第689号(2006.09.01)

心臓病の大学生救おう 目標額の半分に到達 同級生らの募金活動に支援の輪広がる 

前列左から救う会の土屋代表と逸郎さんの両親

入院中の白石悦郎さん
 特発性拡張型心筋症と診断され、心臓移植をしないと助からない厚木市妻田西在住の大学生・白石逸郎さん(22)を救おうと、同級生らが「逸郎君を救う会」(土屋義行代表)を立ち上げ、7月31日から小田急線本厚木駅や海老名駅など県内各地で募金活動を始めたが、8月29日現在、目標の半分を越える金額に到達した。救う会では、今後も本厚木駅や大和駅、海老名駅での街頭募金活動のほか、チャリティコンサートや夏祭り会場でも支援を呼びかけていく。
 白石さんは今年の3月中旬に体調を崩して海老名市にある東日本循環器病院に入院、心臓が次第に拡張し、機能が低下して心不全となる「特発性拡張型心筋症」と診断された。4月下旬に埼玉医科大学病院に緊急搬送され、補助人工心臓を装着する手術を受け一命を取り留めた。しかし、補助人工心臓は長期間の使用目的で作られているものではなく、血栓が出来る恐怖や細菌感染などさまざまな生命の危険にさらされる。この先心臓移植しか助かる道がなく、本人と家族は苦悩の末、海外での移植を決断した。
 海外での移植は1年間に10人ほどで、日本で移植を待つ患者は43人いる。幸いにもオレゴン州立大学病院での受け入れが決まり、60日ほどの待機で移植が受けられることがわかった。
 海外で移植を受ける場合、保険などは適用されず、補助人工心臓を装着した状態での渡航費、心臓移植手術費、滞在費用など約7000万円が必要だ。このため、同級生や白石さんが住む地元の人々が集まって「救う会」を設立、募金活動を行うことにした。救う会の呼びかけに厚木市や社会福祉協議会、民間企業などが協力して公共機関や店舗に募金箱を設置するなど支援の輪が広がっており、北九州にも支援グループが出来た。8月29日現在、目標額の半分を超える3千874万円が集まった。
 白石さんは補助人工心臓装着後、個室から2人部屋に移動、体重も徐々に増えて、現在はリハビリの自転車こぎを行っている。夏バテで一時は食欲不振が続いたが、現在、体調は好調だという。
 募金活動は今後も本厚木駅や海老名駅、大和駅で継続して行われるほか、東京吉祥寺や地元でのチャリティーコンサート、北九州市でのライブなどにも支援を呼びかけていく。同会事務局は厚木市妻田西1−8−30ニコニコ製作所内。TEL:295・0007番。
 ■募金の振込先は、平塚信用金庫妻田支店(普通預金口座0809909)三井住友銀行厚木支店(普通8394672)厚木市農業協同組合本所(普通0000412)いずれも口座名義は「逸郎君を救う会代表土屋義行」、郵便局は郵便振替口座00240−4−114310、口座は逸郎君を救う会。

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森林セラピー基地に  地域活性プロジェクト始動

全国で癒しの森づくりを展開しようと、林野庁が認定を進めている「森林セラピー基地」の候補地に、神奈川県内で初めて選ばれた厚木市の東丹沢七沢温泉郷で8月10日、認定に向けた本実験が行われた。
 「森林セラピー」は森の風景や音色、香りなどを直接肌で感じ、リラックス効果を体感すること。候補地での実験でその効果が科学的に立証されると、森林セラピー基地に認定される。 
 実験は12人の学生被験者を対象に3泊4日の日程で実施するもので、宿泊場所や食事、飲み物などを同一にした生活形態で過ごしながら、森林部(県立七沢森林公園内)と都市部(本厚木駅東口周辺)を、午前中15分座観(座って景色を眺める)し、午後15分歩行し、心拍数の変動を調べたり、血圧測定、唾液中のストレスホルモン(コルチゾール)やアミラーゼの分泌状況などを検査したりし
て、ストレス状況を科学的に分析する。認定の条件としてはこのほか食事、文化、歴史、温泉などや、長期滞在の可否など、森の整備状況や管理状況も評価の対象となる。こうした実験や現地の状況により、滞在型の「基地」日帰り規模の「ロード」、「認定なし」の3段階に評価される。
 同市地域再生課の井上課長は、「七沢地区は閑静な温泉郷をはじめ、東丹沢の豊かな自然が満喫できる場所。滞在型の〈基地〉のお墨付きを得ることで、観光客の増加につなげたい」と期待を寄せている。すでに基地として認定されているのは山口市(山口県)など6箇所で、ロードは佐久市(長野県)など4箇所。今年の基地候補地は厚木市、長岡市、河津市など15箇所で、11月には実験結果がまとめられる見通しだ。認定の可否については来年4月に発表される。

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災害や観光など小田急線軸に広域的な連携 私鉄沿線まちづくりサミットに11首長が参加

 小田急沿線沿いの自治体が参加してまちづくりを考える「私鉄沿線まちづくりサミット」が8月2日、厚木市内のホテルで開かれ、沿線の11自治体が参加した=写真。
 同サミットは、小田急沿線の各市町長が広域的な見地から都市機能のあり方などについて鉄道事業者を交えて議論し、相互理解を深めようと発足したもので、この日は「21世紀の広域的まちづくり」をテーマに、小田原、相模原、秦野、厚木、伊勢原、南足柄、大井、松田、山北、開成、箱根の11市町長が参加した。
 呼びかけ人である山口市長は「神奈川県は現在、相模川を境に東高西低、横浜や川崎の発展に比べ、西側は産業、流通などの分野において若干低いのではないかと危惧している。鉄道など大量輸送機関も西に偏っている、災害、観光など小田急線を軸とした広域的な連携に向け、忌憚のない意見交換をしたい」とあいさつ、小沢良明
小田原市長を議長に選出した。基調講演では小田急電鉄の大須賀頼彦社長が「小田急線の将来計画について」をテーマに、小田急線の目指す方向性、他社線との差別化、自治体との連携、同社の設備投資計画やサービスなどについて講演した。
 各首長による意見交換では、観光資源と交通連携を生かしたネットワークづくり、災害時に対応した連携と帰宅困難者に対する支援、市町の資源を生かした駅の再開発による集客力の向上と活性化、広域観光の視点に立った連携強化などが意見として出された。
 意見交換後、サミットを総括して、災害時における相互支援体制、広域観光圏の確立強化\を基本方針に掲げた「共同宣言」を採択した。

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発足2年で日本一!   湘南ベルマーレソフトボールチームが優勝報告   

  8月2日、湘南ベルマーレスポーツクラブの真壁潔理事長とソフトボールチームの服部勉GM、組島千登美監督や安藤美佐子選手ら6人が、ホームタウンである厚木市を訪れ、同市役所で、山口巖雄厚木市長に、全日本クラブ女子ソフトボール選手権大会での優勝を報告した。
 全日本クラブ選手権は、クラブチームの日本一を決める大会。湘南ベルマーレ女子ソフトボールチームは、県予選、関東予選を勝ち上がり、7月28日〜30日に岡山県で行われた全国大会に出場。1回戦から順調に勝利を重ね、30日の決勝で平林金属(岡山)と対戦。初回に1点を先制されたが、直後の2回に3点を奪い逆転。中盤以降は1点ずつ取り合ったが、高夕子投手が7回を投げ切り、4対2で競り勝った。ベルマーレは発足2年目にして、初優勝を果たした=写真。 真壁潔理事長が優勝の報告をすると、山口市長は「立派な成績とみんなの頑張りに感動しました。普段の成果が出せたか
らですね」と共に喜んでいた。安藤選手は「大会では苦しい場面もあった。選手一人ひとりが頑張って、技術より、気持ちで優勝をもぎとったと思う」と大会を振り返っていた。
 組島監督は「優勝は、選手が一生懸命やったから。昨年は2回戦敗退だったので、1戦1戦しっかり勝とう、プレーしようと心掛けたのが結果につながったのだと思う。次は1部リーグ昇格に向けて頑張りたい」と次への目標を語っていた。同チームは2005年2月に発足。「地域密着型のクラブチーム」という新しい形のチームとして、厚木市を拠点に、地域で企業のサポートなどを受けながら活動、2006年から日本リーグ2部入りを果たしている。

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市立病院職員が手づくりコンサート

 厚木市立病院(岡部武史院長)で8月22日、病院職員による手作りのコンサートが開かれ、同病院の1階外来ホールに入院患者や見舞いの家族など150人が集まり、歌や演奏を楽しんだ=写真。
 同コンサートは、入院生活を送る患者に潤いを感じてもらおうと年2回開催され、今回で14回目。医師や看護師などの医療職員と事務職員や、音楽を愛好するボランティアが得意の歌やピアノ、フルート、ギター、オカリナなどを披露した。
 同日は、患者が夕食を済ませた午後6時30分に開演。開会で岡部武史院長は「音楽で心も体もリラックスして、一日も早く元気になって」とあいさつした。
 コンサートでは、ドボルザークの「家路」や「太陽がくれた季節」「あのすばらしい愛をもう一度」など、親しみやすく、多くの人に好れているクラシックやポピュラー14曲を演奏。会場に響き渡る美しい音色と歌声に、曲目が終わるたびに、入院患者から大きな拍手が送られていた。演奏を聴いていた患者は「入院中は生の音楽に触れるきっかけがなかなかありません。今日は心温まる手作りのコンサートに触れることができて心も体も癒されました」と感激していた。

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厚木市招待少女サッカー大会

 厚木市の女子サッカーの普及と競技力の向上を図ろうと8月12・13の両日、同市中荻尾の荻野運動公園陸上競技場で、第17回厚木市長杯争奪厚木市招待少女サッカー大会が開かれた。
 この大会は、小学6年生までの女子で構成するサッカーチームの大会で、横浜市や浜松市、小平市など、県内外から12チームを招いて開いた。宿泊を共にする2日間のリーグ戦で、指導者や保護者、選手らの交流と親睦を図り、友情の輪を広げることも目的としている。
 厚木市からは唯一の女子サッカーチーム「FC厚木ガールズ(植竹和生代表)」が参加。1試合目、対福田FCLさくら(大和市)に4対0で快勝した=写真。 
 当日は厳しい暑さの中、どの試合も熱戦が繰り広げられ、スタンドからは応援に訪れた家族や友人から、元気あふれるプレーに大きな声援が飛び交っていた。FC厚木のキャプテン・石井佳帆さん(6年)は「緊張したけどみんないい動きでたくさん点がとれた」と笑顔で話していた。

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職人から学ぶ「夏休み親子技能教室」

 工作を通じて職人の技術にふれる「親子技能教室」が8月20日、厚木市勤労福祉センターで開かれた=写真。教室は木工、板金のコースに分かれ、市技能職団体の職人15人が工作技術の指導を行って作品を完成させるもので、10年前から毎年行われている。
 当日は2コースに合計17組・69人の親子が参加した。木工コースでは、座ることができる箱「チェアーボックス」作りが行われ、子どもたちは父母と一緒に楽しそうに工作に取り組んだ。また、銅板に絵を描く銅刻や表札作りの板金コースでは、子ども達が思い思いにデザインしたイラストや文字を金づちと釘を使い、汗だくになりながら打刻していた。チェアーボックス作りに参加した2年生の児童は「家でおもちゃ入れに使う」と出来栄えを喜んでいた。

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子育てサロン 依知中学生22人が育児に挑戦

 厚木市立依知中学校(平井広校長、生徒数334人)で8月23日、「子育てサロン」が開催され、生徒22人が育児を体験した=写真。
 子育てサロンは、依知南地区地域福祉推進協議会(小宮和子会長)が児童館を会場に毎月開いているもので、年1回は地区内にある同校を会場に中学生が乳幼児親子との交流を通じ、命の大切さや子育てについて学んでいる。 
 当日は、15組42名の親子連れが来場した。参加者は畳敷きの柔剣道場で、手話を使いながら童謡「海」を歌ったり、ビンゴゲームを楽しんだりして触れ合った。生徒は慣れない乳幼児とのゲームや触れ合いに戸惑いながらも、楽しそうに子育てを体験した。
 中学3年生の男子生徒は、「兄弟がいないので、小さい子どもと遊ぶ機会がなかった。自分が小さいころのことを思い出しながら、子どもたちと楽しく過ごすことができた」と話していた。 

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飼い主責任の所在など明確化 厚木市が10月1日から動物マイクロチップ装着助成事業

 厚木市は犬猫などの動物の飼い主を明確にするとともに、迷子のときの身元確認や災害時における救護活動の円滑化を図るため、「動物マイクロチップ装着費等助成事業」を10月1日よりスタートさせる。
 マイクロチップを装着することで、動物の飼い主責任の所在を明らかにできるほか、動物愛護と動物による危害や迷惑防止に有効で、災害時においては飼い主の特定が容易になることから、救護活動の円滑化が期待できる。
 対象となるのは、犬、猫、その他の動物を飼育している厚木市在住の市民で、犬猫については市に登録していること、特定動物の場合は県の許可を受けていることが条件となる。助成金は3000円で、市では平成18年度は1600頭分の予算として交付金、印刷製本費、備品購入費など600万円を計上した。
 助成の申請は、飼主が市の窓口で「動物マイクロチップ装着費等助成交付金」申請書に記入して申請すると、「申請書の写し」が交付される。それを持ってマイクロチップ装着費用に関する協定をしている動物病院に提出すると、当該動物にマイクロチップを装着してもらえる。
 平成18年8月1日現在の犬猫登録数は犬1万3000頭、猫1万4000頭。
県下19市で、マイクロチップ装着助成事業を実施するのは厚木市が初めて。

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