容女舞衣酒屋の段」を公演する。
 当日は人形芝居のほか人形芝居教室も行われる。入場は無料。 

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校庭のクスノキを思い出に―荻野小父親が卒業式の立て看板作り

 3月2日、厚木市立荻野小学校(門田美恵子校長・児童数314人)PTAの父親たちが中心となって組織する「大時計クラブ」(梶正樹代表)が、校庭のクスノキを使った立て看板づくりを行った=写真。
 これは今年度の給食調理室の建設にともない、建設予定地にあったクスノキを子どもたちに思い出の品として残そうと企画された。クスノキは木造校舎から鉄筋校舎に建て替えられたときの記念に植えられたもの。
 学校ではこのクスノキのの枝などを5、6年生の図工の材料にしたり、PTAの工作教室で利用したりしてきた。
 作られた看板は縦2メートル、横0.5メートルの大きさ。卒業式、入学式、運動会用の3枚で、校門に立てかけるもの。地域の製材所の協力で、おおまかに加工されたクスノキを、3日がかりでやすりをかけ、文字の彫刻、墨で文字入れをし、3月9日仕上げをして完成した。

 父親たちは作業を進めながら「立派なものができました。これで卒業式に子どもたちを送り出せる」とうれしそうに話していた。
 「大時計クラブ」は、父親が学校に来る機会を増やし、学校運営に父親の力を生かそうと、平成13年6月に発足した。子どもたちをチクタク小さな時を刻む小時計にたとえ、大人はそれをどっしりゆっくり見守る大きな時計だとの思いから、この名がつけられた。
 普段は先生や子どもたちができない蛍光灯や側溝の清掃をはじめ、運動会での保護者参加種目の企画、体育館での舞台発表、写真撮影用ひな壇を作るなど、積極的な活動をしてきた。今後はこのクスノキを使ったテーブル作りも予定しているという。

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3月30日―かながわ教育テイーボールセミナー・実技講習会

 平成15年の「かながわ教育テイーボールセミナー・実技講習会」が3月30日10時から、厚木市七沢の県総合リハビリテーションセンター会議室とグランドで開かれる。
 セミナーは平成14年度から始まった学校教育の新教育課程の中で、小学校3・4年生の体育の授業にティーボールが導入されたことを受けて、小中学校や養護学校教師、地域のスポーツ指導者を対象に理論と指導法、審判法について学んでもらうのが目的。NPO法人日本ティーボール協会神奈川県連盟が主催、県と市の教育委員会、市子ども会連絡協議会が後援する。
 セミナーは午前中、学校教育、地域スポーツ、障害部会の3分科会に分かれて開催、都立南大沢学園養護学校の久保田浩司教諭と神奈川連盟の役員が講師をつとめるほか、早稲田大学の吉村正教授が「生涯スポーツとしてのティーボールの魅力」について講演する。
午後には正しいバッティング指導や審判法について実技指導を行う。参加費は2,000円(学生1,000円)。初級指導者資格認定・登録を希望する方は別途1,000円。先着50人。23日までに事務局まで申し込む。tel:4296・4377番(斉藤)
 ティーボールは野球やソフトに似たスポーツで、本塁プレートの後方においたバッティングティーにボールを載せて、そのまま止まったボールを打つもので、投手は必要ない。1988年野球やソフトボール入門組の子どもたちのために考案された。

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全校生徒が合唱で落成祝う―厚木中体育館完成

 2月28日、厚木市立厚木中学校(山崎久校長)で体育館と落成式を祝う会が行われた。
 同校体育館は昭和38年1月に竣工した市内では最も古い体育館。市内で最初に建て替え工事が行われることになり、平成13年12月から工事が進められていた。
 完成した新体育館は、小中学校の体育館の中でも、最も広いアリーナ面積を持ち、各種競技大会や一般開放でも利用しやすい施設となっている。生徒の安全や災害時の避難場所としての機能を確保するため、施設のバリアフリー化による障害者用トイレなどの整備や雨水タンクを設置するなど、環境面にも配慮した設計となっている。
 落成を祝う会では、垣澤社中による相模里神楽「三番叟」の舞い、影向舎(ようこうしゃ)の奇術、曲芸、落語が披露された。そして最後に吹奏楽部の演奏で、神奈川の合唱曲「ふるさとの風になりたい」を全校生徒633人が合唱し、体育館の落成を祝った。
 市では平成9年度から小中学校の校舎の耐震補強工事に着手、今年度すべてが完了し、今後は体育館の耐震補強工事を順次進めていく。

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家庭生活を活性化― 主婦たち中心に旗揚げ―国際生活文化ミュージアム

 低迷する生活感の中で、主婦のサークルが中心となって、優れた欧米の生活文化情報を収集し、そのノウハウを家庭に取り込んで、家庭で働く主婦の日常生活をより豊かにするほか、国際的な生活文化の相互理解と友好を目的にして情報交換や人的交流などの活動を行っていく民間団体「国際生活文化交流協会」略称ALICE(アリス)が横浜市で旗揚げした。
 アリスは当面、各国の政府機関や、団体、企業の後援・協力を得ながら、全国各地で「国際生活文化ミュージアム」を開設し、国際的な生活文化の交流拠点、情報発信基地としての役割を担っていくという。
 ミュージアムでは、主婦など生活者の育児や家事などのストレスを軽減し、生活向上心を刺激し、豊かな日常生活に寄与するための催しや情報の提供を行っていく。今後はNPO法人をめざし、生活文化の向上を基本として、国際的な視野に立った家庭問題や語学教育に対しても、問題を提起するなど、生活文化全般に貢献する活動を行っていく考えだ。

デッドストック輸入生活雑貨展
 同会では活動の一環として、2月17日から、第1回目の国際生活文化ミュージアム「デッドストック輸入生活雑貨展」=写真=を横浜市青葉区で開いている。ミュージアムのテーマは「欧米生活雑貨に見る生活文化」で、日本では手に入らない輸入中止や製造中止になった石鹸、家具、知育玩具などの在庫を世界中から集めて展示販売するほか、イラストパネルの展示や、実際に体験できる外国教材、試食、外国通販図書館、輸入生活雑貨データーベース、リサイクルコーナーなどを用意している。
 子どもは無料で玩具や絵本なども利用できるほか、大人も館内のパソコンを使って無料でワープロや表計算、インターネットなどを体験できる。開館時間は水曜日を除く毎日12時から20時まで。入場無料。場所は東急田園都市線青葉台駅徒歩5分。
 事務局では、第2回目以降も無償で利用可能な開催場所を募集していきながら、各国政府や企業、団体に呼びかけていくと話している。問い合わせはアリス事務局tel:045・985・9945番(宮城・藤本)。  

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