第596号(2002.9.1)

ごみ処理広域化で一部事務組合を選択

 平成16年設立・24年度の開始目指す-広域化は問題」と市民から懸念の声も
 厚木市、愛川町、清川村の3市町村で構成する「厚木愛甲ごみ処理広域化推進会議」(座長・山上勇厚木市助役)は8月21日会議を開き、広域化による一般廃棄物処理の事業主体となる組織を、地方自治法第284条に定める「一部事務組合」を選択することに決めた=写真。
 今後、焼却施設や最終処分場の場所選定、費用負担などを協議、各市町村議会の議決を経て平成16年4月を目処に組合設立、24年度の広域処理開始をめざす。

 同推進会議によると、現在3市町村の一般廃棄物の年間発生量は11万6千トンで、平成24年には23・2%の増加を見込んでいる。これに対して厚木市の処理能力は日量327トン、愛川町が56トン、清川村は平成9年5月から厚木市で処理を引き受けており、厚木市の施設は平成22年ごろには耐用年数を迎える。
 今回、広域連合ではなく一部事務組合を選択した理由を、推進室の小野澤正已室長は「ごみ行政の全てをやるのではなく、焼却と最終処分という一部(中間処理)しかやらないことと、広域行政でやるメニューがまだごみ処理だけに限られているため広域連合の必要はないと判断した」と説明する。
 神奈川県は平成9年1月と5月に出された厚生省のダイオキシンに関する「新ガイドライン」と「広域化」の通達を受け、翌年3月に「ごみ処理広域化計画」を策定した。県内を9ブロックに分けて調整会議を設け、市町村に対してダイオキシン抑制を柱にした「広域化実施計画」の策定を促している。このうち、横須賀・三浦ブロック(4市1町)は、昨年度他に先がけて「広域連合」で合意したが、その後設立を中止した。
 こうした国通達による、一般廃棄物の広域化計画は、「市町村の自治事務を奪うもので、地方自治法違反だ」として、県下のごみ処理広域化に問題を投げかけているジャーナリストの山本節子さんは、「広域連合も一部事務組合も市民の監視やコントロールが届かない危険なもの」と指摘する。
 「下川入環境を守る会」の鈴木昌子さんは、「減量化を考えないで広域化を考えるのは順序が逆。広域化の話にはごみを出す当事者である住民が最初からカヤの外に置かれ、行政だけで話が進められている。それになぜ広域化なのかという根拠が極めて曖昧だ。広域化は施設を新型化、大型化するのでゴミの量を増やすことにつながるし、産業廃棄物は引き受けないという保障もない。まず行政と住民で充分に話し合い、市民と行政、専門家など第3者を入れたごみ対策会議を作るなど、それぞれの市町村で出来ることを話し合うべき」と話している。

 市民の監視・コントロールが届かないシステム―広域化は「民営化構想」に近づく 

 県の誘導にもかかわらず、厚木愛甲ブロックが一部事務組合を選んだのは広域連合の違憲性、違法性に気づいたからではないだろうか。昨年8月には、横須賀三浦ブロックもどたんばで広域連合の設立をキャンセルしており、広域連合の問題性はようやく広く認識されつつある。
 しかしごみ処理の「広域化」を前提とする以上、一部事務組合もやがては(1)広域連合、(2)民営化、(3)廃棄物処理センター、などの形をとらざるを得ない。一部事務組合を含め、これらはすべて市民の監視やコントロールが届かないシステムで、その閉鎖性はごみ処理事業への参入をねらう企業には都合がいい。
 神奈川県は広域化の将来図は民営化であるとして、特定の企業グループと共にまとめたごみの全量焼却\発電利用案を、すでに県の廃棄物処理計画に盛り込んでしまっている。広域組織作りはこの「民営化」構想に一歩近づくことになる。しかし、広域化の反民主性を住民が知れば、話は簡単には進まないだろう。今回の組合設立の表明は行政機関の正式決定ではなく、今後、行政は議会提案前に市民に正確な情報を提供し、議論を喚起しなければならない。    
    行政ウオッチャー・調査報道ジャーナリスト   山本節子(鎌倉市) 

 車椅子の赤瀬陽久さんが絵画展―搬出入や飾り付けのボランティア求む・10月21日から市民ギャラリーで
 厚木市温水に住む頸髄損傷の赤瀬陽久さん(38)=写真=が、10月21日から1週間、厚木市民ギャラリーで、初めての絵画展を開くが、車椅子生活で手指も不自由なため、作品の搬入・搬出や飾り付け・会場受付など絵画展を手伝ってくれるボランティアを探している。赤瀬さんは大阪府柏原市の生まれ、高校1年の夏、ラグビーの練習試合で頸髄を損傷、以後電動車椅子に依存する生活になった。

 退院後、子どもの時から好きだった絵の具を使った落書きを始めたが、将来を考え22歳の時に簿記資格取得の勉強を開始、3級、2級、1 級とトントン拍子に合格、国家試験にも挑戦したが再三不合格になり、5年間およぶ税理士への道を断念した。
 その後、再び落書きに戻り、絵を中心にそこから派生する夢をこの手にと、「ゆめ企画」をスタートさせる。平成10年8月、大阪国際交流センターで初の個展を開催、それを機に各地で作品展を行った。12年夏、両親とともに厚木市に移転、兄夫婦と同居する。
赤瀬さんが描くのはアクリル絵の具を使った水彩画。動物、植物、人間など描く対象はそのときどきの気分によって異なるが、対象を詩的にデフォルメした東洋的な色彩感覚が特徴。指が動かないので、ボールペンと皮バンド、水道のホースを止める金具をセットにした装具を考案、金具に絵筆を差し込んでこれを手にくくりつけ、手首を使って描くというやり方だ。体調を考えると1週間のうちに絵に専念できるのは2〜3日。1枚の絵を仕上げるのに1か月はかかる。
 今回出展するのは、「金魚の夢叶えましょう」「ハムスターの紫陽花日記」「コスモスとマルチーズ」「ペンギンの宇宙遊泳」「キタキツネ物語」「武田信玄の舞い」「太陽とハイビスカス」など60点。絵画展までにあと2点仕上げる予定だ。知人の鈴木洋子さんも、詩やパステル画を友情出展する。
 「子どもの時から好きだった絵を通して多くの人の心の中に、自分の歩んだ足跡を、生きた ”あかし“として残して死にたい」という赤瀬さん。人に夢と書いて「はかない」と読むが、ある日、夢をこの手につかみたいと思った時、夢に手ヘンをつけ自分の「夢」とした。
 ボランティアの問い合わせはTEL:290・2280番の赤瀬さんへ。

 スペイン滞在9年間の足跡描く― 洋画家の川口さんが個展9月2日〜7日「ギャラリーあいかわ」で
 厚木市寿町に住む洋画家・川口そのえさん(54)=写真=が、9月2日から同市旭町のギャラリーあいかわで「洋画展\スペインに生きて」を開く。川口さんは35歳の時、藤沢市に住む洋画家三嘴正之氏に師事、4年間デッサンやペン画、水彩、油絵などの基礎を学んだ。89年夏、「自分の世界を見つけよう」とイタリア、スペインを取材旅行、そのままスペインのサラマンカに移り住んだ。
 スペイン滞在中は、サラマンカの公立アルテ・アブリカード美術学校でヌードデッサンを学び、彫刻家ボニー・フアシオ・ペドラスに師事、96年にはスペイン文化庁から作家の承認を受け、同国一流の美術評論家アントニオ・ルーカス・ベルドゥの評価を受けた。
 また、サラマンカ精神障害児団身体インソラミスのボランティア画家としても活躍している。滞在中はフランス、ポルトガル、オーストリアなどを取材旅行、91年と98年に個展を開いた後、98年8月に帰国した。
 風景画を得意とし、花や静物も描くが、最近はスペインの街角で見られるストリートミュージシャンや大道芸人に興味をそそられ、「彼らの生きざまや魂をどう描くか」が自分にとっての最大の課題だという。このためコンテストや展覧会には出品せず、無所属でただひたすら自分が納得できる絵を描くのがモットーだ。
 帰国後は、スペイン語の個人教授をしながら描き続け、その間スペインやペルーなどを取材旅行、作品をあたためてきた。厚木では98年9月に市内のホテルで水彩画17点を発表したが、本格的な個展は初めて。
 個展では「サラマンカの大聖堂とローマ橋」「花と小壺」「バイオリン弾き」「16世紀のパン屋」などの油絵のほか、「古都トレド」「アコーディオン弾き」などの水彩画、「ピエロ」や「サラマンカ」イタリアの地方都市「シュタイヤー」を描いたペン画、パステルの「ひまわり」など22点を出展する。7日まで。TEL:227・1881番。

 少年少女消防教育―放水訓練など体験
 8月21日、厚木市下津古久の神奈川県消防学校において、少年少女消防教育が行われた。これは県下の3年生以上の小学生と中学生を対象に、消防知識の習得や火災予防の習慣を身につけることを目的に行われたもの。夏休み期間中に6回実施され、446人の児童・生徒が参加した。
 この日は5回目で、厚木、座間、海老名から52人の子どもたちが参加、午前中は消防車への体験乗車や放水体験=写真、午後は三角巾の取り扱いや消防学校の施設を利用した地震・風水害体験などが行われた。

 子どもたちは日常生活では体験できない訓練や知識の習得に、ちょっと戸惑いを感じながらも真剣に取り組んでいた。参加者は「風水害体験では風がとても強く、つかまっていないと身体が飛ばされてしまいそうだった」、また「今回は消化器による消火訓練が出来なかったので、また来年もぜひ参加したい」などと感想を話していた。

 エコタウンかながわ―工作教室などに人気 
 8月24、25の両日、厚木中央公園で、太陽光発電などのクリーンエネルギーや暮らしの中の省資源・省エネルギー、リサイクルや都市緑化などについて、体験しながら理解できるイベント「エコタウンかながわ2002」が県と厚木市の共同主催で開かれた。
 会場には太陽光発電機器の展示やソーラーカー工作教室などのクリーンエネルギーコーナー、牛乳パックを利用したハガキや小物づくりなどの省エネ・リサイクルコーナー、都市緑化コーナーや車椅子の試乗体験ができるバリアフリーコーナー、ステージコーナーなどが設けられた=写真。
 
 午前11時、市立小鮎中学校吹奏楽部によるファンファーレを合図にオープニングセレモニーが開かれれ、ステージコーナーでは小鮎中学校吹奏楽部や和太鼓演奏のほか、小学生の環境活動クラブ「子どもエコクラブ」による発表会も行われた。

 交通安全全国キャラバン隊―厚木でキャンペーン
 8月22日、厚木中央公園と本厚木駅間で、平成14年度の「みんながすすめる交通安全全国キャラバン隊」の厚木市キャンペーンが行われた=写真。キャンペーンは「交通安全は家庭・職場・地域から」を合言葉に、全国、県、市交通安全母の会が主催したもので、母親の交通安全意識を高めるとともに、地域に交通安全思想を広めて事故防止に役立てるのがねらい。キャラバン隊は、全国を7つのブロックに分け、ミニバンの走行にあわせて各県関係車両がキャンペーンに参加する。関東ブロックでは今回神奈川県がスタート地に選定され、厚木市から出発することになった。 
 厚木中央公園では午前10時、県警音楽隊によるドリル演奏でキャンペーンがスタート、市交通安全母の会の石川茂子会長が「今回のキャンペーンを機にいっそう交通事故防止活動を推進していきたい」とあいさつした。この後、本厚木駅までをパレード、県警音楽隊やカラーガード隊の先導で、ミニバンやオープンカーで道行く人に交通安全を呼びかけた。キャラバン隊は9月23日まで各県でキャンペーンを展開する。

 あつぎみらい21が―創業支援セミナー
 8月24日、特定非営利法人NPOあつぎみらい21(早川倉治理事長)が主催する「創業支援セミナー」が、厚木市ヤングコミュニティセンターで始まった。国の新規創業支援政策にあわせ、県や市でインキュベーション施設の開設やセミナーなどの支援策が行われているが、厚木市でも第3セクター会社「厚木テレコムパーク」が、厚木アクストビルに近々インキュベーションルームを開設する。セミナーはこの施設整備にあわせて企画された。
 「あつぎみらい21」は今年の3月、会社経営や管理職の経験者が、中小企業診断士の資格を持ちながら経営コンサルティングなどの仕事をしている人たちが設立したNPO法人。

 経済の活性化に向けて、地域に帰還する元気な中高齢者が、経験や能力を活かして、活性化の原動力となる人材を育成・活用しながら、活力あるまちづくりを進めようというもの。
 この日のセミナーには32人の創業をめざす経営者の卵が参加した。第1回は市の新事業創出アドバイザーの土志田利雄さんが、「創業とは」のテーマで講義、創業の準備や心構えについて話すと、参加者はメモを取るなどして熱心に耳を傾けていた=写真。  
 セミナーは9月16日まで5回行われるが、14日の第4回目には、市内企業大和ケミカルの中村幹夫社長が、体験を通じた特別講義を行う。

 審議会・行政委員会の会議録公開―厚木市 9月1日から実施
 厚木市は9月1日から各種審議会などの会議録をインターネットで公開する。同市ではすでに議会の会議録を公開しており、審議会はこれに続くもの。対象となるのは総合計画審議会、情報公開審査会、都市計画審議会など55の審議会と教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、固定資産評価審査委員会など5行政委員会。
 市のホームページ上で会議の開催予定日や審議会等の一覧表、委員名簿、会議の公開・非公開の別、会議録掲載の有無、会議録の中身などを公開する。閲覧方法は市のホームページ(http://www.city.atsugi.kanagawa.jp/)のメニューの中から「市役所情報舘」を選択して、さらに「情報公開・情報提供」を選ぶと閲覧できる。9月1日から順次実施し、平成14年度開催分から1年間掲載する。
 審議会の会議録公開は県下の市町村ではすでに川崎市、相模原市、大和市で行われているが、行政委員会を含めての公開は厚木市が初めて。
  留守家庭児童クラブ―9・10月に5クラブ開設
 厚木市は平成8年度から、小学校の余裕教室を利用した公設公営の児童クラブを開設しているが、この9月から新たに玉川小、上荻野小、飯山小、上依知小、10月には小鮎小に児童クラが開設される。時間は月曜日〜金曜日は放課後〜18時30分、土曜日・春夏冬休みは8時30分〜18時30分。保護者の負担は月額4000円。同市ではすでに23小学校のうち15クラブを開設しており、これで児童クラブは20校になった。残りの3校(三田小、依知小、南毛利小)については平成15年度に開設される。  

 学校5日制テーマに意見交換
 家族と過ごす・地域活動に参加 8月26日、厚木市ヤングコミュニティーセンターで、市内の小学5、6年生46人と中学生26人が出席して、「学校週5日制と私」をテーマにした「あつぎ子ども会議」が開かれた=写真。
 同市教育委員会が21世紀を担う子どもたちが、自らの考えや意見を述べるとともに、自分以外の人の考えも受け止めることができる人間形成を図る目的で開いたもので、今年で5回目。。
 コーディネーターの進行で始められた会議では、学校週5日制にともなう土曜日・日曜日をどのように過ごしたいか、地域行事への参加についてどのように考えるかなどについて活発な意見が出された。
 その中で、小学校の部の子どもたちからは、「土日が休みで時間にゆとりがあるので、家族と過ごす時間を多くとりたい」「自分の趣味や習い事など好きなことをしたい」「厚木中が花でいっぱいになるよう、全地域で一斉に花を植える活動をしたい」など夢が広がる意見が出された。
 また、中学校の部の子どもたちからは、「地域は私たちの生活の場、育つ場なので、できる範囲内で地域活動に参加したい。その中でもみんなが心地よく暮らすために地域の美化活動に力を入れ、他の地域とも交流していきたい」「中学生の生活は忙しい。土日は学校ではできないことを地域で学んだり、家でのんびり読書をしたり、友達とも語り合いたい」などの意見が出された。

 中・高生のボランティア体験発表会
 厚木・愛甲地区の中学・高校生が夏休みの自由研究として取り組んだボランティア体験発表会「トーク&トーク」が、8月24日午前、厚木市中町の勤労福祉センターで開かれた。
 厚木市と社団法人県青少年協会、市社会福祉協議会の三者が、同地区内の中・高校生を対象に公募で実施した夏休みの体験活動事業「自分のやりたいボランティアをさがしてみよう!」の一環として行われたもの。

 5回目となる今回は56人が参加、自然環境や動物の世話、子どもの保育、高齢者とのふれあいなど7分野にわたって夏休みの数日間、12カ所の受け入れ先でボランティアを体験した。
 発表会では生徒たちが受け入れ先別に分かれ、それぞれ自分の体験や思いを話し合い、その結果をグループごとに発表した=写真。
 各グループからは、「ボランティア活動は初めてだったが、やれば出来ると思った」、「周囲に自然がいっぱいあるけど、みんなで守らなければなくなる怖れがあることがわかった」、「お年寄りから感謝され、またやりたいと思った」などの成果や感想が発表され、生徒たちは今までとは違ったもう一つの夏休み体験を振り返った。 

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