第641号(2004.07.15)

西山を守る会がオオタカ発見・確認

地雷・貧困・エイズ・人身売買 カンボジアの子どもたちの戦後紹介 写真家の藤井秀樹さん  

カンボジアの孤児を抱く藤井秀樹さん

 

刊行された「カンボジアと子どもたちの戦後」

貧しくても笑顔

 厚木市飯山に住む写真家・藤井秀樹さん(69)が、このほど内戦後のカンボジアの子どもたちの生活を写真と随筆にまとめた『カンボジアと子どもたちの戦後】(丹精社)を出版した。
 地雷、貧困、エイズ、人身売買……、藤井さんが5年間にわたってカメラを通してみた カンボジアの子どもたちの過酷な姿が紹介されている。
 そこには地雷によって瀕死の重傷を負った子ども、マラリア熱に侵された子ども、エイズウィルスに感染した子ども、生まれつき障害を持って生まれた子どもたちがいた。
 女性専科で有名なコマーシャルフォトの大御所・藤井さんがカンボジアに通うにようになったのは、ニューヨークで活躍する日本人写真家・井津建郎さんが、カンボジアの子どもたちを救うために小児病院を建設するという新聞記事を読んだのがきっかけだった。井津さんは「フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダー」(国境なき友人)というNGOを立ち上げ、99年2月私財を投じてカンボジアのシュムレアップ市に「アンコール小児病院」をオープンさせた。
 同じ写真家としてコマーシャルフォトの世界に浸っていた藤井さんは、この話に衝撃を受けた。井津さんに会って共感した藤井さんは、資金調達を呼びかけるかたわら、小児病院の取材を開始するため99年1月、初めてカンボジアを訪れた。観光地はどこも物売りの子どもたちであふれ、街のマーケットには物乞いの子どもたちがさ迷い歩いていた。
「この国の子どもたちに明るい未来はあるのだろうか。カンボジアという国はなんて悲しい国なんだろう」 
 強烈な現実を目の当たりにして、藤井さんはどうしようもないやるせなさを感じ、子どもたちにカメラを向けることさえ もできなかった。
「この国は自分には合わない、早く日本に帰りたい」 
 それが藤井さんの最初の感想であった。だが、藤井さんの心をとらえて離さないものがあった。それは子どもたちの輝くような笑顔、澄み切った瞳だった。戦後の混乱と食糧難を体験した藤井さんは、そこに貧しい時代の自分、日本が失った心の豊かさのようなものを感じたという。
「カンボジアには自分が幼かった頃の戦後の光景がある。 そこには内戦で疲弊したカンボジアの姿と、戦争は終わったが戦後のきびしい現実と必死になって闘いながら生きようとする子どもたちの姿がある。その姿を見ると、決して他人事のようには思えない」
 藤井さんのカンボジア通いが始まった。藤井さんはカンボジアに行くたびに、お米やミルクをたずさえて現地入りする。学用品なども持参する。そして撮影した小児病院の子どもたちの写真を、次に訪れたときにプレゼント している。
「カンボジアの孤児院に来て、子どもたちに手を引かれて街を歩いたり、一緒に遊んで欲しいとせがまれるうちに少しづつ自分が癒されていることに気がついた。そして子どもたちが少しでも普通の生活をおくれるように協力したり、小学校に通うことができるよう、いろいろなものを寄付することで、こんな私でも誰かの役に立つことができるという写真家としてではない、1人の人間としての存在意義を自分の中に見いだすことができた」
 それは 写真の世界でいくら名声を勝ち得ても、日本では味わったことのない体験だった。 00年からは藤井さんも「フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダー」の理事として、積極的な病院支援を行っている。
 藤井さんはカンボジアの子どもたちと仲良くなるたびに、彼らの持つ才能の豊かさに驚かされるという。  
「ある女の子はとても絵がうまい。南国に住む人間特有の色使いと斬新な発想力、表現力は明らかにその道の才能にあふれていることを示していた。踊りや歌がうまい子もいる。だが、彼らの才能を伸ばし育む場所が不足している。さらに子どもたちが学校を卒業して働けるような年齢になっても働く場所がない。こうした孤児たちはいわばダイヤモンドの原石 だ。孤児たちがそれぞれの特技や才能を活かして働けるようなロッジを作ってみたい」

孤児院の子どもたち。子どもたちが着ている洋服はボランティアで集めた日本の古着だ(藤井秀樹さん撮影)

カンボジアには日本にないものがある

  藤井さんはいま、仲間とともに人身売買にあった子どもたちを救う活動にも参加している。貧困に苦しむカンボジアの農村地帯で、幼い年齢にもかかわらず売春や強制労働を強いられている子どもたちを保護し、国境を越えて救ってあげようという運動である。
 「カンボジアは医療、孤児、貧困、教育、人身売買、地雷、エイズなど深刻な問題を抱えている。日本が築いてきた経済力や技術、情報、知恵はこれらの問題を解決する可能性をもっている。カンボジアには日本にないものがあり、この国の良さを知ることで、日本が失いかけている心の豊かさを取り戻して欲しい」
 そう支援を呼びかける藤井さんのカンボジア通いは、この5年間で16回を数えた。02年5月にはアンコール小児病院の子どもたちをテーマにした写真集『救いと微笑み』を出版、同月と03年11月には東京で写真展を開き、カンボジアの子どもたちへの理解と援助を呼びかけた。最近は、孤児院の子どもたちの成長が、藤井さんにとってはまるで里親であるかのように大きな楽しみの一つになっている。
「彼らが成人し社会人となり、めでたく伴侶を得たとき、その結婚式の写真をもって、カンボジアをテーマとした写真のエンディングのひとつにしたい」
  そう語る藤井さん。今回出版した単行本は、これまでの活動の中間報告だが、今後も孤児院や地雷被害者自立村の取材などを行い、機会を見て3回目の個展を開きたいと話している。
『カンボジアと子どもたちの戦後』はB6判223ページ 、一部1.600円(税別)有隣堂厚木店、内田屋書房で販売している。
※フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダー ・ジャパンの連絡先はTEL:03・5722・2381番。

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放置自転車対策 1日から女性誘導員が巡回
 厚木市は本厚木駅周辺における放置自転車対策のため、平成11年4月から民間警備会社に業務を委託して、自転車利用者を駐輪場に案内する自転車誘導業務を実施しているが、7月1日から誘導員を女性に代え、女性の立場から自転車利用者のマナーの向上と歩行者の安全で円滑な通行の確保につとめている。
 女性誘導員は通称「チャリンコエンジェルス」と呼ばれ、8人が2人1組(4組)になって、自転車放置禁止区域や区域外であっても自転車の放置が多発している場所を巡回し、市民に声をかけるとともに放置されている自転車に警告書を貼付しながら自転車の整理整頓を行なっている=写真。1日6時間の業務を月に15日間実施することになっており、特に日中は買い物客の自転車利用者が多いことから、昼間を中心に誘導業務を行っている。
  市によると放置自転車は、平成15年度で8720台の移動台数があり、引き取り率は60%。一時よりも半減したが、本厚木駅周辺では買い物客利用者の放置が依然後を絶たないという。   

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友好親善大使としてニューブリテンへ 中学生7人が事前研修
 厚木市は友好都市を締結しているアメリカ・ニューブリテン市に、この夏、中学生の「友好親善大使」7名を派遣する。7月7日、中学生一行は派遣に先立って市内温水にある湘北短期大学の協力で、オーストラリアから客員講師として来日しているリサ・レイリーさんから英会話などを学習した=写真。
 友好親善大使になった7人の中学生は、市が公募した22人の中から面接と作文審査で選ばれたもので、国際化に対応した人材を育成しようと、市が3年前より夏休みを利用して中学生を派遣している。
 一行は7月23日に日本を出発し、ニューブリテン市に6日間滞在、その間ホームスティをしながら地元の小中学生の夏期活動に参加、折り紙やそろばんなどの日本文化を紹介する。
 事前研修は7月5日から14日まで計6回行われ、アメリカの事情やホームスティの楽しみ方、厚木市とニューブリテン市などについて学んだ。この日はリサさんから日常英会話を勉強した。中学生たちはなれない英会話に戸惑いながらも、「英語での会話はとても難しい」「アメリカへ行ったら英語で厚木の良さを伝えてみたい」と早くも、親善大使に胸をふくらませていた。 

  

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「荒馬座」による和太鼓体験 小鮎小学校
 厚木市教育委員会では、市内の全小学校を対象に、児童が本物の文化、芸術などに出会い、感動を味わうとともに、体験や表現する楽しさを通して思いやりや生きる力の育成を図る「人づくり感動体験事業」を展開している。
 6月28日、小鮎小学校(小林英樹校長・児童数516人)では、5年生87人を対象に、民族歌舞団「荒馬座」を招いて和太鼓演奏を体験した=写真。
 児童たちは始めは馴れない手つきで戸惑いを見せていたが、一通りの指導を受けると、見事なバチさばきで楽しそうに和太鼓をたたき始めた。
 終了後、講師から感想を聞かれた児童たちは「初めてたたいてとても面白かった」「思ったよりも楽しかった。もっとたたいてみたい」と答えていた。荒馬座の金沢真美さんは、「今の子どもたちには健全なストレスの発散の場が必要。太鼓を思い切りたたくことの楽しさを知ってもらいたい」と話していた。
 荒馬座は「子どもたちに芸能を通して表現する力や、その喜びを仲間とともにつくりあげることによって、生きている実感を持たせ、豊かな人間関係を築く」ことを目的に、年30回ほど全国公演を行っている。

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議長に久崎氏・副は林氏  厚木愛甲環境施設組合議会
 厚木、愛川、清川の3市開始に向けて設置された厚木愛甲環境施設組合議会の第1回臨時会が6月28日、厚木市役所本庁者委員会室で開かれた=写真。
町村が平成24年の共同処理 同議会の定数は13人(厚木7人・愛川4人・清川2人)で、組合設置後各市町村の6月定例議会で選挙により選出された。この日の臨時会は条例、予算、人事案件などを付議するため、管理者が召集したもの。
 臨時会では議長に久崎教生氏、副議長に林茂氏を選出したほか、議員側から組合議会会議規則、管理者の専決事項指定の2議案、理事者側から組合情報公開条例、当初予算1億3千546万2千円、監査委員の選任などについて24議案が提出され、可決された。

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子どもたちの願い込めて七夕飾り ふれあいプラザ
 厚木市金田のふれあいプラザ1階玄関の吹き抜け部分に、7月2日から7日まで4本の七夕飾りが設置され、訪れる人たちの目を楽しませた=写真。
 七夕飾りを始めたのは平成8年からで、毎年6月下旬から施設の利用者に、用意した短冊へ願い事を書いてもらい飾りつける。今年も400余りの短冊が集まった。
 飾り付けは、ふれあいプラザ敷地内にある竹を使い、職員が色とりどりの短冊を飾り付けた。
 短冊には、「家族が毎日健康でいられますように」「プールで上手に泳げますように」「恋が実りますように」など子どもたちの思い思いの願い事が書き込まれていた。

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