第644号(2004.09.01)

大山へのロープウエー計画  環境団体が 市長に見直し求め要望書提出  
 厚木市が国の認可を受けた地域再生計画に組み込まれている大山山頂へのロープウエー建設計画は、環境破壊が大きいとして、日本野鳥の会神奈川支部と丹沢ブナ党、県自然保護協会の3つの環境保護団体が、山口市長に計画の白紙撤回と見直しを求める要望書を提出していることが分かった。
 同市がまとめた地域再生計画は、エコツーリズムによる自然学習の拠点整備で、温泉地として知られる七沢地区の観光再生をはかるため、同地域に地場産品を提供する「ふるさと食文化村」や学芸員とともに自ら体験し行動力と知的探求心を満たす「ふるさと自然文化村」を建設するほか、不動尻にある県立キャンプ場から大山山頂までの約2・7キロ、標高差800メートルにロープウエーを設置、60人乗りのゴンドラを運行させて片道9分で結ぶという構想だ。
 山口市長は「子どもからお年寄りまで、歩いて山頂に登れない人にも豊かな自然を堪能してもらいたい。バリアフリー的な感覚で発想した」(7・27朝日新聞)と述べている。
 建設費は約8億円。発着駅となる不動尻には車イスで利用できる休憩施設なども整備、本厚木駅から広沢寺温泉までは片道11分で結ぶ30人乗りのシャトルバスの運行を想定している。 6月21日、地域振興策を国が支援する「地域再生事業」(厚木市が国に提出した地域再生計画は首相官邸のホームページに収録されています)として、今回申請した全国214の地方自治体の計画と共に国の認定を受けた。総事業費は約15億円と試算している。
 この計画に対して、環境保護団体である日本野鳥の会神奈川支部(鈴木茂也支部長・会員数3,000人)、「丹沢ブナ党」(梶谷敏夫代表・会員数130人)、県自然保護協会の3団体が、「環境への認識と開発計画に論理矛盾のある典型的な自然破壊行為だ」として、個別に計画の白紙撤回と見直しを求める要求書を8月中旬、山口市長に提出した。
 丹沢ブナ党が提出した「ロープウェー設置計画の白紙撤回を求める」要求書によると、市は計画予定地がブナやモミなどの自然林やカモシカ、ツキノワグマなど貴重な動植物の生態系をなしていると認識していながら、その一方でロープウエーを架けるという典型的な自然破壊行為である事業がなんら躊躇することなく提案されていることは、論理矛盾もはなはだしく決して許されるものではないと指摘、計画自体が粗雑で粗っぽく性急に作られた内容だと批判している。 
 また、エコツーリズムとは、対象となる地域の生態系としての自然環境や生活、文化を損なわずに行う観光で、今、現在生きている人間が、恣意的に自然生態系を破壊することではない。江戸の昔から大山講が隆盛を極め、さまざまな文化を育んできた大山は、1人厚木市だけのものではなく県民や国民共有の財産である。この貴重な財産を活かし、損なわずにその恵みを受けようとすることが、そもそものエコツーリズムであると市の認識不足を指摘している。
 さらに、「バリアフリーとは、高齢者や障害者が社会参加する上で、障害となるものを除去し、自由に社会参加できる歩行環境を整えるという概念で、自然環境を破壊してまでどこでも自由気ままに動けるようにしようということではない」と批判、計画を白紙撤回し、市民の声を聞きながら早急に地域再生計画を見直すよう求めている。
 市のまちづくり計画課では、これらの団体に回答文を出す準備をしているが、「直接会って話し合い、最終的にどういう形がいいか相談したい」と話している。
 国の認定を受けたことで許認可の手続きが円滑に進行することや補助金などが期待できることから、市では民間資本による計画の実現化をはかりたい考えだが、市が発案したことで行政自ら環境破壊を実践することにもつながるわけで、今後、他の環境保護団体からも、反対の声が強まることは必至と見られている。
 丹沢ブナ党では11月14日12時30分から横浜市西区の横浜市従会館で、「山は誰のものか? 大山にロープウエーはいらない」と題するシンポジウムを開く。連絡は梶谷さんへ。TEL:045・563・3953番。

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  大気イオン濃度観測点 神奈川工科大に新設 広域地震予測の実現目指す
 大地震の前、大気中のイオン濃度が上昇する現象を見せることから、NPO法人大気イオン地震予測研究会(弘原海清理事長=大阪市立大学名居教授)では、このほど国内で1カ所だったイオン濃度の測定点を全国規模に拡大することを目ざし、岡山市、川西市、松本市につづいてこのほど厚木市下荻野の神奈川工科大学工学部機械工学科矢田研究室と、兵庫県南淡町に観測点を設置した。今後測定器の試験運用を行った後、正式に測定を開始する。
 大規模な地震の前に大気中のイオン濃度が通常の5倍以上に上昇する現象は、2000年の鳥取県西部地震では3カ月前に普段の約10倍、2001年の芸予地震では1週間前に約3倍の濃度が記録されている。
 岡山理科大学ではこの現象に着目して、97年大学内に地震危険予知プロジェクトを発足させ、「環境大気イオン濃度変化による地震危険予知の試行実験」を7年間にわたって続けてきた。この活動を市民参加により全国規模で展開するため、今年の4月特定非営利活動法人(NPO)大気イオン地震予測研究会「e-PISCO」を設立、同時に大気中のイオン濃度を測定する小型で高精度。低コストの測定器=
写真=を開発することに成功した。
 これまで大気イオン濃度の計測は岡山のみで行われていたため、半径300キロ以内の単一周辺の広がりのみで、広域・面的な確認が困難であった。この問題を解決するには、約100キロ間隔の測定点を網目状に配置するのが望ましく、同研究会では今後、各都道府県ごとに2カ所、全国で100カ所程度を目標に設置したい考えだ。
 測定器のデータは秒速にインターネット経由で情報拠点まで自動送信される。この多地点計測データを用いて、地震の規模、発生場所、発生時間を推定する手法をプログラム化する。
 今回測定器が設置された神奈川工科大学矢田直之研究室は、地球環境に優しいフロンの熱物性の測定、岩盤の地電位変動に基づく地震前兆現象の把握、ナマズと地震との定量的な関係についての調査、太陽エネルギーの有効活用、超臨界流体を用いたペットボトルの分解に関する研究などで知られている。 

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軍浦・網走両市と厚木市が友好都市締結へ 来年2月の市制50周年記念式典で調印式

網走の流氷まつり

軍浦市役所前の市街地
 厚木市は来年2月の市制50周年記念事業の一環として新規友好都を締結するため対象都市の調査を進めていたが、このほどその概要をまとめ8月10日の市議会全員協議会で報告した。締結を予定しているのは韓国の軍浦市(くんぽし)と北海道東部の網走市。
 軍浦市と厚木市は、数年前からサッカーを通じて青少年交流が活発で、昨年6月軍浦市長と市議会議員が厚木市を表敬訪問、今年4月、山口市長が答礼の意味を含め軍浦市を訪問した。同市は首都ソウルの南約23キロに位置する人口27万3千の都市。高速道路3カ所、国道と電鉄がそれぞれ2カ所ずつ市内を貫通するなど交通の要衝で、産業、経済、文化の自立型都市としてめざましい発展を遂げている。
 豊かな自然環境と都市機能が調和する一方で文化や伝統を大切にし、つつじ公園など花や緑豊かな都市として知られ、教育面では総合大学1校、高等学校7校、小中学校が29校あり、高水準の教育環境が整っている。厚木市とは子どもからお年寄りまで市民相互の交流を基本に、高齢者のゲートボール大会などを開きたいという希望が出されている。
 網走市は東京農大厚木キャンパスと網走のオホーツクキャンパスとの交流が活発に行われていることから、厚木市と網走市との友好交流について要請があり、5月に山口市長が同市を訪問、今後の交流について協議した。網走市は人口4万1千人。北海道の東部、オホーツク沿岸に位置した農業、漁業、観光のまちで、毛ガニ、ホタテ、サケ、ホッケなど海産物の漁獲量は年間5万2千トンを数える。観光面では冬の風物詩として知られる流氷観光船、流氷まつりのほか、9月から11月にかけて開かれる「網走感動朝市」など訪れる観光客は年間190万人を超える。厚木市とは物産、観光を基本とした友好交流を希望している。
 厚木市では8月に行われた鮎まつりに両市の市長を招き、花火大会の見物や朝市などを案内、今後の交流について協議した。来年2月に行われる市制50周年記念式典で締結式が行われる予定だ。
 同市では10月に網走市、11月に軍浦市へ公募による「市民訪問団」を派遣して仮調印式を行う。

  

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マイタウンクラブ10月からスタート 9月1日より利用者登録を受付

公共施設の利用、講座・イベントの申し込みがインターネットで簡単にできる

 ITのまちづくりを進めている厚木市では、スポーツ施設や公民館などの公共施設の予約、講座、イベントの申し込みなどがインターネットから簡単にできるサービス「マイタウンクラブ」を10月1日からスタートさせるが、このほどシステム稼働の準備が整い、9月1日から利用者の登録受付を開始する。
 提供するサービスは市立公民館、総合福祉センターなど市内の公共施設や厚木市、愛川町、清川村のスポーツ施設の空き状況や予約の申し込み、市が実施する講座やイベントの閲覧や参加申し込み、また、サークルやボランティア団体、地域で活動している指導者などに関する情報提供なども行う。
 利用者は公共施設の窓口で利用者登録をする必要があり、登録すると個人用(大人・小人)、団体用のマイタウンパスポート(利用者カード)が発行される。スポーツ施設の予約や講座、イベントの申し込みは個人用、公民館の利用、サークル活動の公開なら団体登録になる。
 このマイタウンクラブは、利用者登録の統合により、1回の登録で複数の行政サービスが受けられるほか、個人用パスポートは平成17年6月1日から中央図書館や公民館図書室の利用者カードとしても利用できる。24時間稼働で携帯電話3社対応によりいつでもどこでも利用でき、システムの共同利用により厚木、愛川、清川の3市町村のスポーツ施設予約に対応できる。また、携帯電話の液晶画面に表示した二次元コードをカードの代わりにも利用できるなどが特徴だ。さらにイベントの紙チケットの代わりになる「電子チケット発行システム」も導入するという。
 市ではタッチパネル式のパソコン街頭型端末「マイタウンナビ」を市内の公共施設50施設に72台設置し、画面にふれるだけの操作でマイタウンクラブのサービスを利用できるほか、一般のホームページも閲覧できるサービスを開始する。
 パスポートは市役所や公民館などの公共施設で登録できる。個人登録は運転免許証、健康保険証など本人を確認できるものが必要(中学生以下の方は不要)、団体登録は利用する施設の窓口で登録を行う。問い合わせは情報政策課TEL:225・2459番。

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屋久島を描く日高米光さん  9月1日からギャラリー悠で個展
 屋久島を描く洋画家として知られる厚木市愛名に住む日高米光さん(57)が、9月1日から本厚木駅南口のギャラリー悠で、2回目の個展を開く。
 日高さんは屋久島の生まれで、中学を卒業するまで屋久島で育った。子どもの時から画家志望だったが、家族から「画家では飯が食えない」と言われたため、自動車の板金塗装を始めた。今年で40年になる。
 20歳の頃から油絵を始めたが、本格的に取り組んだのは厚木に来て5〜6年が経過した10年ほど前からだ。誰にも師事せずデッサンから構成、絵の具の色使いまですべてを独学で学んだ。組織に入るのはあまり好きではないが、数年前から写実の殿堂といわれる大潮展に出品、2年前会友に推挙された。
 仕事があるため、取材旅行に出かけるのはいつも夏休みと冬休みだと言う。1週間ほどあちこちスケッチに出かけるが、やはり屋久島は自分が生まれ育ったところでもあるため、人一倍入れ込みが強い。
 「僕の描く絵はふるさとの応援歌です」と語る日高さん。「世界遺産に指定されている屋久島は、森のコケが素晴らしくいつも圧倒される。その雰囲気を出すのが難しい」とも言う。森は日の当たらない暗いイメージがあるが、日高さんは絵の具の濃淡を巧みに使って朝の森を描くのが得意だ。
 「車の塗装を長く続けてきたお陰で、色の感覚についてはずいぶんと役に立った」と語る日高さん。そのため日高さんの描く屋久島の森はどれも明るい。
 個展では100号の大作「屋久島の森」のほか、「屋久島のすわぶき」など屋久島の風景画15点のほか、霧島つつじ、熊本人吉の里、佐多岬の朝日、富士山、昇仙峡、黒部上流、熊本のレンゲ草など6号から8号クラスを主に30点あまりを展示する。今回は額縁の色も作品に合わせすべてを自分で塗装した。
 「心から安らいでもらえる癒しの絵を描きたい」と語る日高さん。「ギャラリーの皆さんに、森の生命感や太古の空気を感じ取っていただければうれしい」と話している。9月7日まで。■ギャラリー悠。TEL:229・5322番。

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揚州の子どもたちと国際交流 妻田小の児童
 厚木市の友好都市・中国揚州市の日本語学校の子どもたち8人が、8月18日から25日まで市内の家庭にホームステイしながら日本の言葉や文化について学んだが、8月20日、市立妻田小学校(井上太一校長・児童数717人)を訪れ、児童約40人と保護者10人の出迎えを受け、交流を深めた。
 午前9時体育館で行われた歓迎会では、妻田小の児童が「ソーラン節」の踊りを披露したり、中国の子どもたちが日本語で「春が来た」など日本の歌を歌って親睦を深め、学校プールで水泳や水遊びなどを行った。
 
 質問コーナーの時間では、妻田小の児童が「勉強はどのぐらいしますか」「漢字は何字ぐらい覚えますか」の質問に、「学校の授業を含めて10時間ぐらい勉強します」「3千字ぐらいだと思います」の答えに、みんな驚いていた=写真。
 揚州市の子どもたちは厚木市の印象について聞かれ、「車が多い」「ビルが高い」「みんな親切」などと答えていた。
 揚州市日本語学校の厚木市訪問は、10年前に始まり、昨年はサーズ騒ぎで中止となったが、今年で9回目。ホームステイ先は毎年市内の小学生サッカークラブ「ゴールプランダーズ」の家庭で受け入れてい
る。

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   オリンピック記念して早朝ウォーキング  依知北地区
 8月14日早朝、依知北地区でアテネオリンピックの開会を記念して,住民参加の早朝ウォーキング大会が開かれた=写真。
 依知北公民館が、オリンピックを記念して健康意識を高めようと実施したもので、夫婦や友達同士が連れ添い約50人が参加した。
 基本のAコースは4.2195キロ、Bコースはこの3倍の12.7キロで、いずれも依知北地区内を回遊するコース。
 早朝6時30分に集まった参加者を前に、甘利明彦館長が「遠くアテネにいる選手を応援する意味を含めて無理せず、仲良く、楽しく歩きましょう」とあいさつ、午前7時依知北地区自治会連絡協議会の齋藤辰雄会長のピストルの合図で出発した。
 参加者は太陽の光を背に受け、「今日も暑くなりそうね」「アテネも暑いだろうな」などと会話しながら、ウォーキングを楽しんでいた。

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あつぎ河川ふれあいまつりに5千人
 8月21・22の両日、相模川、中津川、小鮎川の三川合流地点で、「第8回あつぎ河川ふれあいまつり」が開かれ、夏休みということもあって家族連れなど5000人を超える市民で賑わった。
 河川ふれあいまつりは、川に住む生物とのふれあいや漁業など、川にまつわる文化や歴史を体験するとともに、水資源に対する関心を深めるため毎年厚木市が開いているもので、相模川総合整備事務所など25機関が協力した。
 河川敷の会場には、鮎のつかみどり=写真=、伝統漁法の紹介、ミニ水族館、手作り工房、川の底生動物採取・観察、ステージ演奏、踊り、さらに河川や水環境に関するパネルなども展示され、子どもから大人まで楽しめる20のコーナーが設置された。
 親子連れなどで会場を訪れた人たちは、コーナーを回り、楽しみながら水環境の理解を深めていた。中でも魚の紙粘土細工ができる「手作り工房」の体験コーナーでは、夏休みの宿題に役立てようと、真剣なまなざしで取り組む子どもたちの姿が見られた。

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9月12日市民音楽祭 ミュージカルなど上演
 厚木市内から公募した青少年が出演するミュージカルなどを上演する平成16年度の「市民音楽祭」が、9月12日15時より市文化会館大ホールで開かれる。
 第1部はミュージカルコラボレーションで、ハーモニカの演奏とミュジカルが競演する「彼女と太陽とひまわりと\ハーモニカとの約束」。 
 物語は夏休みにハーモニカの練習を始めた主人公ヨワタが、思いがけずおじいちゃんの秘密を知ることになり、ハーモニカの生演奏による戦後の名曲「青い山脈」「りんごの歌」などに載せて、おじいちゃの秘密が解き明かされていくというあらすじ。
 キャストは公募の小中学生45人と一般3人を合わせた48人。製作総指揮・音楽監督は演劇連名あつぎテアトロ代表の下河原信也さんで、製作脚本を産能大学4年の小瀬村宏紀さん、そしてハーモニカの総監督を日本のハーモニカ指導の第一人者岩崎重昭さんがつとめる。出演者とスタッフは現在、最後の練習=写真=に余念がなく、このミュージカルコラボレーションをぜひ成功させたいと張り切っている。
 第2部は、気がやさしくて芸も上手だった像のトンキーが、戦争のために殺されなければならなかったという土家由岐雄作の「かわいそうな像」を音楽童話にしたもの。バリトン、テノール、ソプラノのプロの音楽家による演奏のアンサンブルに東名中学校の生徒たちが合唱出演する。入場は無料。定員1,200人。問い合わせはTEL:225・2510番。

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森の里に野ザル出没 住民に被害
 8月18日午後5時頃、厚木市森の里4丁目の主婦が、小学校3年生の子どもと犬を連れて散歩中、森の里1丁目付近の茂みから飛び出したサルと遭遇し、威嚇された犬を主婦が抱えた際、サルが子どもにぶつかり耳の後ろに軽い打撲傷を負わせた。また、付近を自転車を引いて通りかかった幼稚園児にも飛びかかり、頭部と膝に軽い傷を負わせた。
 このサルは8月9日頃から森の里に出没し、民家に侵入して家屋内にあったトウモロコシやサツマイモを狙うなど、最近では3回も侵入被害にあった民家もある。サルは単独で行動していることから、県や厚木市ではハナレザルではないかと見ている。
 市では被害の拡大を防ぐため、出没地域へ広報車で呼びかけを行うほか、関係自治会に対してサルに遭遇した場合の注意などを書いたビラを配布、捕獲を含めた対応策を検討している。

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