第574号(2001.10.01)

フランス人のクリスチーヌさんを学校教育推進委員に
 厚木市教育委員会は、市内に住むフランス人芸術家のクリスティーヌ・プレさん(40)を、学校教育推進委員に任命、10月1日委嘱する。教育委員会では、平成9年4月、市民ニーズや多様な教育実践家の意見を聞いて、教育現場に反映させるため「学校教育推進委員会」を設置、教職員の代表者やPTA関係者、学識経験者など15人を委嘱してきた。委員は2年ごとにテーマを設定して、提言を行なうことになっている。
 今期は「心豊かな厚木の子を育てるため、豊かな体験の場となるべき学校への人的支援の在り方について」がテーマ。教育委員会では審議をすすめるにあたり、どのような方に委員を委嘱するかが提言内容を大きく左右する要素になることから、国際色豊かなまち厚木、大学のまち厚木、心豊かなまち厚木、障害者にやさしいまち厚木、開かれた学校教育を目指す厚木という視点から委員を任命、今回プロの芸術家であるプレさんを委嘱することに決めた。外国人が同市の審議会の委員になるのは初めて。
 プレさんはフランスのソルボンヌ大学を卒業後、93年に来日、東京芸術大学の修士課程を卒業した。阪神淡路大震災の復興には環境芸術を通して心のケアの面から支援を行った。厚木市には00年から住み、依知南小学校で児童が演劇を通して総合的な学習の成果を発表した際に、舞台芸術を担当した。教育委員会では、「学校が楽しい場となるため、学校施設の環境など児童・生徒にとって快適な生活を送ることが出来る総合的な学習環境について、芸術家としての視点から提言をお願いしたい」と話している。

市が直営方式を選択県立厚木病院移譲問題医療の継続性と市民に安心感を財政負担や経営面などの課題も
 厚木市は9月18日に開かれた市議会の「県立厚木病院移譲に関する調査研究特別委員会」に、移譲後の経営形態を、医師・看護職員などの中枢部門を直営で運営する「直営方式」が望ましいとする方針を提示、報告した。市は管理委託方式と直営方式の双方について検討してきたが、1.空白期間を生じさせない医療の継続性。2.経営責任が直接行政にあることで市民に安心感を与える。3.地域医療における地元医師会との良好な関係を継続できることと保健・福祉施策と連携した運営ができる。4.ある程度の財政負担軽減も可能である―などの理由から直営方式を選んだ。

 そして、市が目指すべき市立病院を「市民の命と健康を守る拠点」と位置づけ、「市民にとって親しみやすく、信頼でき、魅力ある病院」として、2次救急を中心とした24時間体制の救急医療、周産期救急医療、感染症・エイズ医療、災害時医療など高度の医療機能を確保しながら、小児科、産科および放射線科といった民間病院では実施できにくい医療サービスを提供していく考えだ。また、市長の諮問機関である「市立病院開設準備委員会」からも「運営形態については直営が望ましい」とする検討結果をいただいたとする報告もあわせて行なわれた。
 しかしながら、県が年間19億円近い財政負担をしてきたことから、厚木市も継続的に10億円を越える財政負担を強いられる。高度・救急医療を含め市に病院経営のノウハウがない。移行時に医療設備や機器の入れ換えおよび増設が避けられない。市立病院としての機能を確保するための立地から早晩、老朽化が進んでいる病棟の新築移転に迫られる。医師・看護職員を含め、移行時に県職員の就労がどの程度期待できるのかという人事と退職金・年金問題が浮上する。委譲後の職員待遇と業務の一部民間委託をどうするか―など、移譲に向けては依然として解決すべき大きな問題が残されている。市では「今後、議会の検討結果を踏まえながら、市民のための病院づくりを進め、移譲に向けて万全の準備を整えていく」としており、市議会調査研究特別委員会の検討結果を待って、山口市長が市の態度を正式に決定する。県との合意では移譲の時期は平成15年度当初になっている。
10月1日、市は「直営方式」を正式決定、山口市長が記者会見を行った。

トリクロロエチレン4カ所で環境基準値越え県央地区行政センターが地下水汚染を調査
 厚木市旭町のソニー厚木テクノロジーセンターの事業所内で、8月20日環境基準を越える地下水汚染が見つかったことで、県央地区行政センター環境部は、8月24日に事業所周辺6カ所の地下水調査を行なったことに続いて、9月13日にも周辺8カ所で地下水の追跡調査を行ない、このほどその結果を発表した。
 調査は旭町、岡田、恩名にある井戸水について行なったもので、8カ所の井戸のうち前回の調査で検出された1カ所から環境基準を越える2.1倍の濃度の「シス―1,2―ジクロロエチレン」が検出された。また、8カ所中4カ所の井戸から環境基準を越えるトリクロロエチレンが検出され、最高濃度は基準値の2.3倍だった。このほか、4カ所の井戸水からジクロロエチレン、3カ所からトリクロロエチレンなど検出されたが、いずれも環境基準に適合していた。県では今後も引き続き「土壌・地下水汚染防止対策検討会」で、調査結果の評価や原因究明を行なっていく考えでいる。
 同問題はソニーが、自主的な環境調査の結果確認したもので、8月20日行政機関に報告された。同社の調査では事業所内7カ所に設した観測井戸から汲み上げた地下水から環境基準を越える鉛、ジクロロエタン、フッ素が検出された。ソニー厚木テクノロージセンターは1960年操業開始。敷地面積11万平方mで業務用放送機器の製造、半導体の開発・試作などを行なっている。同事業所は「引き続き調査を行なうとともに、原因が特定出来次第、すみやかに対策を講じていく」と話している。

ツリフネソウなど満開県立自然保護センター
 厚木市七沢の県立自然保護センターの自然観察園では、秋の訪れとともに、ミゾソバ=写真=やアキノウナギツカミ、ツリフネソウが開花、谷戸の湿地がピンクに色づいている。ミゾソバ、アキノウナギツカミはタデ科の植物、ツリフネソウはツリフネソウ科の植物で、神奈川県内の小川や湿地などの水辺で普通に見ることが出来るが、同センターの谷戸には一面に咲きほころび、その様子はまさに圧巻。センターの自然観察園は湧き水が豊富で、ミゾソバやツリフネソウなどの水辺植物の生息には最適といわれている。また、ツリフネソウの花の密に誘われてやってくる様々な虫たちも観察することが出来る。また、マルハナバチはツリフネソウの中にもぐりこみ、花粉まみれになって密を吸い、次々とこの行動を繰り返すことで、花粉を媒介しているという。同センターでは、例年の観察記録によると開花の最盛期は10月上旬から中旬ごろ。月曜日と祝日の翌日(土・日曜を除く)は休館日。問い合わせは TEL046・248・6682番。

厚木市消防本部が雑居ビルの緊急点検すべてに適合は13%
 厚木市消防本部では、新宿歌舞伎町の雑居ビルで火災が発生、44名が死亡、3名が負傷した事故にともない、9月2日から17日まで、市内の雑居ビル103棟(3階以上・収容人員30人以上で遊技場、飲食店など複数のテナントが入居しているビル)の緊急査察を行なった。査察項目のすべてに適合していたビルは14棟で、全体の13%。残りの87%(89棟)に何らかの違反があった。
 査察項目のうち、防火管理者を選任していないビルは74棟(72%)、消防計画を作成していないビル75棟(73%)、また、消防訓練を実施していないビルは94棟で全体の9割を越えた。このほか、廊下や階段などに荷物があり、避難の障害となるビルが71棟、消化器の維持管理の不備や未設置のビルが65棟、警報設備の維持管理不備や未設置が68棟でいずれも6割を越え、防火戸の維持管理の不備も56棟あった。
 また、同市では建築基準法に基づく小規模雑居ビル67棟の防災点検も行なっており、9月21日までに実施した55棟のうち避難経路の不良ビルが38棟、非常用進入口の不良ビル25棟、防火区画の不良ビルも35棟あった。

ペットボトルにコチョウランが咲いた優雅な廃棄物の利用法県立中央農高3年の山田さん
 海老名市中新田にある県立中央農業高校(皆川尚一校長・生徒数571人)の園芸科学科演芸コース3年の山田哲也さん(17)が、身近な廃材であるペットボトルを利用して見事なコチョウランを咲かせることに成功した=写真。中央農業高校では、山田さんが入学した平成11年から順次、果樹園の移転を行なっているが、果樹園の廃木を見た山田さんは、かねてからこの廃材を何か有効に活用できないかと考えていたという。

 そんな時、コチョウランが原産地の東南アジアでは、熱帯林の幹肌にへばりついて成育し、きれいな花を咲かせていることを授業で知り、コチョウランの廃材への植生栽培を思いつき、課題研究のテーマに選んだ。コチョウランを着生させるものとしては、廃材となった樹木を中心に、コンクリートのブロック、樹脂製の育苗箱、木製の椅子などを使った。着生させた結果、樹木では非常に活着が良く、花の仕上りも良好だったという。その後、研究を進めていくうちに、身近な廃棄物であるペットボトルを活用できないかと考え、実験対象に加えた。しかし、ペットボトルは、ツルツルした表面のため活着が悪く、根の成長も悪いため、花が咲いても小さくて見栄えのするものにはならなかった。そこで、ペットボトルの表面に穴を開けて着生させたところ活着が良好となった。しかし、保水性が低く、水やりに苦労する結果となった。
 山田さんは、研究開始以来、コチョウランを一株ずつペットボトルに着性させ実験を繰り返していたが、改良を加えていくうちにペットボトルの形状に着目するようになり、ペットボトルを包み込むように両側から2株着生させてみたところ、根が絡み合い、活着、保水性ともに良好で、花の数や大きさともに鉢植えに負けない立派なものが出来上がった。山田さんは「まだ、着性させた廃材はほんの一握りです。今後はいろいろな廃材を材料として利用していきたい。廃棄物をただ処分するのではなく、手軽に利用できる材料として見直せば、高価な材料を使わなくても立派な花が咲きます」と話していた。

杉山勇さんが25回の記念個展花の詩・果実の詩テーマに10月2日〜8日ギャラリー悠で 
 厚木市林の洋画家・杉山勇さん(85)の第25回の記念個展が、10月2日から本厚木駅南口にあるギャラリー悠で開かれる。杉山さんは中央画壇では65回展の歴史を誇る大潮会の名誉会員で、長年理事をつとめる重鎮。油絵では厚木の草分けともいわれ、長いこと美術教師として子どもたちの指導に当たってきた。また、中学校長の時には卒業生に似顔絵を描いて贈るなど、心あたたまる話題を残している。
 退職後は絵画に専念、毎年個展を開いて研究を重ね、今年25回の記念展を迎えることになった。長い間身近な花や果物と会話しながら、四季の息吹を追い求め、自然の神秘に夢を託していく杉山さんの画業には、ずっしりと腰のすわったものが感じられ、その考え抜かれた構図と画面にただよう空気や匂いなどの色彩感覚は、それぞれの花や果実の持ち味を存分に生かしながら、重厚で洗練された写実空間を形づくっている。
 今回も柿、石榴、薔薇、椿などをテーマに、サムホールから20号まで40点あまりを展示、美しい色彩と生命観あふれる個展となりそうだ。また、ギャラリー正面のウインドウには、100号の大作「花と地蔵さん」も展示される。
 杉山さんは「絵に悩んだとき、古い絵を出して見つめていると、おやっと思うことがよくある。そこからまた新しい自分が生まれてくる。絵を描くことは自分を探す作業なのです」と最近の心境を語っている。
 個展は8日まで。時間は10時から18時30分まで。TEL:229-5322番。

ビンタで気合い10月7日アントニオ猪木講演会
 社団法人厚木青年会議所(中村昭夫理事長)は、2001年度事業活動の総まとめとして10月7日12時より厚木市文化会館大ホールで、「アントニオ猪木講演会」を開催する。会議所メンバーを市民一人ひとりの人間としてとらえ、人間の行動・原則である「気づきから自立、自立から行動」を再認識し、テーマである「元気と勇気で人とまちに活力」を与ようというもの。講演会では、青年会議所の事業活動を発表する展示ブースを設けて、過去33年間の歩みをビデオやスライドで紹介するほか、アントニオ猪木さんが、「元気・勇気・やる気」をテーマに、自らの生き様や人生における不屈の精神について講演する。
 青年会議所ではこのイベントを「体験型講演会」と位置づけ、猪木さん独特のスタイルである「ビンタで気合い」を取り入れ、事前に公募して選考された30名が、猪木さんのビンタを直接受けることになっている。入場無料。往復ハガキに住所、氏名、年齢、性別、職業、電話番号を明記の上、〒243-0004厚木市水引1-8-8厚木青年会議所宛申し込む。なお「ビンタで気合い」に応募される方は、ビンタを受けたい理由についても記入する

都市計画法違反の住民訴訟原告の訴えを棄却道路台帳補正業務委託契約訴訟は原告が控訴
 厚木市王子の土地家屋調査士・金井猛さん(59)が、昨年10月16日、同市旭町の都市ガス会社が施工した建築物に対して、厚木市が「開発許可不要」としたのは、市が都市計画法に定める手続きを不作為して便宜供与したもので、都市計画法違反(都市計画法第29条の開発許可申請にかかわる手数料を徴収することを怠った)であるとして、山口市長を相手どって手続きのやり直しなどを求めた住民訴訟で、9月19日横浜地方裁判所は「原告の請求はその余の請求原因の有無について判断するまでもなく理由がないことが明らかであるからこれを棄却する」という判決を言い渡した。
 また、金井さんは5月23日、厚木市が道路台帳のコンピュータソフトを、A社との共有著作物としたのは違法行為であり、共有著作物との理由で道路台帳補正業務委託を随意契約したのは違法であるとして、山口市長を相手どって契約の確認とその是正措置を求めていた住民訴訟で、8月29日横浜地裁は、「地方公共団体の執行機関等を訴えることはできず、本訴は機関である厚木市長を被告としているので不適法である」として訴えを棄却した。原告の金井さんは判決を不服として9月5日、東京高裁に控訴した。(編集日記8月29日9月5日9月21日参照)

神川橋下流で投網大会相模川漁連
 10月23日、相模川漁業協同組合連合会(菊地光男会長理事)主催の、「第10回投網大会」が、相模川左岸の神川橋下流で行なわれ、大勢の参加者で賑わった。この日は、台風の影響で相模川の水かさが増え水温も低めだったが、快晴に恵まれて絶好の投網日和、岡打ちに36名、船打ちに28名が参加した。漁連で鮎200キロを放流した後、午前9時30分から11時30分までそれぞれの技術と採捕を競い合った。大会では鮎、雑魚などの大物が3位まで表彰されたが、珍しいアユカケの大物なども捕獲された。1位入賞者は次の通り。▽鮎大物賞1位=谷澤孝寛(25.1センチ)▽雑魚大物賞(岡打ちの部)1位=矢島正明(アユカケ16.5センチ)▽雑魚大物賞(船打ちの部)1位=栗原信二(コイ68.5センチ)。

7か国語で話そう厚木に3番目のヒッポファミリークラブが誕生
 ボンソワール・ジュマペー・プチ―厚木に10月16日、3番目のヒッポファミリークラブが誕生する。家族や仲間とともに歌や言葉を通じて多言語を習得するサークルで、初めての方も気軽に参加して下さいと呼びかけている。ヒッポ・ファミリークラブは81年、言語交流研究所代表理事の榊原陽さん(71)が提唱した多言語を自然習得する教育文化・国際交流活動。メンバーを中心に「フアミリー」と呼ばれる活動の場があり、乳幼児からお年寄りまで多言語の世界を楽しんでいる。
 当初、7か国語(スペイン語、韓国語、英語、ドイツ語、日本語、中国語、フランス語)だった多言語も、その後、ロシア語、イタリア語、マレーシア語、タイ語、ポルトガル語、ヒンズー語、アラビア語、広東語、インドネシア語を加えて、16か国語に増えた。ファミリーを単位とした日常活動やワークショップを行なうほか、ホームスティを通した世界100か国からの研修生や留学生の受け入れ、また23か国への訪問など多彩な国際交流活動を行なっている。
 ファミリーは全国に700か所あり、北は北海道から南は沖縄まで、同じ楽しみを持つメンバーは2万9千人を数える。小田急沿線の町田以西では19ファミリーがあり、厚木では18年ほど前に海老名市在住の多田伸子さんがフェロウ(世話人)となって「ユッピーファリー」を立ち上げ、5年前には緑ケ丘に住む荒谷晴美さんがフェロウで「コンガンファミリー」=
写真=を誕生させた。両ファミリーのメンバーは26家族。
 このほど誕生する「ヤパパンファミリー」は、同市金田の主婦・井上綾乃さんがフェロウとなって立ち上げるもので、10月16日の10時30分から厚木ロイヤルパークホテルで、20日の14時30分から本厚木駅南口のフタムラホールで設立講演会を開く。講演会では親フェロウである荒谷さんと多田さんが、「家族や仲間で楽しむ多言語」と題して講演する。井上さんは「初めての講演会なので、一番近い人にお話をお願いしました。いまヒッポで大切なのはファミリーです。初めての方も家族でお気軽に参加してください」と呼びかけている。入場は無料。問い合わせはTEL:245-6178番(井上)またはフリーダイヤル0120-557-761番へ。

厚木消費生活センターが商工会議所新会館ビル4階に移転
 平成13年4月に県央地区行政センター1階に開設した「厚木消費生活センター」が、10月1日から同市栄町の厚木商工会議所新会館ビル4階に移転する。同センターは平成13年3月、県の消費生活センターの廃止にともない、4月1日に厚木消費生活相談コーナを開設、翌年4月1日消費生活センターとして設置したもので、厚木市と清川村の「消費生活相談業務に関する協定書」にもとづき、厚木市民と清川村民の消費生活相談を受けている。相談内容は、契約上のトラブル、苦情処理、商品の安全性についての問題などで、非常勤特別職の相談員3人と職員3人で対応している。相談日は月曜日から金曜日の午前9時30分から正午、午後1時から4時まで。相談専用電話はTEL:046-294-5800番。

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