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市民かわら版編集日記

(2001年01月)

公務員の政治的判断
 1月12日(金) 気分: 天候:
 厚木市が多目的広場として整備を計画している岡田の相模大堰河川敷を、ビオトープとして整備するよう議会に陳情している「相模川多自然型川づくりを推進する会」(中林竹廣会長)では、2月12日、「市の方針に反対する運動をしている団体には公民館は貸せないと言われ、精神的苦痛を受けた」として、山口市長に謝罪を求める抗議の文書を提出した。
 同会では2月4日にビオトープ(生き物の生息空間)の学習会をするため、1月5日、地元の相川公民館に集会室の使用を申し込み、許可された。ところが1月9日に会の代理の者が「公民館だより」に掲載してもらう原稿を持ち込んだところ、副館長から「公民館だよりに載せるものは、市のお知らせや趣味で行うサークルのお知らせだけ。何か運動しているような団体はお断りしている」、さらに「市が行おうとしていることに反対している団体には貸せない」と会場使用を拒否されたという。その後の交渉で副館長と館長が協議して借りることは承認されたが、公民館だよりへの掲載は認められなかった。
 会場使用を取り消す際、この副館長は「市議会に出されている陳情は継続審査になっている。まだどちらともいえない段階で会場として貸すことは出来ない。議会の判断が出て、あなた方の言い分が正しいということになれば、別だが…ここは市が運営している場所なので…」と拒否の理由を述べ、「利用承認書は返すか、返していただかなければ申し込みを取り消す公的文書を出す」と言ったという。
 同会では翌日朝、教育委員会の生涯学習部に、ことの経緯を説明、回答を求めたところ、担当主幹から「昨日朝、今お聞きしたような理由で貸し館を断ったという旨の相談電話が副館長からあったが、それだけで拒否する理由にはならないと答えた。社会教育法では、政治、宗教、営利、公民館などに不都合、危害を加えるものについては拒否できる。館の利用については条例で館長の権限になっている」と説明があった。
 注目しなければならないのは、公務員の職務の遂行についてである。公務員が職務の遂行にあたって心すべきことは、常に法令や条例、規則に沿って市民サービスに当たらなければならないという基本的な原則である。いかなる市民といえども政治的、宗教的、信条的な違いで行政サービス上差別を受けたり不利益をこうむることがないのは、行政のこうした判断により市民の基本的な権利が保障されているからにほかならない。
 ところが、この副館長はこの原則を踏み外し、「市が行おうとしていることに反対している団体には貸せない」「陳情を議会が判断して、あなたがたが正しいと言うことになれば別だが…」というおよそ考えられない政治的判断をしてしまった。しかも、この政治的判断は「行政が行うことはすべて正しい」というお上意識に立脚している。副館長はこうした判断をすることによって、はしなくも伝統的にある役人体質を露呈させてしまったのである。
 大切なことは、利用者が条例や規則に定めた使われ方をするか否かであって、利用する市民や団体の考え方や立場、行動そのものが問われるべきではない。この場合、社会教育法に定めた政治活動、宗教活動、営利活動を目的としたものであるか、公民館に不都合であるか、危害を与えるものであるかという点のみで判断すればよいのであって、いかなる理由があろうと利用者の政治的立場や考え方で判断をしてはならないのである。
 法令や条例を守るべき立場の人間が、それから逸脱した判断や行動をしてはならないということを、もっと徹底させる必要があろう。

他の市町村では問題にならないようなことが、厚木市ではなぜ問題になるのか?
 1月15日(月) 気分: 天候:
 市民が生涯活動の場として利用する公民館の貸し館問題で、一度は許可したが、市の方針に反対する団体だから許可を取り消す、その後交渉の結果、当初のとおり許可するという一件が問題になり、マスコミの記事になった。交渉の過程で行き違いや誤解があったにせよ、結果オーライなので、行政側の対応に不満や嫌な思いを抱いたが、あえて問題にすべきことでもなかろう、というのが一般的な見方である。他の市町村では、このようなことは恐らく問題にすらならないだろう。
 ところが、厚木市では大きな問題となり、新聞三紙が報道した。このようなことがなぜ厚木市では問題になるのだろうか。特に対応した職員は自分の取った行動に不手際があったにせよ、「どうしてこうなるの?」と首をかしげたに違いない。
 結論から言うと、厚木市は住民から信頼されていないの一言に尽きる。今回、利用団体は公民館副館長とのやりとりをテープに録音していたという。後で言った、言わないというトラブルを防ぐ意味からであろうが、住民がこうした行動をとらざるを得ないという背景には、「市は信用できない」「平気で嘘をつく」という根強い行政不信があるからだ。
 たとえば、相川地区で市が計画している相模川右岸堤防道路の説明会の時に、「市は強制執行してでもやる」と発言したことが後で問題となり、市民かわら版でもコラムとして取りあげたが、その後、市はそういう発言は一切していないと否定し続けたのである。議会の一般質問でもある議員がこの問題を取り上げたが、「そう言う発言はなかったという報告を受けている」という部長答弁が公式見解として議事録に残ってしまった。
 この問題では地元住民は今でも、「行政は嘘を言っている」と怒り心頭である。その後、これをきっかけにして、住民は市との話し合いや議会での発言などをテープに録音するようになった。住民には現場でのやりとりや発言が、そのままストレートに市の上層部(部長・助役・市長)に伝わらないという不信感がある。テープはすべての真実を語ってくれると言うのである。
 相模大堰右岸の河川敷に市が整備を計画している多目的広場の問題で、自治会長だけの意見を聞いて、地元要望だとする市側の行政手法に対抗して、ビオトープの整備を求める陳情を議会に提出したのも地元住民が行政に対して大きな不信感を抱いている結果なのである。  
 いずれにしても住民と行政との間に信頼感がないというのは、悲しい限りである。今回の市長に謝罪文を求める抗議の文書も、「そういう発言はなかった」などというおざなりの回答では、問題をさらにこじらせる結果となろう。信頼関係を回復するには行政はまず言ったことを隠すことなく率直に認め、誤解や無理解さを解くところからスタートしなければなるまい。
 これまでもそうだが、住民の批判をただたんに「行政に反対する住民」「楯をつく住民」というレッテルを貼り、「誰がリークしたのか」という犯人探しをするだけで本質から逃れようとする対応では、不信感は増幅されるばかりだ。
 厚木市の職員に欠けているのは、上層部にありのままを報告し、住民の批判や指摘を率直に受け止めるとともに、真摯に対応するという姿勢である。

かまくらづくり
 1月17日(水) 気分: 天候:
今日、読者から3件ほどお電話をいただきました。15日号で1面に報道した「厚木で横手市のかまくらづくり」の記事について、ミニかまくらづくりに参加する親子を市が公募していると書きましたが、「どこで受け付けているのか」、また「一般の子どもたちはかまくらの中に入って遊ぶことができるのか」「雪国でしか体験できないかまくらづくりを是非子どもに体験させてやりたいので、申し込み先を教えて欲しい」という内容でした。公募の方法などについては詳しく記述しておりませんでしたので、不親切だったと思います、申し込みおよび問い合わせ先は、市役所の商業観光課です。揩Q25−2821番です。

読者の声
 1月18日(木) 気分: 天候:
 今日、読者から「プレゼントの応募ハガキ」が20通ほど届きました。その中にかわら版への感想をお書きになっているものがいくつかありました。風見鶏などお誉めの言葉が多くて何となく気恥ずかしいのですが、こうした声を紙面で取り上げることがありませんので、応募者には無断ですがご紹介させていただきます。お名前は非公開といたします。
「常に是々非々の毅然たる態度で堂々の論陣を展開する“風見鶏”の記事は賞賛に値する。我が意を得た記事は切り取って保管し、時々読み返して納得しています。また、その他の記事も贅肉のとれた筋肉質ともいえる編集で、市民かわら版の発行をいつも楽しみにしています」(中依知・76歳男性)
「毎号楽しみにしています。コラムはいつも家族の間でも話題になります。中学生向けのルールや常識についての連載記事を希望します」(下荻野・60歳男性)
「今回の風見鶏は全く同感。ルールを守れない人間には個人・団体を問わず名前を公表するなどして責任をとらせるべきです(王子・55歳男性)
「風見鶏はいつも最高です」(王子・51歳女性)
「風見鶏は私たちが日頃疑問に思っていることや不満をズバリついて書いてくれるので、拍手を送ります。この記事で世の中少しでも改善していってくれればよいのですが…これからも厚木市の発展のために目を光らせてください」(旭町・38歳女性)
「毎回、風見鶏を楽しくまた腹立たしく読ませていただいております」(毛利台・40歳女性)
「広告と記事との紛らわしさがあるタウン誌が多い中で、よく頑張っていらっしゃると思います」(伊勢原市高森台・51歳女性)
「とかく地元優遇、広告主優待のごますり的ミニコミ誌(ほとんど金儲け主義で主張がない)が多い中で、久々に見つけた辛口評のミニコミ誌。特に風見鶏は良い」(幸町・27歳女性)
「当地区のミニコミ誌の中で、市民かわら版は一番信頼を持って読んでいます。1面の風見鶏は、貴社のしっかりした姿勢と判断を感じます。市政のことや議会のことの情報源として楽しみにしています。また広告を下に記事を上に分けていて、とても読みやすく思います」(愛名・48歳女性)
 ご意見、ご感想ありがとうございました。こうした声に支えられて26年間やって参りました。今後ともよろしくお願いいたします。

国鉄全線完乗記
 1月19日(金) 気分: 天候:
 厚木市元町に住む元厚木高校教諭・佐野正治さんが、1988年2月25日に書いた「佐野正治の鉄道2万キロ」と題する手作りの日本列島縦断記録を贈ってきました。
 佐野さんは小学校の遠足の時に、平塚・大磯間を初めて汽車に乗って以来、鉄道の魅力に取りつかれ、1984年から88年までの4年間、自分で立てた計画表をもとに国鉄全線2万キロを完乗しました。そして全線連続のビデオ撮影を行いました。テープは300本、600時間にも及んだそうです。
 佐野さんは、市民かわら版1月15日号で取り上げた、「JR相模線物語」(佐藤誠著・横浜市)の記事を読んで、12年前にまとめた国鉄全線2万キロの旅を参考にと贈ってきたのです。手作りの記録ですが、佐野さんの鉄道に寄せる思いと目的を達成した喜びが伝わって来るようでした。
 私は佐野さんからいただいた手作りの記録を読みながら、厚木市緑ヶ丘に住む元中学校教師・植田昭一さんのことを思い出していました。植田さんも国鉄全線を完乗した方で、平成5年にその記録を、「私の旧国鉄全線完乗記」というタイトルで、市民かわら版から出版しました。
 ホームページの出版ガイドの中でもご紹介していますが、旅先で見たまま、聞いたままはもちろん、行き先々の文化や歴史、人々の暮らし、思いにまで言及しており、旅行記としては非常に完成度の高いものでした。私が手がけた本の中でも思い出に残るものの一つです。
 佐野さんと、植田さんが元教師であったということは単なる偶然でしょうか。考えてみれば教師には春、夏、冬という長期休暇があるため、集中して鉄道の旅を楽しむことが出来るのです。お二人とも休暇をフルに使って旅行されたとのことでした。羨ましいかぎりです。佐野さんと植田さんの記録を読んでいると、「各駅停車にこそ旅の醍醐味がある」ように思いました。
 

ホームページのカバー絵ができました。
 1月20日(土) 気分: 天候:
夕方、絵本作家の渡邉保さん(厚木市在住)が、市民かわら版ホームページのカバーを飾る絵ができあがったと持ってこられました。キャラクターはカワセミ編集長で、年4回ほど絵が変わります。近々公開いたしますので、皆様ぜひご覧になって感想をお寄せください。カワセミにしたのはそれなりの理由があり、渡邉さんが、そのへんのことを近々このホームページでお知らせしますので、お読みいただければ幸いです。

吉田組破産で市の下水道工事が続行不能
 1月22日(月) 気分: 天候:
 厚木市の大手建設土木会社・株式会社吉田組(厚木市上依知・吉田勝之進社長)がこのほど破産申し立てを行ったことから、平成12年度の公共下水道山際川第1排水区幹線工事2-1工区(国庫補助対象事業)の工事が続行不能となり、工期内の完成が難しくなった。1月19日に開かれた市議会全員協議会の席上、市側から報告された。
 同工事の工期は平成12年8月24日から13年2月28日まで。設計額は143,209,500円、請負代金は139,650,000円となっている。
 厚木市は今後、工事に関する出来高の検査と確認を行い、工事出来高と前払金との差額計算を行う。前払金は55,860,000円(保証会社の保証付)で、工事出来高が前払金額に達していなかった場合は、差額を保証会社に請求、出来高が前払金額を上回っている場合は、厚木市に差額の支払い債務が生ずる。
 なお、市は残りの工事について、あらためて発注する予定だ。
 吉田組は今月上旬、数10億円の負債を抱えて倒産、裁判所に破産申し立てを行った。

関根工務店が倒産
 1月26日(金) 気分: 天候:
 厚木市中依知の関根工務店が数10億円の負債を抱えて倒産しました。同工務店は依知地区では建設大手の企業です。以前から噂があり予測されていたとはいえ、吉田組に続く地元企業の倒産に依知地区の人達は衝撃を受けています。

GHQによる厚木市の占領政策
 1月27日(土) 気分: 天候:
 1月27日の降雪の日、厚木市内のホテルでニューヨーク市立大学の霍見芳浩(つるみよしひろ)教授の講演を聞く機会がありました。西山利春さんが主宰する「テンダー会議」の主催で、久しぶりに刺激的なお話をお聞きすることが出来ました。 
 霍見教授はアメリカ人好みのジョークがお得意ですが、日本病の源であるガンを摘出するため、アメリカに3か月間だけ有料で占領してもらってはどうかと説いています。そして@老害を取り除くため、各界で公職追放を実施する。民間企業では60歳と取締役、中央地方官庁では55歳と局長以上、衆参両院では60歳が追放の最低線。A官主主義退治のため、大蔵省解体、通産省、文部省、自治省、建設省の廃止を含めて中央省庁の統廃合(1月に政府が行った省庁再編ではありません)。B現存の諸々の政府規制で企業と諸費者を金縛りにしているものは、自然環境保護、製品安全、勤労者の搾取禁止のものを除いて全廃し、新しい規制には全て「3年で自然消滅」というサンセット・ルールをつける一という3大改革を断行してもらうと言っています。
 戦後日本の民主化の推進力ともなったGHQによる改革の平成版ですが、いつも小手先だけで自己改革が出来ない日本政府のやり方を考えると、平成の占領政策もムベなるかなとさえ思えてきます。明治以降の日本の現代史をみますと、国の運命を左右するドラスティックな改革はすべて外圧によるものでした。自己改革が出来ない理由は、政治、行政、産業などの各界とその関連において様々なしがらみがあるからです。
 近年、この占領政策で象徴的な事件だったのが、ルノーによる日産自動車の買収でした。かの日産自動車も自己改革ができずに、カルロス・ゴーン氏に改革をゆだねました。カルロス・ゴーン氏はマッカーサーのごとく大鉈(おおなた)を振るって改革を断行、経営を黒字に転換したのです。
 霍見教授はこの占領政策の対象を「日本」の代わりに各人の勤務先や通学先、はては家庭に置き換えても良いとしています。もちろん神奈川県や厚木市でもいいわけです。中央政府の自己改革がままならない今日、地方政府においても改革に成功している自治体はそう多くありません。霍見教授に指摘されるまでもなく、日本の改革は「役人の役人による役人のための改革」ですから、国民や市民が期待する改革とはほど遠いものです。
 厚木市も改革に取り組んでいますが、有効な解決策を見い出せずにいる課題も多く、どうも自己改革では限度があるように思います。でもGHQに頼むよりは、自己改革でいきたいのが人情?です。そのためには日本の政治を、そして地方自治を「衆愚政治」から「衆賢政治」に転換していかなければなりません。霍見教授も市民が賢くなって一票一揆を行使することが改革への近道であり、市民革命の始まりだと指摘しています。

厚木・愛川・清川の3市町村が「ごみ処理広域化準備室」を設置
 1月30日(火) 気分: 天候:
 厚木市と愛川町、清川村の3市町村は、1月30日の定例会見で、平成13年4月1日から「厚木愛甲ごみ処理広域化準備室」を設けると発表した。同24年度からの共同処理をめざして、施設用地の選定や施設建設計画を研究するもので、準備室を厚木市役所に置き、厚木市から2人、愛川町・清川村各1人の計4人を専任配置して、計画の立案に取り組んでもらう。
 平成9年1月に、国がダイオキシン類削減の「新ガイドライン」を策定、ごみ処理広域化の推進を示した。これを受けて神奈川県は平成10年3月に、「県ごみ処理広域化計画」を策定、県内を9ブロックに分割、厚木、愛川、清川の3市町村が「厚木愛甲ブロック」として設定された。
 一方、厚木愛甲ブロックでも平成9年12月に、独自の「まちづくり研究会」を発足させてワーキンググループを設置、同10年12月に首長間で広域処理に取り組むことで基本合意した。
 厚木市、愛川町ともに焼却施設を持っており、清川村は施設が老朽化して排煙から基準値以上のダイオキシンが検出されたため、平成7年度から稼働を停止、厚木市に処理を委託している。厚木市の焼却施設は稼働13年、愛川町が11年を経過しており、ともに耐用年数があと10年ほどだ。
 3市町村共同の焼却施設は平成24年度の稼働を目指して建設されるが、厚木市では同16年度までに建設予定地を選定したいとしている。なお、2月9日、広域化準備室設置に関する協定書の締結式が、厚木市役所で行われる。

携帯電話からの119番通報を厚木市消防本部が直接受信
 1月31日(水) 気分: 天候:
 厚木市消防本部は、自動車電話や携帯電話からの119番通報を、2月1日午前0時から直接受信する体制を整えた。携帯電話からの119番通報は、これまで横浜市や川崎市の消防本部で一括して受信した後、厚木市消防本部に転送されていたが、転送がなくなることで、通報者と直接交信できるほか、現場の状況などの把握がしやすく時間の短縮も図られるという。
 平成12年度に厚木市で受け付けた119番通報は、15、769件。そのうち携帯電話によるものが、1,360件で全体の約8.6%を占めている。