第569号(2001.06.15)

6割が採算取れない
1次判定 痴呆の場合低く出る傾向に
医療福祉連絡会が「介護保険意識調査」

 医師会や社会福祉施設連絡会など29団体で構成する厚木医療福祉連絡会(原田茂会長)では、施行1年を経過した介護保険制度について今年4月、厚木市と愛川町、清川村の介護保険関係者を対象に、意識調査を行ない、このほどその集計結果をまとめた。
 調査はサービス事業所経営者や主治医、ケアマネージャー、訪問看護婦、ヘルパー、訪問入浴介護サービス従事者、居宅療養管理指導を行う歯科医師、介護認定審査会委員、自治体職員を対象に各分野ごとに異なった設問で行われ、458人から回答を得た。
 集計の結果、全体の意識は共通している点が多く、制度上の問題点や介護報酬、さらには介護現場で働く人たちの待遇などに、多くの問題点を抱えているものの、介護サービスの提供に「誇り」を持って取り組んでいる現場の人たちによって、介護保険制度が維持されているという姿が浮き彫りになった。
 サービス事業所経営者ヘのアンケートでは、「介護報酬は採算がとれるか」という質問には、60%が「採算が取れない」と答えており、「今後に不安がある」と答えた人も36%で、「採算が取れる」と答えた人はわずかに4%だった。そして「今後の経営について」、92%が「不安がある」と答えており、「撤退を考えている」人が2%、「このままで大丈夫」と答えた人は6%だった。
 また、職員の給与については、「妥当」23%、「少ないが経営上やむを得ない」70%、「少ないが仕事内容から仕方がない」2%という回答で、経営に対する不安から職員給与も思ったような金額が支払えない現状となっている。
 主治医へのアンケートででは、介護保険全般にわたる理解について、「良く分かっている」6%、「大体分かっている」56%、と約6割の医師が理解しているが、「あまり分かっていない」25%、「ほとんど分かっていない」9%、「関心がない」4%など、理解不足の医師も約4割いることが分かった。
 また、主治医意見書を 作成した医師は、患者の認定結果(要介護度)やケアプランの内容について80%以上の人が必要と回答しており、ケアマネジャーからのケアプランに関する相談などにも80%以上の医師が応じると答えている。
 同連絡会では「このことは介護現場の職員と医師との連携が進み、よりよい介護サービスをさらに提供することが可能であることを示したもの」と受け止めている。
 ケアマネジャーへのアンケートで、認定結果の妥当性を問う質問では「高い」と思う割合が1割未満と答えた人が86%、「低い」と思う割合が1割未満と答えた人が77%で、認定結果についてケアマネジャーは、おおむね妥当と感じていることが分かった。
 また、担当するケースは30件程度が適正と答えており、アンケートでは30件までと50件台という回答が多かったが、ケアマネジャーに専念している人は少数で、国が示している50件程度という数字は、介護報酬や本人に対する報酬の面から現実的なものとはなりにくいものとなっている。
 ケアマネジャーの中で「辞めたいと思ったことがある」と回答した人が68%あり、「仕事が大変だ」と感じている人が94%に達していることから、辞めたいと思う理由は仕事量や疲労感によるものが主な原因となっている。
 さらに、ケアマネジャーから見て「利用者はケアプランによるサービス内容や相談に満足しているか」という質問には、71%が「ほぼ満足している」、2%が「十分に満足している」と答えているが、27%の人が「やや不満」「不満」と答えていることも分かった。
 一方、ヘルパーへのアンケートでは、「仕事に誇りを感じている」人が77%で、「今後も続けていきたい」人も66%いたが、「報酬が安い」44%、「報酬に不満があるがやむをえない」と答えた人が18%で、肉体的・精神的にも疲労を感じ、待遇が良いとは言えない中で、利用者の感謝の言葉に支えられているのが実状となって現れている。
 介護認定審査会委員への質問では、一次判定で痴呆のある場合、95%の人が「比較的低く出る」と答えており、同じ質問では自治体職員も94%が「比較的低く出る」と答え、70%以上が「痴呆が加味されていない」と答えている。
 これらの調査結果は6月16日市内のホテルで開かれる「厚木介護フォーラム01」で発表される。原田茂会長は、「シンポジウムではこの資料に基づいて議論し、今後のサービス提供の質の向上に役立てていきたい」と話している。

相模川鮎解禁
太公望1万3千人

戦後最大の天然遡上

 6月1日、釣りファン待望のアユ釣りが解禁になった。三川合流点の相模川では、数日前からお目当てのポイントを確保したり、他の人が近づけないポイントで釣るため、舟を用意する人もいるなど、腕に自慢の太公望の姿があちこちで見られた。
 早朝の5時から釣り始めたという厚木市金田在住の40代の男性は、「今年は天然遡上がよかったし、まずまずの釣果。近年にない豊漁です」と嬉しそうに話していた。また、半日で百匹釣り上げたという横浜市の鈴木さんは「解禁日は毎年相模川に繰り出すが、これだけ釣れれば上々。休みにの日にはまた来ます」と満足気に話していた。
 相模川漁連(菊地光男会長)では「相模川の水系全体で13,000人ほどの釣り客が訪れた。今年は特に戦後最大といわれるほど天然遡上が活発で、これからも例年にない釣果が楽しめるので、ぜひ相模川に遊びにきてください」と話していた。

高齢者や障害者のごみ直接集めます
厚木市が8月1日から実施

 厚木市では高齢化社会に対応した市民サービスの一環として、8月1日から高齢者や障害者を対象とした「家庭ごみ愛の一声ごみ収集事業」を実施する。
 市のごみ収集業務は、集積所に持ち出されたものを収集するのが基本だが、高齢化社会への移行と住宅事情の変化や核家族化の進行にともない、ごみを集積所まで持ち出すことの出来ない人が増えてきている。
 市ではこうした高齢者や障害者を対象に、職員が住まいの玄関口や勝手口まで出向いて直接収集し、合わせて安否を確認するという「家庭ごみ愛の一声ごみ収集事業」を実施する。
 対象はごみ集積所までごみを持ち出すことが困難で、ボランティアの協力が得られない世帯で、1市に在住する65歳以上の一人暮らしの高齢者、または65歳以上の高齢者のみの世帯で、世帯全員が要介護認定2以上に認定されているか若しくは要介護認定2以上と同等の状態と認められる世帯、2一人暮らしの障害者または障害者のみの世帯で、世帯全員が要介護認定2以上に認定されているか若しくは要介護認定2以上と同等の状態と認められる世帯、31に規定する高齢者および2に規定する障害者のみを構成員とする世帯など。
 対象者は、燃えるごみと燃えないごみを袋に入れ、自分が住んでいる地区の収集日の朝8時30分までに、玄関口や勝手口に出すと、職員が収集日に訪れてごみの有無や異常がないかの一声をかけ、ごみの収集業務を行う。また、市では、この事業に合わせて全収集車に携帯電話を配置、道路損傷箇所や不法投棄の発見・通報なども合わせて行ってもらうという。
 利用者は市の環境業務課に申し込むが、市では申請に基づいて本人の実態調査を行ない、地区民生委員などの意見を聞いて可否を決定する。6月15日から受け付ける。問い合わせは揩Q25・2790番(厚木市環境センター)へ。

ムラの青年団活動の歴史を紹介

小鮎・依知村の資料中心に

 厚木市寿町の郷土資料館で、市内の青年団活動の歴史を紹介する資料展「活動する青年たち」が開かれている。
 かつて「ワカイシ」や「若者連中」と呼ばれた青年たちは、ムラの非常時に活躍するなど地域にとってなくてはならない存在だった。展示で取り上げられている青年団は 国の指導により官製の団体ではあるが、若者の年齢集団として「若者組」からの流れを引くもので、「郷土の人間」を作りあげる「郷党教育」の場であると同時に、ムラの中心的労力を担う存在であったことを紹介している。
 展示会では、明治43年創立と書かれた小鮎青年会の会則簿や昭和12年当時の活動、青年団旗新調の記録、素人芝居など「小鮎村青年団」と「依知村青年団」に残された資料を中心に、さまざまな面から厚木の青年団に光を当てている。
 特に、旧依知村役場の「経済厚生計画書」や「標準化農村建設計画書」など関連資料を交えることによって、ムラや国とのかかわりなど、近現代の世相とともに青年団周辺のかかわりにも言及している。
 この経済更生計画の家計簿裏表紙には、厚木東高校の教師だった中村雨紅が作詩した「依知更生小唄」が掲載されており、昭和の初期にご当地ソングが作られたことや、戦後の一時期「新日本の建設にわれらは何を為すべきか」「中国民衆は何を見出したか」「マッカーサー元帥の解任と講話問題」ほか時局討論会の手引など、当時の世相を知る興味深い資料も展示されている。
 青年団は昭和40年以降、地域共同体が崩壊すると同時に活動も停止し、やがて解散となる。資料は当時の青年たちのつきあいの中心が「職場」ではなく「地域」にあったことを物語っている。展示会は7月8日(午前9時から午後5時)まで。揩Q25・2515番。

紅型・型絵染め父娘展

工芸染色家
濱田信夫さん・絵美さん

アートルーム「はみち」で

 厚木市中依知に住む工芸染色家・濱田信夫さん(69)絵美さん(38)親子の「紅型・型絵染め父娘展」が、6月14日から同市泉町のアートルーム「はみち」で開かれている。
 紅型(びんがた)は、沖縄を代表する色鮮やかな型染め。琉球王朝時代には王侯貴族のみ着用が許されたという貴い染物で、黄や赤など艶(あで)やかな極彩色が特徴。
 濱田さんは この南国独特 の強い色調に友禅のやわらかな色づかいを加え た「型絵染め」という手法を考案、通称「東京染め」といわれる染織の研究を45年にわたって続けている。昭和62年には全国染色競技会で最高賞の「通商産業大臣賞」を受賞した。
 13年前、住まいを東京の大田区から厚木に移したのを機に工房「紅千荘(こうちそう)」も移転、現在も「下絵」から「型つけ」「色挿し」までの工程を、時間をかけて一つひとつていねいに仕上げる毎日だ。
 構成する模様の色数だけ型紙がある型友禅に比べて、紅型は一枚の型紙で多くの色を使いわけていくのが最大の特徴。型絵染めも一つの型紙から染め上げるが、「同じ型を使っても、色使いによってまったく違った雰囲気の着物が出来上がります」と濱田さん。
 モチーフも紅型を代表する鳳凰(ほうおう)や菖蒲のほか、牡丹や鴛鴦(おしどり)、伊勢型突彫りの人間国宝・南部芳松氏の型紙など、花鳥風月から古典にいたるまで幅広い。振袖から留袖、小紋など、大作によっては1年以上かかるものもあるという。
 子どもの時から父の姿を見て育った絵美さんも、高卒後京都で染色を勉強、2代目を継ぐため自然とこの道に入った。「型絵染めは色落ちしないので、歳月を経るごとに深みが増してくるのが何ともいえない魅力。飾る着物ではなく、着て美しい着物を作りたい」と話す。絵美さんは数年前から新しい創作を始め、対象を着物から額絵、ハンカチ、暖簾、ネクタイ、ショール、コースター、Tシャツなどの小物類にも広げている。
 「伝統にこだわりながら新しいものを探す」という濱田さん、「現代を見つめながら伝統を守ろうとする」絵美さん、それぞれアプローチは異なるが、目的は一つだ。父娘展では着物のほか小物類百点あまりを展示した。濱田さん親子は「気品ある型絵染めの良さ、魅力をぜひ一度ご覧になってください」と話している。展示会は20日まで。
 ◆アートルーム「はみち」=厚木市泉町8―5溝呂木ビル2F揩Q20・1256番。

相模川クリーン作戦

3,100人が参加
4,800Kg収集

  5月27日午前8時から相模川の3川合流点と旭町スポーツ広場で、厚木市が主催する「第31回相模川クリーンキャンペーン」が行われた。
 ふるさとの川「相模川」を大切にし、美しい環境と清流を守ろうと、6月5日の環境の日に合わせて毎年行われている。
 この日は小雨にもかかわらず、地元自治会、婦人会、子ども会、企業など145団体から約3100人が参加した。
 軍手をはめビニール袋を持った参加者は、河川敷に散乱した空き缶や空きビン、菓子袋などのごみを熱心に拾い集め、全体で4,810Kgのごみが収集された。
 初めて参加した人は「1日は鮎の解禁日なので、市外からたくさんの人が訪れる。河原をきれいにして厚木市は清潔なまちという印象が残るようにしたい」と話していた。

防災パトロール

急傾斜地などの
危険箇所を視察

 梅雨に入って集中豪雨や台風による災害が発生しやすい時期を迎え、厚木市内でがけ崩れなどが心配される急傾斜地や急傾斜地崩壊対策工事の状況を点検するため、5月29日11時30分から「防災パトロール」が行われた。
 パトロールには、山口市長をはじめ、県央地区行政センター所長、厚木土木事務所長、厚木市消防団長など防災関係者約30人が参加、災害時の連絡体制の再確認とそれぞれの専門的立場で危険箇所の掌握と分析を行った。
 視察したのは、市内七沢にある砂防ダム建設工事現場、戸室の急傾斜地崩壊防止工事予定箇所、上三田の急傾斜地崩壊対策工事予定箇所の3箇所。
 山口市長は「被害が予測される場所を事前に把握することは、災害の発生を未然に防ぐことにつながるし、かりに発生しても迅速かつ的確な対応が可能になる。このため情報収集など、日ごろの備えが大切」とパトロールの重要性を強調していた。

アユの遡上調査で

1日50万尾を確認
水道企業団

 神奈川県内広域水道企業団が相模大堰で毎年行っているアユの遡上調査で、今年は湛水後としては最大量の約550万尾を越える天然アユの遡上が確認されたことが5月28日までの調査で分かった。
 同大堰は平成10年6月に完成、7月から取水を開始した。堰にはアユなどの魚の遡上・降下が容易にできるよう左右両岸に近代的な魚道(非越流部付き階段式魚道・傾斜隔壁型階段式魚道)を設置している。
 4月上旬から始まったアユの遡上は現在も続き、同企業団によると、4月のピーク時には1日最大50万尾の遡上が確認されたという。
 相模川漁連でも「今年は海産稚アユの採捕が300万尾を越え、戦後最大の遡上が見られる」と話しており、解禁後の遊漁者の評判もまずまずだ。

         厚木特産マスクメロン 7月より販売開始
 お中元などの贈り物に人気の厚木特産「マスクメロン」の成育が順調だ。今年は2月下旬から3月中旬に種を蒔いてから天候が良く、成育は良好。平年と同じ7月上旬より販売が始まる。
 JAあつぎメロン部会(秋山昌寿部会長)の会員は現在5人。延べ6,000平方メートルの作付け面積に、約1万個の販売個数を予定している。現在、各農家のハウスでは袋かけが終わり、メロン特有のネット(編み模様)が完成する時期を迎えている。このネットをきれいに盛り上げ、味を良くするためには微妙な水管理が必要で、県央地域農業改良普及センターでは、生産者宅を巡回して助言・指導を行っている。
 販売価格は、特品が1個箱入2,500円、2個箱入5,000円、秀品が1個箱入2,000円、2個箱入4,000円、優品は1個箱入1,600円、2個箱入3,200円となっている。送料は別。
 同メロンは宅配便で全国に出荷されている。問い合わせはJAあつぎ営農部。揩Q21・2273番。

 揚州市で国際理解深めよう 青少年親善交流会の参加者募集
 厚木市揚州市青少年親善交流会では、夏休みの7月26日から5泊6日の日程で、中国の揚州、北京などを訪問、友好都市の子どもたちと交流を深める「第2回厚木市揚州市青少年親善交流団」を派遣する。
 訪問団は揚州市人民政府主催による友好都市青少年交流会に参加するもので、アメリカ、オーストラリア、イタリア、韓国、ミャンマー、日本などの青少年が一堂に会し環境問題をテーマに交流を深める。
 交流会では布幕絵画展、作文展、少年宮を見学するほか、歓迎パーティへの出席、記念植樹、ショートスティなどを体験する。
 参加人員は25名(市内在住の小中学生と保護者)で、費用は11万円。日中友好協会との共催で、市と教育委員会が後援する。参加希望者は6月30日まで(先着順)に、親善交流会事務局まで申し込む。1222・2658番(石井)。

     山田助役が出馬表明 町民ネットは3日発表
 相馬晴義町長の任期満了にともない10月に行われる愛川町長選に、同町助役の 山田登美夫氏(57)が出馬する意思を表明した。同助役は5月24日に辞表を提出、6月15日の議会最終日に退任する。
 同町長選で出馬の意思を正式に表明したのは同助役が初めてで、インターネットを通じて候補者の公募を進めているあいかわ町民ネット(米田真代表)でも6月23日、町文化会館で候補者選考公開討論会を開く。現在までに全国から6〜7名の応募があり、30日の最終選考を経て7月3日に候補者を発表する。

              厚木市の市営プール 
           夏休み期間を小・中学生無料に
 厚木市は、市内小中学校の児童・生徒と市外の小・中学校に通う児童・生徒を対象に、7月1日から9月2日までの夏休み期間、同市金田のふれあいプラザプールと荻野運動公園プールの使用料を無料にする。
 同市元町の市営プールについてはすでに無料にしているが、ふれあいプラザは100円、荻野運動公園は200円の使用料を取っていた。市では3施設の共通利用券を学校を通じて児童・生徒に配布するほか施設の窓口でも配布する。

顎骨の少ない患者に朗報
骨造成手術で人工歯根の使用が可能
延長器用いてミリ単位で造成
アイ歯科厚木診療所で実施

 歯槽膿漏や交通事故により、顎の骨が少なくなると、インプラント(人工歯根)を入れることができないため、歯の治療を諦めざるを得ない患者がいる。最近、そうした患者に、簡単な外科手術で少なくなった顎の骨を垂直的に造成させたり、腰骨を移植して顎の骨を造成するという手術が注目され始めた。
 顎の骨を垂直的に造成させる手術は、左図のようにオステオ・ジェニック・ディストラクラー(垂直性仮骨延長器)という器具を用いて、少なくなった顎の骨を水平に切って隙間をつくり、その間にディストラクターを挿入してミリ単位で除々に延長させ、新しい骨ができあがるのを待つもので、1か月ほどでインプラントを埋めこむことができる。この方法は骨を移植をしないで顎の骨を造成させることができるのが最大の特徴だ。
 2年ほど前、アメリカで開発され、日本でも鶴見大学など主な歯科大学の口腔外科ではすでにこの技術を導入している。また、4月には東京の都市センターホテルで、インプラントを扱う全国の歯科医55名が参加して2日間にわたる研修会が開催されるなど、今年に入ってから国内でもこの技術が急速に普及してきた。
 親不知を抜いたり、人工歯根を埋める程度の簡単な手術だから、入院の必要がないのもこの手術の特徴。極端に顎骨の少ない人でも2週間ほど入院して、腰骨(蝶骨や海綿骨)を移植してから人工歯根を入れることができる。
 この腰骨を移植する方法は、「サイナス・リフト・テクニック」と呼ばれるもので、顎の骨幅が薄い人にも効果的な造成治療だ。骨が造成されるまで3〜6カ月かかるが、近年、大学病院でもこのサイナス・リフト・テクニックがかなり普及してきた。
 手術はいずれも健康保険が適用されるため、費用は少なくて済むが、インプラント以外に約40万円ほどの費用がかかる。
 県央・西湘地区では、厚木市旭町のアイ歯科厚木診療所と秦野の丹沢診療所で、この垂直性仮骨延長器を用いた骨造成治療に取り組んでいる。厚木診療所の城所善夫副院長はインプラント学会会員で、矯正と補綴の資格を持つ認定医。3月には「インプラントと矯正」のタイトルで、鶴見大学歯学部の矯正学講座セミナーの講師をつとめた。このため、大学歯学部との連携も緊密だ。
 骨造成には4〜5回の術前検査が必要で、相談料は1回1,000円。患者の状態に応じて大学病院へ紹介して骨移植の手術を受けるか、診療所で垂直的骨造成手術を受けるか適切な診察をしてくれる。特に大学病院での手術は、城所副院長が直接手術に立会うため、患者も安心して手術が受けられる。5月16日には、同診療所の患者が鶴見大学歯学部で「サイナス・リフト・テクニック」の手術を受けている。
 城所副院長は「今までに骨が少なく、人工歯根をあきらめていた患者さんにはまさにとっておきの朗報です」と話しており、6月30日と7月1日の両日、東京で開かれる「国際インプラント学会で」こうした症例報告を行うという。詳細はアイ歯科厚木診療所へ。揩Q27・1110番。

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