病気と健康

 NO21(2005.01.01) 骨粗鬆症の予防について

東名厚木病院 整形外科 医師

         島本周治                              

 骨粗鬆症という病気をご存知でしょうか。おそらく新聞やテレビでご覧になったことはあるかと思いますが、詳しくご存知の方はそう多くは無いと思います。 
 骨粗鬆症は読んで字のごとく、骨が“すかすか”になる病気です。閉経後の女性に起きることが多い(原発性骨粗鬆症)のですが、ある種の内服薬を飲んでいる方や、もともとかかっている病気などのために起きてくる(二次性骨粗鬆症)場合もあります。
 骨粗鬆症はそれ自体に目立った症状は無いといわれています。ですから、骨の詳しい検査をしないと見つからないこともしばしばです。
 では、何が問題なのでしょうか。それは、骨粗鬆症になると骨折しやすくなるということです。例えば何かにつまづいて転んだ、あるいは布団をあげようとしたなど、普通の人は何とも無いようなことでも骨粗鬆症の人は背骨などが折れてしまうといった具合です。   
 骨が折れると痛いし、その後の日常生活に支障が出てきます。骨折を未然に防ぐことが、骨粗鬆症の予防と治療を行うことの意義なのです。
 骨粗鬆症の予防としてあげられるのは食事と運動です。食事から十分な量のカルシウムを摂取することが重要です。1日600mgから800mgが必要なカルシウムの量といわれています。
 牛乳やチーズなどの乳製品にはカルシウムが多く含まれており良いのですが、乳製品が苦手だったりカロリーが気になる方もいらっしゃるかと思います。
 乳製品以外でカルシウムを多く含む食品としては、小魚・ひもの・豆腐・ひじき・小松菜などが挙げらます。(http://kurashi.hi-ho.ne.jp/diet/style/calcal.html)
 最近はカルシウムを多く含んだせんべいやウエハースなどもあり、他の食品で補うことが難しい方にはよろしいかと思います。また運動ですが、体の筋肉の力が強いほうが骨密度(骨の強さの目安)が高いということが分かっています。(http://www2.eisai.co.jp/osteo/chapter02/chapter02_08.html)
 筋力トレーニングは骨粗
鬆症の予防に有効ですが、日常生活の中ではそこまでできないという方には、散歩がお勧めです。1日30分程度、ご自身のペースで散歩をしていただければ、骨粗鬆症の予防、また転倒の予防になります。日光を浴びることもできて一石二鳥といえるでしょう。
 去る10月17日から20日のあいだ、埼玉県大宮市で第6回骨粗鬆症学会が開かれ、私はこれに参加し、最新の骨粗鬆症について勉強をしてまいりました。新たに得た知識を、皆様の健康のために生かしていきたいと思っております。
 もし骨粗鬆症がご心配であったり、何か知りたいとお考えの方がいらっしゃいましたら、一度整形外科の外来を受診していただければ幸いと存じます。

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