作品1

『違う星に生まれても』
〜ロロとルピナ〜
2000年12月1日発売 
A4横48ページフルカラー 
1,300円
(文芸社)

 厚木市下川入に住む漫画家・渡邊保さん(29)が昨年12月、念願の絵本を出版、「漫画家の衣を脱ぎ捨て絵本作家」としてデビューした。最初は自費出版からのスタートで、とても華麗な転身とはいかないが、「漫画ではできなかったオリジナルや心の根源を描きたい」と、夢をふくらませている。
 渡邊さんは子どもの時から絵を描くのが好きで、高校卒業後、漫画家の高橋ゆたかさんのアシスタントをつとめるなど、漫画家を志した。平成7(1995)年、第37回小学館新人コミック大賞児童部門(藤子不二雄賞)で「聖龍機ドラリオン」が佳作に入選、プロの道へ。
 翌年「プラモキング玩具星」でデビュー、平成10年(1998)6月から小学館の月刊漫画別冊コロコロコミックで、「チョロQBOY・GO!GO!ピット」の連載を1年間受け持った。「チョロQ」は単行本にもなったが、自分の描いているものは面白くないと疑問を持ち始め、連載終了と同時に漫画家の仕事を降りた。
 「自分の力を100%出したい」そんな欲求を満たす表現方法を模索していたとき、絵本というジャンルに出会ったという。転身といっても初めから仕事があるわけではない。東京での生活も蓄えが底をつき、1昨年10月、実家のある厚木市へ移り住んだ。今は宅配便の配送センターでアルバイトをしながら、絵本の創作に取り組んでいる。
 このほど出版した『違う星に生まれても』は、ルピナス彗星から地球にやってきたルピナと、ブロックの子ロロの愛と友情のファンタジー。約1年がかりで描き上げた。公募展に出したが落選、その後、出版を諦めきれず自費で出すことを決意、借金までして製作費を捻出し東京の出版社に持ち込んだ。
 「自分の作品が店頭に平積みされた時は嬉しくて感激しました。今年は何とか絵本作家として自立できるよう頑張りたい」と意欲を語る渡邊さん。現在、ミツバチの世界をテーマにした2作目の創作に取り組んでいるという。                                                  (2001年1月1日号・市民かわら版記事・山本陽輝)

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