第657号(2005.03.15)

.

西山を守る会が住民訴訟

記者会見する原告団(立っているのが花上団長・3月4日)

市道廃止付け替えは違法 「採石は尾根道残してなされるべき」と声明文発表

 厚木市が行政財産である市道(I−705上荻野字用野華厳線ほか6市道)を廃止して普通財産にしたうえで、その道路敷き部分の土地を採石業者の土地と交換契約して引き渡した行為は違法である―として西山を守る会(花上義晴代表)は3月4日、厚木市長を相手取り横浜地裁に住民訴訟(通称・東丹沢西山尾根道裁判)を起こした。
                    ◇
 訴状によると、市が廃止した尾根道及びそれに至る山道は、多数の市民、近隣の人々によって現在に至るまで親しまれてきた道であるから、市道廃止処分には全く理由がなく、「都道府県知事又は市町村長は、都道府県道又は市町村道について、一般交通の用に供する必要がなくなったと認める場合において、当該路線の全部又は一部を廃止することができる」とする道路法10条1項に定められている規定に反するもので違法であるとしている。
 また、土地交換契約によって厚木市が取得した土地は「公用又は公共用に供する」目的を有しないから、市条例の交換要件には該当しないとして、「厚木市としては如何なる意味でも本件土地交換契約の必要性はなかったもので、この契約は市条例に反して違法である」としている。
 そしてさらに、土地交換契約を行うに当たっては、自治体に損害が生じないよう慎重に審査し、取引額の鑑定評価がなされるのが通常であるが、このような鑑定評価をなさずに土地交換契約を締結したことは、市条例違反にとどまらず、適正な対価であることの確認をしないで財産の処分をしたもので、地方自治法237条2項に反し、かつ地方財政法4条1項の趣旨にも反するとしている。
                    ◇
 守る会は昨年12月6日、冒頭の理由により住民監査請求を行ったが、2月4日、監査委員から「請求には理由がない」として棄却された。この日の住民訴訟はこれを受けて行ったもので、記者会見した原告団の花上団長は、「監査委員の回答は市民の利益を守り、市民福祉の増進を図るという本来の役割を少しも果たしていない」として、「21名の原告団を結成、梶山正三弁護士を訴訟代理人として住民訴訟の提訴を行った」と提訴の理由を述べた。
 そして、「採石事業は尾根道が残っていても可能であり、業者の採石計画に便宜を図ることになる尾根道を廃止しなければならない理由はないというのが私たちの素朴な疑問だ。現在の採石は尾根道を残して行われており、荻野側の採石も尾根道を残して行われるべきである。にもかかわらず行政はこのことに一顧もせず、企業の利益を擁護することに終始している。このようなやり方を座視するならば、自然環境破壊が止むことはない。西山の自然環境を次代の人々に引き継ぐのは私たちの責務であり、訴訟を起こし今後も西山を守る活動を続けていく」とする声明を発表した。
 市は「訴状を見ていないのでコメントは差し控えたい」とする山口市長のコメントを出した。

.

携帯電話で入場 厚木市が電子チケット配信
 厚木市はこのほど、紙のチケットの代わりに2次元コードを利用した電子チケットを携帯電話の画面に表示させ、文化会館で行われる演劇やコンサートなどの公演に入場できる「2次元コードによる電子チケット」の配信を始めた。
 同市ではすでにインターネットを利用した「マイタウンクラブ」のサービスの1つとしてインターネットによるチケット予約サービスを行っているが、電子チケットはマイタウンクラブの新たな機能として追加するもので、大容量の情報コード「2次元コード」を活用して、パソコンや携帯電話などのインターネットからチケットを予約する際に、受け取り方法で2次元コードを選択して、銀行振り込みなどで代金の入金が確認されると、携帯電話から2次元コードをダウンロードすることができる。公演日に携帯電話に保存された電子チケットを呼び出して、会場入口の専用読みとり機で認証を行うことにより、スムーズに入場ができる。
 携帯電話に保存しているので、紛失やチケット忘れの心配がない、紙のチケットと異なってチケットの郵送料がかからない、国内の携帯電話全機種に対応できる、公演当日までに会場やチケット売り場に足を運ぶ必要がなく、いつでもどこでも気軽にチケット予約が可能となる\\などのメリットがある。
 厚木市文化振興財団が指定する公演が対象で、同市では3月13日から発売中の劇団扉座公演「語り継ぐ者たち〜清水次郎長伝・異聞」からこの電子チケットの導入を始めた。2次元コードを使った電子チケットの配信は、民間ではすでに導入されているが、自治体では厚木市が全国初の試みだ。マイタウンクラブのhttp://www.mytownclub.com/

.

ななさわ森の学校で豆腐づくり
  3月1日、厚木市七沢の七沢自然教室で、「第5回ななさわ森の学校」が開かれ、応募のあった市民13人が参加した。
 講座は市民が充実した余暇を過ごし、心豊かな生活が出来るようにと開設されたもので、今年で5回目。午前中は三橋豆腐店の三橋光男さんが講師となって豆腐の作り方を指導、大豆の種類や凝固剤の話など、普段知り得ない貴重な話を披露した後、参加者がそれぞれ豆腐づくりに挑戦した=写真。
 豆腐を口にして大豆の香りが広がると、おいしさもひとしお、参加者は自分の作った豆腐に満足していた。
 午後は、シイタケの原木へのコマ打ち込みを行った。シイタケが姿を現すのは翌年の秋頃になるが、参加者は「手づくりのしいたけを見るのが楽しみです」と打ち込みに励んでいた。
  また、「この地域ならではの講座で大変良かった」「豆腐もシイタケもお店に行けば簡単に手に入るものですが、興味を持って手作りしてみると、そこで感じられる楽しさや嬉しさは何ものにも代え難いですね」と満足そうだった。次回も4月16日に、自然教室で開かれる。

.

親子ふれあい宿泊体験
 2月26、27の両日、厚木市立七沢自然教室で「第6回親子ふれあい宿泊体験教室」が開かれ、応募のあった市内在住の親子4家族18人が参加した。
 この教室は宿泊体験を通して、親子のふれあい、また他の家族とのふれあいを深めるとともに、自主性や協調性を学ぶのが目的で年6回実施されている。
 初日は時折小雪の舞う肌寒い空模様だったが、親子で協力して、屋外で1斗缶を使ったピザやポットパイづくりを行った=写真。冬晴れの好天に恵まれた2日目は、カントリー雑貨作りを行い、杉板や木の枝をベースに、参加者がそれぞれ思い思いのオリジナリティあふれる壁掛けやペン立てなどの作品を完成させた。
 当日は、初参加の方が多かったが、参加者からは「家庭では味わえない体験ができた」「手軽にポットパイやピザが作れ、良い機会であった」「次回も参加したい」などの声も聞かれた。

.

桂文也さん招いて男女共同参画講座
 2月26日、厚木市パートナーセンターで、「男女共同参画講座」が開かれ、落語家の桂文也さんが、「笑って、感じて、気づいて、変わる」をテーマに講演、桂さんのユーモアたっぷりの講座に会場は大きな笑いに包まれた=写真。
 講座は、男女共同参画に対する正しい理解と認識を深め、行動を推進するための意識啓発を図ろうと厚木市が主催したもので、およそ100人の参加者が 桂さんの話に熱心に耳を傾けた。
 桂さんは男女共同参画やジェンダー問題などの講演活動を行っている落語家。約1時間半にわたって妻と夫、親と子、人と人のふれあいや機微、日本的な男女の意識の矛盾などを身近な例と巧みな話術で面白可笑しく話していた。
 森の里から参加した主婦は、「今まで当たり前だと思っていた男女の意識の持ち方が違うことに気がつきました。今日ここで学んだことを家族にも伝え、みんなで意識改革をしてよりよい生活をしていきたいと思います」と話していた。

.

4金融機関が新入学児童に黄色いワッペンを寄贈
 3月9日、みずほ銀行厚木支店、損害保険ジャパン厚木総合支社、明治安田生命保険厚木営業支社、第一生命保険厚木支社の代表4人が、厚木市役所を訪れ、山口市長に平成17年度に新入学を迎える児童にと、「黄色いワッペン」を贈った=写真
 この黄色いワッペンは、昭和40年に我が子を交通事故で失った母親が、総理大臣に交通事故の撲滅を訴えた新聞記事がきっかけとなり、毎年全国の新入学児童を対象に贈呈されており、今年で41回目となる。現在はみずほ銀行、損害保険ジャパン、明治安田生命保険、第一生命保険の4社によって実施されている。
 
 贈呈に際し、みずほ銀行の山田支店長は、「新入学児童が交通事故に遭わないよう願っています」と述べ、今年度の入学予定者2165枚分のワッペンを手渡した。ワッペンには万が一に備え、1年間の「交通事故傷害保険」が付けられている。ワッペンはとうもろこしの澱粉から作ったプラスチックシートが使用され、土の中で自然に分解される環境に優しい素材となっている。
 なお、黄色いワッペンは、4月5日に行われる入学式で新入学児童に配布される予定。

.

オーケストラを聴こう 南毛利公民館まつり
 2月26日、厚木市立南毛利公民館が主催する「公民館まつり・前日祭」で、厚木市を本拠地とするオーケストラ「厚木交響楽団の特別演奏会」が開かれた。
 公民館まつりは公民館活動の集大成として市内の14地区で開催しており、南毛利地区では本番前日に地域の演奏家を招くなど、特色あるステージを企画して、毎年地域のふれあいを図っている。
 今年のプログラムは、地域の幼稚園、保育所の子どもたちの歌や踊り、ハーモニカサークルの演奏、地域の愛好家によるマジックショーなどに加え、オーケストラの特別演奏が組まれた。
 この日の目玉として出演した厚木交響楽団は、指揮者に田久保裕一さんを招いて、団員50人の本格的な編成。演奏はステージから迫り出してパートを組み、ベートーベンの交響曲第5番「運命」第1楽章をはじめ、ビゼーの「カルメン前奏曲」、韓流ブームの火付けとなった「冬のソナタ」などクラシックからポピュラー音楽など8曲を披露、会場を埋めた300人あまりの観客は、曲が終わるたびに大きな拍手を送っていた=写真。
 来場者は「いつも活動しているこの体育館が、まるでコンサートホールのようで、演奏の迫力にびっくりしました」「公民館でオーケストラの生演奏が聴けるとは思いませんでした」と感動気味にしていた。
 厚木交響楽団の神崎和夫団長は、「地元のオーケストラとして、クラシック音楽をより身近に感じてもらえるよい機会になりました。こうした演奏会でファンを増やしていきたい」と話していた。

.

丹沢山頂に山岳公衆トイレオープン 利用ペーパーの持ち帰り呼びかけ
 県立自然環境保全センターでは、山のオーバーユース(過剰利用や人の利用が多いことで自然への負荷が発生している状態)対策として、丹沢大山国定公園の丹沢山頂(標高1,567メートル)に、土壌処理循環式方式による山岳公衆トイレを整備した=写真。
 丹沢大山国定公園および県立自然公園は、豊かな自然が残り、首都圏近郊に位置することから多くの登山者が訪れている。その一方で、登山者の排出するし尿が山の持つ自然浄化能力を超え、土壌や水質を汚染するオーバーユースの状態に陥っていることが大きな問題となっている。
 同センターでは、し尿対策として稜線部の利用が多い公園歩道沿いに公衆トイレの整備を進め、平成13年度から15年度にかけて塔ノ岳山頂、檜洞丸山頂付近、鍋割山頂に設置してきた。平成16年度は丹沢山頂に新設、2月から供用を開始した。
 トイレは約15平方メートルの軽量鉄骨木造構造で、便器は男女共2穴。閉鎖された処理槽内において土壌中の微生物の力でし尿を分解・浄化して、その処理水をトイレの洗浄に再利用する土壌処理循環方式を採用している。自然環境に負荷を与えず電気や上下水などを必要としないのが特徴だ。このため、同センターでは利用者に使用済みのトイレットペーパーを含めたごみの持ち帰りを呼びかけている。

.