第581号(2002.01.15)

   県と市が地下水調査 数ヵ所で環境基準を超える汚染物質検出
 厚木市は昨年8月と9月に、市内旭町周辺地区で地下水汚染が判明したため、市内で利用されている災害時給水井戸の水質汚染状況を把握するため、11月15日と22日の2日間にわたって水質調査を実施、その結果をまとめた。また、平成2年度から市内の井戸所有者の協力を得て行なっている「定点地下水水質調査」の結果も公表した。一方、県央地区行政センターでも、昨年8月と9月、市内旭町周辺の地下水調査を行ったが、さらに広範囲な地域を対象にした調査が必要と判断、11月12日から22日の間に井戸所有者の協力を得て、県・市合同による地下水調査を行なった。その結果、市の調査では1カ所、県・市合同の調査では16カ所で環境基準を超えるトリクロロエチレンなどが検出された。

 市の調査は昨年11月15日と22日の2日間にわたって行なわれ、同市上依知、金田、妻田東、妻田西、妻田北、上荻野、七沢、小野、長谷、愛名、恩名地区にある17カ所の飲料用専用の防災井戸を対象に、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタンなどの汚染状況を調べた。 
 その結果、恩名地区1カ所の井戸から環境基準を1・6倍上回るトリクロロエチレンが検出されたほかは、すべて環境基準以下の数値だった。市では基準を超えた恩名地区の井戸所有者に対して、県保健福祉事務所の協力を得て、直接飲用しないよう指導した。  
 また、市内の井戸所有者の協力を得て平成2年度から市内の8カ所を対象に行なっている定点地下水調査と汚染井戸周辺調査を11月2日、12日、13日に行ない、有機塩素系物質による地下水の汚染状況を調査した。
 その結果、8カ所の井戸のうち、上古沢地区の事業所及び上依知地区の事業所の2カ所から環境基準を上回るトリクロロエチレンが検出された。
 基準の超過状況は上古沢地区が2・8倍、上依知地区が23.7倍だった。この2カ所の事業所では飲料用には使用していない。また、汚染井戸周辺調査では、上古沢地区、上依知地区の周辺井戸でトリクロロエチレンは環境基準を下回る結果となった。
 同市では上古沢地区の事業所については、平成9年から自主的にトリクロロエチレンの浄化対策を実施しており、上依知地区については「土壌・地下水汚染防止対策検討会」で汚染源の究明を行ない、対策を検討していくことにしている。
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 一方、昨年11月12日から22日に県が市と合同で行った井戸水の地下水汚染調査では、16カ所から調査対象の10物質中、トリクロロレチレン、テトラクロロエチレン及びシス−1,2−ジクロロエチレンの3物質が環境基準を超過して検出された。調査対象地域は尼寺工業団地から南東方面にかけ、小鮎川、恩曽川、相模川に囲まれた地域を中心とした56カ所(事業所27カ所・民家29カ所)。
 このうちトリクロロエチレンについては10カ所(事業所6か所・民家4カ所)、テトラクロロエチレンについては8カ所(事業所6カ所・民家2カ所)、シス−1,2−ジクロロエチレンについては1カ所(民家1カ所)で環境基準を超えた数値が見られた。
 同地区の地下水については、平成7年に3物質を対象にした調査を行なっており、各調査地点は27カ所が重複しているが、それぞれの物質ごとの結果を比較すると、最高濃度や平均濃度で数値の低下が認められた。
 県では環境基準を超えた事業所のうち、過去に超過物質の使用実績がある事業所については浄化対策を実施中で、その他の事業所についても使用の際には高度処理を行なって水質をチェックするなどの対応を指導している。また、民家の井戸水については、直ちに健康影響が懸念されるレベルではないが、汚染が判明した井戸水は沸騰させて飲むなど、直接飲用に供しないよう指導を行なっている。
 
トリクロロエチレン 無色透明の液体で、皮膚や目に対して刺激性を有する。中枢神経系に影響を及ぼし発ガン性を示す。
 
テトラクロロエチレン 無色透明のややクロロホルムに似たエーテル臭を有する液体。強い麻酔性を示し肝臓などの器官に障害を起こし発ガン性を示す。
 
シス−1,2−ジクロロエチレン 特徴的な臭気を有する無色透明の液体。蒸気の吸入によりめまいや脱力感、嘔吐などの症状を呈する。高濃度では中枢神経に影響を与える。

民俗芸能のカシラや面・衣装など展示名役者の写真や台本・公演チラシも 厚木市寿町の郷土資料館2階特別展示室で、「あつぎの民俗芸能展―受け継がれるムラの娯楽」が開かれている。
 同市内には国や市指定の重要無形文化財をはじめ、数多くの民俗芸能が伝わってきているが、時代の変化や担い手が高齢化するなどの問題を抱え、地芝居などはすでに途絶えてしまったものもある。
特別展は、かつての人々の生活に潤いを与え続けてきた民俗芸能が最も輝いていた時期の名優たちの足跡や、芸能に使われる道具の紹介などを中心に、受け継がれている芸能だけでなく、今日では見ることが出来なくなってしまった地芝居や、伊勢十二座太神楽獅子舞の道具を展示しながら、民俗芸能の持つ意味、受け継ぐ意味を娯楽の面だけでなく、世相や社会などの多方面からとらえている。
 厚木の代表的な民俗芸能は、国指定の重要無形民俗文化財として知られる相模人形芝居林座・長谷座のほか、市指定の伊勢十二座大神楽獅子舞、相模里神楽、愛甲・長谷ささら踊り盆唄、古式消防、双盤念仏など8件。特別展では相模人形芝居の三番叟、カシラ、相模里神楽の神楽面、厚木太神楽の獅子頭、地芝居の刀や拍子木、衣装などのほか、名役者といわれた市川柿之助、三升源五郎などが活躍した当時の写真や文書なども展示されている。
 特に三升源五郎が関脇にランクされた明治45年発行の「大日本俳優大見立」や昭和初期の「弥よい劇団」の公演チラシ、大正15年に市川柿之助が厚木の厚盛館で2代目を襲名披露した舞台写真、「市川柿実」の印が押された和三郎の台本などは、当時の厚木の名優たちの足跡を偲ばせる資料として注目されている。特別展は2月12日まで。

里山の音「鳴く虫展」農大生が研究成果を発表 1月7日から厚木市役所の1階ロビーで、「里山の音・鳴く虫展」が始まった。
 東京農業大学厚木キャンパスの「昆虫生態学研究室」の学生が調べた成果を展示したもので、虫売りの屋台、鳴き声と発音機構 身近な鳴く虫に分類、写真や標本にして展示している。
同大学の昆虫生態学研究室では、これまでも厚木の自然に関心をもち、里山生物の現況についての調査を行ってきた。特に昨年7月と8月は調査の焦点を「鳴く虫」に絞って実施、このほどその研究の成果がまとまった。調査は厚木市のどこに、いつ頃、どんな虫が鳴いているかを調べたもので、昨年夏は高温少雨で、昆虫の発生に影響が出ていることも分かった。

 一方、同市では市の環境基本計画にもとづいて、身近な自然環境を保全する必要から「ふるさと生きものふれあいの里」事業に取り組んでおり、今年度から「21世紀厚木の共鳴(虫) 復活調査」に取り組むという。
 展示会はこうした市の協力を得て実施したもので、夏のセミや秋のキリギロス、コオロギなどのほか、身近に鳴く虫や泣き声と発音機構についても細かく解説している。
 同大学研究室の立川周二教諭は「日本人には虫を通して、ある種の感慨を得る共通した心理状況が存在している。この展覧会で虫の音を聞きながら、もう一度日本人であることを思い起こしていただければ」と話している。31日まで開催。

金岡千愛さん秋田バレエコンクールで2位 亜甲絵里香さんが厚木市寿町で主宰する「絵里香バレエスタジオ」に所属する金岡千愛(ちあき)さん(12) が昨年12月8日、秋田市で行なわれた「第20回秋田全国舞踊コンクール・ジュニア部門」で第2位に入賞した。
 ジュニア部門には全国から76作品300人が参加して、それぞれの技術や表現力などを競ったが、千愛さんが踊った「水色の思い出」が技術・表現力ともに高く第2位に入賞した。
 千愛さんは5歳の時に亜甲さんについてバレエを勉強、小学校1年生のときから東京コンクール、埼玉コンクール、秋田コンクールと1年に3回ある全国コンクールには毎年欠かさず出場している。1年の時に出場した東京コンクールでは、初参加で初入選という前例のない快挙を成し遂げたほか、2000年の埼玉コンクールで奨励賞、昨年の秋田コンクールではジュニア部門で4位に入賞した。また、亜甲さんのニューヨーク公演やアテネの国際ダンス会議にも出席「原爆の図」を踊るなど、早くからその活躍が注目されている。
 亜甲さんは「私の28年間のバレエ指導の中でこれほど優れた素質もった子は初めてです。将来がとても楽しみ」と話している。

控訴を棄却 道路台帳補正業務訴訟 厚木市道路台帳補正業務委託契約に対する違法確認・是正措置等の請求事件にかかわる控訴審判決で、12月26日東京高等裁判所は、原告の控訴を棄却する判決を下した。
 これは同市林の土地家屋調査士・金井猛さんが、1厚木市が道路台帳補正業務をA社と随意契約したのは違法で、2道路台帳データ補正業務のためのコンピュータソフトをA社との共有著作物としたことの違法確認と是正措置を、山口巖雄厚木市長に求めていた裁判。原告の金井さんは平成13年3月に住民監査請求を提起、その後監査の結果を受けて5月23日横浜地裁に提訴したが、同年8月29日地裁判決で訴えを棄却されたため、判決を不服として9月5日に東京高等裁判所に控訴していた。

土・日も戸籍証明2連絡所と11市民センターで 厚木市は戸籍事務のコンピュータ管理効率化の推進にともない、これまで平日に限られていた戸籍謄本の窓口発行業務を、2月2日から土・日曜の休日にも発行することを決めた。
 また、これまで受付から交付まで30分かかっていた除籍・改製原戸籍も5分で発行されるなど、戸籍に関する証明発行業務が一段と迅速化する。
 取り扱い場所は本厚木駅と愛甲石田駅の2連絡所と11の地区市民センター。市役所本庁舎と厚木北、厚木南、愛甲地区市民センターでは取り扱わない。いずれも午前9時から午後5時までで、戸籍謄抄本のほか除籍謄抄本、改製原戸籍謄抄本などを取り扱う。
 同市ではこれまでも住民票や印鑑証明などの休日発行業務を行なってきたが、戸籍については市役所が開いている平日に限られていた。このため、会社を休まざるを得ない人がいるなど、市民の間から戸籍についても土・日発行の要望が出ていた。
. 市では現在の紙の戸籍から「磁器ディスク」をもって調整する戸籍簿を原本として管理するOAシステムに移行するのにともない、戸籍検索が簡単になったことから休日発行の実施に踏み切った。
 県内の自治体では事前に受付けた戸籍を週末に手渡す例があるが、受付と交付を即時に行なうのは初めてで、同市では「全国的にも珍しい」という(写真は厚木市森の里市民センターの窓口業務)。

はしご乗りなどの演技に歓声消防出初め式 1月7日午前10時から、厚木市恩名の市文化会館大ホールと駐車場で、平成14年度の「新春消防出初式」が行なわれ、消防団職員や市内事業所の自衛消防隊など約650人が参加した。この「消防出初式」は、消防団員の士気を高めるとともに、消防力を広く市民に公開し、消防への信頼と防火思想の普及を目的に毎年開かれている。当日は、恒例の厚木市古式消防保存会(中村直二会長・30人) によるはしご乗りとまとい振り込みが披露された。
 また、消防団職員などが本番さながらの見事な消防演技を披露、集まった観客から大きな拍手が寄せられた。会場を訪れた市内旭町に住む50代の男性は、「毎年楽しみにしています。はしご乗りの演技などは迫力があってすばらしかった」と話していた。なお、屋外の消防演技の前には、文化会館の大ホールで、消防団長表彰など消防活動に功績のあった関係者の表彰も併せて行なわれた。

ハーモニカのピーナッツ菓子製作 今年の7月30日から8月4日に厚木市文化会館で開かれる「第4回アジア太平洋ハーモニカ大会」の開催を記念して、同市栄町のピーナッツ菓子専門店・小野塚商店(小野塚徳博社長)が、ピーナッツ菓子「ハーモニカの街あつぎ」を製作した。
 昨年6月から創作に取り組んでいたもので、このほどハーモニカの形をイメージしたピーナッツ菓子が完成した。新製品は上下をピーナッツ入りスポンジでつくり、中をパイ生地であしらって、それぞれをピーナッツ入りチョコレートでサンドイッチにした。苦心した点はチョコレートの選択で、チョコレートの風味を残しつつ、ピーナッツの香りを出すことが非常に難しく、菓子材料のチョコレートを何十種類も試食して実験したという。
 菓子に添えられる栞(しおり)には、世界のハーモニカの歴史や日本の 複音ハーモニカ完成の歴史、1951年に浜松駅にハーモニカ娘が登場したことなどを写真入りで解説したほか、厚木ハーモニカトリオ、厚木チェリーズなど地元を代表するハーモニカプレイヤーも紹介している。
 ピーナッツ菓子「ハーモニカの街あつぎ」は、1本150円。希望により1本300円の本物のハーモニカをつけた8本入り、16本入りのほか、ピーナッツわらび餅、ピーナッツ羊かんを詰め合わせたものなども用意している。

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