第576号(2001.11.01)

歩車道の段差や点字ブロックを点検する学生や車イス利用者(10月21日・厚木市旭町で)

点検後に問題点をまとめ改善案を発表(10月21日・厚木シティプラザで)

歩道に自転車や看板バリアフリーのまちづくり目指して学生や障害者が本厚木駅周辺の道路を点検
 障害者やお年寄りが安心して暮らせるまちづくりを実現しよう―10月21日午後、市内の大学に通う学生や車椅子利用者、視覚障害者、ボランティアが、本厚木駅周辺の中心市街地の道路を点検して歩き、改善案などをまとめた。
 障害者の自立を支援している同市恩名のNPO法人「あつぎ障害者自立生活センター」(粟谷弘海代表)が、市内の障害者や福祉団体、ボランティア、大学などに呼びかけて発足した「バリアフリー・あつぎ・実行委員会」が実施したもの。市立依知中学や小鮎中学の生徒、神奈川工科大学、産能大学の学生、市身体障害者福祉協会、視覚障害者協会、市職員のほか国際ソロプチミスト厚木、厚木ベンチャークラブなどのボランティアを含めて82人が参加した。
 点検は7グループに分かれ、本厚木駅北口と南口周辺の歩道を中心に1キロのコースを約1時間にわたって点検した。各グループには車椅子や視覚障害者が同行、用意された地図と点検表に気づいたことや問題点が次々と書き込まれた。また、地図上には点検で良かった場所は青、問題のある場所は赤、検討の余地のある場所には黄色の丸いシールが貼られた。
 商店街の歩道には、店の看板が出ていたり自転車が停めてあるため、車椅子の通行をさまたげる場所があったほか、車道と歩道の段差や歩道に傾斜があって、車椅子の通行に苦労するところもあった。
 車椅子の体験をしながら参加した主婦は、「ふだん私たちには気がつかないちょとした段差が、車椅子にとっては大きな障害になることがわかりました」、また、学生も「せっかく点字ブロックがあっても、自転車やバイクが停めてあって、目の不自由な方のバリアになっている。市民の道路利用のマナーも問題です」と話していた。
 点検後は、グループごとに分かれて意見交換、問題点を整理して、改善点の提案などが行なわれた。提案の多くは歩車道の段差の解消、歩道への自転車やバイクの駐車禁止を徹底させること、視覚障害者や車椅子の利用をさまたげる商店などのはみだし看板の自粛、歩道にゴミや植木が置いてあるため歩道が狭くなっているための改善、スロープの坂が急なためゆるかやにする、信号機のない横断歩道には障害者のための誘導措置が必要―など。
 この点検結果は報告書にして、11月10日と11日に同市中町の市総合福祉センターで開かれる「しあわせライフ・フェスティバル」で展示発表される。
 あつぎ障害者自立生活センターの玉井明所長(51)は、「道路の点検は今回が初めての試み。参加した人たちは、まちの中にいかにバリアが多いか分かったと思います。また、障害者自身もまちの状況をたえず把握しておくことが大切で、点検結果は後日、行政や商店会などにも提出し、改善案などを提言していきたい。この点検は今後5年を目安に毎年実施する考えで、改善結果なども記録していきたい」と話していた。

新種の開発に成功白のアラゲキクラゲ低温下でも人工栽培が可能県自然環境保全センター研究部
 厚木市七沢の県自然環境保全センター(石田哲夫所長)で、このほど白い「アラゲキクラゲ」の開発に成功した。県内で発見された菌糸を純粋分離、栽培に成功したもので、色が白く歯ごたえがやわらかいことから、従来のキクラゲより利用が広がるものと見られ、センターでは今後、商品化のためにより優れた品種の選抜改良や栽培技術の開発につとめ、県独自の品種として農水省に種苗登録申請を行なうという。(写真左がアラゲキクラゲの新品種、右従来の品種)

 アラゲキクラゲはキクラゲ類の一種。色は黒褐色で背面には短い毛がは生え、温暖な地域に分布する。春から秋にかけて広葉樹の枯れた部分に成育する。堅いゼラチン質の歯ごたえが特徴で、八宝菜などの中華料理には欠かせない食材。特にビタミンDの含有量は、キノコ類の中ではトップクラスといわれている。日本には中国や台湾から乾燥品が輸入されているが、国内ではわずか九州地方で生産されている。
 人工栽培に成功したのは同センターの研究部。97年7月県西部の森林調査の際に、職員が白いアラゲキクラゲを発見した。 白い品種は「白化子実体」といわれ、遺伝的な要因で色素を持たない品種。70年に島根県で採取され、種苗登録された。県内でも93年に逗子市で採集例があったが、生きたまま菌糸を純粋分離して栽培に成功したのは今回が初めて。特に今回の品種は厚さが薄く歯ごたえがやわらかいことから、従来の品種にはない新しい料理法が期待できるという。
 現在、人工栽培化に向けた各種の試験が行なわれているが、従来の品種と比較して低温に強く、幅広い温度帯で栽培可能なことが分かった。同センター研究部で、夏期にビニールハウス内で培養し、シイタケ用の簡易施設で発生させたところ、空調培養との間に差はみられなかった。また、16度Cの条件下では市販品種は発生しなかったが、この白い品種は問題なく発生し、適温範囲が極めて広いことが判明したという。
 同センター研究部では、「県内産品種であることから、本県の気候風土に適した栽培特性をもっており、簡易施設を利用した自然栽培が可能。春から秋、特に他の栽培きのこの生産が減少する夏にも生産可能な品種」と話している。

6市で広域研究会が発足合併視野に戦略的な研究 10月17日、厚木、平塚、藤沢など人口20万人以上の県内6市の首長が一同に会して、将来の合併を含めた市町村の在り方について研究を行なう「都市戦略広域研究会」が発足した。メンバーは吉野稜威雄平塚市長、山本捷雄藤沢市長、小澤良明小田原市長、二宮忠夫秦野市長、土屋侯保大和市長、山口巖雄厚木市長の6氏。県の松藤保孝市町村課長もオブザーバーとして参加した。
 地方分権時代の行政の主役である市町村は、経済、環境、文化、福祉などの分野で現在の市町村の区域にとらわれず、グローバルな視点を持って広域的・主体的な政策を立案しようというもので、1社会生活圏のボーダレス化に対応したまちづくり2行政サービスのさらなるレベルアップを図る3合併を含めた市町村のあり方―などについて戦略的な研究を行なう。今後、月1回程度の会合を持ち、各市の幹部が集まって勉強会を開くが、行政運営の基盤となる財政力や人材強化の充実策についても話し合う。メンバーの中で特例市の指定を受けているのは大和、小田原、平塚の3市で、来年4月には厚木市も移行するため、合併論議が活発化しそうだ。

50万人目の入館者となった菅家さん(中央)

入館者数50万人達成宮ケ瀬ダム水とエネルギー館
 10月23日、愛川町半原の「宮ケ瀬ダム水とエネルギー館」の入館者数が50万人に達した。同館は99年11月、国土交通省関東地方整備局が、水資源の大切さを理解してもらおうと開設、ダムと人々のかかわりなどをさまざまな展示物で体験できるウォーターミュージアムで、宮ケ瀬ダム周辺振興財団が運営している。
 この日、50万人目の入館者となったのは厚木市下荻野に住む主婦菅家留美子さん(39)で、山口県から来た両親と1歳3か月の子どもの4人で来館した。セレモニーに出席した菅家さんには、湖畔を周遊している遊覧船「みやがせ21」の乗船優待券が贈られた=写真。
 菅家さんは「宮ケ瀬湖に来たのは3回目。このエネルギー館は地図で見て知ったので寄ってみました。施設が完備されていて素晴らしいですね。私が50万人目とはただただ驚きです。こんなに入場しているとは知りませんでした」と話していた。

自衛消防隊消火競技大会チームワークで自らの職場守る
 10月12日、厚木市自衛消防隊消化競技会が、同市三田の消防訓練場で行なわれ、市内の工場や大型店、ホテル、病院などの事業所で組織する自衛消防隊27チーム72人が参加した。競技は消火器操法と屋内消火栓操法の2種目。両種目とも所要時間や操法技術で得点を競った。
 各チームはこの大会に向けて、業務の合間や仕事が終わった後に訓練を積み重ねてきたもので、本番の大会ではチーム一丸となって機敏な動作を繰り返し、大声で号令をかけていた=写真。

屋内消火栓操法女子の部で、最優秀賞を獲得した厚木市農協チームの指揮者・曽根真由美さんは 「8月から2か月間、延べ20回以上の訓練を重ねてきた。チームワークも次第によくなり、楽しく練習が出来た。職場でもいざという時にこの経験を生かしたい」と話していた。

ユニークなかかしズラリ地域と学校・家庭が連携
 10月21日、厚木市立愛甲公民館(篠崎光男館長)で「かかし作り教室」が開かれ、地区内の幼児から高齢者約200人が参加した。同公民館が地区内の愛甲小、東名中、玉川中、東京農大と連携して、南毛利南地区自治会連絡協議会(石井廣好会長)の指導を受けて取り組んでもので、来年度から本格的に始まる学社融合事業の一環。
 生まれて初めて実物のかかしを見る子どもたちや、昔、実用のかかしを作ったことのあるベテランのお年寄りまでが一致協力、時流を取り入れた「千と千尋の神隠し」や「イチロー」など、個性あふれるかかし20本が完成した。
 参加した小学生は「最初はどうやって作るかぜんぜん分からなかったが、いっしょに作った人がいろいろ教えてくれたので楽しかった」また「昔から田んぼや畑に立てられていたかかしの役目が理解できた」と、感心しながら話していた。このユニークなかかしは、農大の学生たちが製作したかかしと一緒に、11月3日と4日に「愛甲公民館誕生20周年記念公民館まつり」で、公民館前の田んぼに展示される。

発足時より公衆衛生で地域医療に貢献厚木市医師会が創立100周年
 厚木市医師会(高橋正年会長)が創立100周年を迎え、10月20日午後、厚木ロイヤルパークホテルで記念式典が開かれた。同医師会は明治34年11月18日、社団法人愛甲郡医会として認可された。設立時の定款には、公衆衛生の普及と医術の進歩を目的に「伝染病予防の方法を本郡内公衆に講話する」「毎年春秋2回会合し一般医学及び公衆衛生に関する研究をなす」とあり、創立期より公衆衛生の分野で地域住民に貢献することがうたわれている。

 明治、大正、昭和を通じて結核デーや腸チフスデーには無料健康相談所や診療所を開設して巡回視察や講演を行なったほか、コレラや流行性感冒などの伝染病流行時のワクチン無料接種、関東大震災の時には、救護班や救護所を設置して、災害時の医療活動に従事した。
 昭和30年、厚木市の誕生とともに、現在の医師会となり、独自の胃ガン2次検診に取り組むほか、休日・夜間診療所を開設するなど地域医療に貢献してきた。介護保険導入後は、福祉団体と一緒に「厚木医療福祉連絡会」を発足させて、医師会立の訪問看護ステーションや居宅介護事業所を設立したほか、ケアマネージャー育成勉強会の開催、1医療機関1ホームページの開設など情報化推進事業にも取り組んでいる。
 同医師会によると、明治期には各地で医師の団体結成の動きが盛んで、設立された医師会も少なくないが、区域を変えずに100周年を迎えるのは極めて少ないという。
 記念式典では高橋正年会長が、「医療制度が変革の時期を迎えている今日、地域医療に心血を注いできた先輩たちの思いを今後も引き継いでまいりたい」とあいさつした。この後、作家の五木寛之氏を招いて「こころの風景」と題する記念講演が行なわれ、医師会員や招待者など300人が出席した。
 会場には明治34年当時の法人設立許可書をはじめ、100年の歴史を振り返る貴重な資料が展示され、出席者は熱心に見入っていた。このほか記念事業として、医師会の100年にわたる医療の変遷をまとめた「記念誌」や聴診器をアレンジしたロゴマークなども製作した。

子どもたちと一緒にランチを食べる米国人教師

米国の教育者が厚木の小学校と交流第二小で
 10月17日、米国の教育者20人が、市立厚木第二小学校(水越武校長・児童数748人)を訪問、厚木の小学生や教員との交流を深めた。一行はフルブライトメモリアル基金が招聘した米国の小・中学校や高校などの教員で、全米各地から600人の教育者が来日、そのうちの20人が厚木市を訪れた。
 この日、第二小学校を訪れた一行は、全校児童による校歌や踊りの歓迎を受け、教職員と意見を交換した後、各教室に分かれて子どもたちの授業を見学した。給食時間には、子どもたちと一緒に配膳準備を手伝い、日本式のスクールランチに舌鼓を打った。参加者の一人である米国の小学校教諭は、「とてもおいしいランチをいただいた。給食時間に見せる子どもたちの目の輝きは日本も米国も同じですね」と話していた。

秋晴れのもと熱戦少年少女球技大会
 厚木市少年少女球技大会が、10月21日市営及川球技場と東京工芸大学グラウンドで開かれ、地区予選を勝ち抜いてきた子どもたちがドッチボールとソフトボール競技に汗を流した。
 この球技大会は昭和49年に始まった伝統ある大会で、厚木市子ども会育成連絡協議会に加盟する子ども会を対象に開いている。スポーツを通じて心身の鍛練と親睦を深め、心豊かな青少年を育成するのが目的だ。参加したのは各小学校区の子ども会から予選を勝ち抜いてきたチームで、ソフトボールに18チーム、ドッジボールに28チームが参加した。この日はさわやかな秋晴れで、子どもたちは元気いっぱい声を張り上げ、各ブロックで熱戦が繰り広げられた。

大会開会式で整列する子どもたち

 優勝チームは次の通り。▽ソフトA・山の根トライアングル。▽ソフトB・森の里EBパワーズ。▽ドッジA・恩名ドッジボール。▽ドッジB・三田パイレーツ。▽ドッッジC・荻野。ドッジD・飯山SAKURA。

ゴミ収集車イメージアップ絵画の表彰式

おもちゃの病院が初登場第14回ごみと生活展
 10月21日、厚木市金田のリサイクル促進センターで「第14回ごみと生活展」が開かれ、大勢の家族連れで賑わった。市と市ごみ対策協議会が、「ごみ減らし、住みよい環境、未来のために」をテーマに開いたもので、市民にごみの減量化や資源化に対する理解と協力を得るのがねらい。
 当日は市が収集した再利用可能な粗大ゴミを希望者に提供する、粗大ゴミリサイクル市、古本販売コーナー、リサイクル自転車展示のほか、市民ふれあいマーケットなどさまざまな催しが行なわれた。また、夏休みを通じて市内の小・中学生から募集したごみ減量リサイクルポスター、標語、ごみ収集車イメージアップ絵画作品入賞者=写真=の表彰式も行なわれた。
今回、初めて設置された「おもちゃの病院コーナー」では、壊れたおもちゃを無料で修理してくれるとあって、おもちゃを持ち込む親子連れで賑わった。

わらび座 ミュージカル「龍姫」市民が応援団結成して厚木公演11月17日厚木市文化会館で
 秋田県の田沢湖芸術村劇場で、2年間のロングラン公演をし観客数12万人を記録した、わらび座のミュージカル「龍姫(たつひめ)」の厚木公演が、11月17日18時より厚木市文化会館で開かれる。わらび座の創立50周年を記念して、厚木市内の障害者やボランティア団体が「あつぎわらびっこ応援団」を結成して公演する。
 「龍姫」は、わらび座の本拠地である秋田県の神秘の湖・田沢湖に伝わる「辰子姫」伝説を素材に、ピーターパンの演出で知られる福田善之氏が作・演出を担当したオリジナルミュージカル。自然と人間の共生・愛による人間の再生を描いたこの作品は、地元秋田県の「わらび劇場」で、2年間に468ステージを記録、99年3月にはNHK衛星放送で放映されて話題となり、今年の5月より全国公演が始まった。

 昔、沼のほとりに、タツコという美しい娘がいた。風と戯れ、小鳥と語るタツコを、七郎と八郎兄弟が愛した。逞しく賢い七郎、優しいが気弱な八郎。
 山向こうのお殿様がタツコを気に入り、彼女をお館に差し出すことになった。村人たちは村の繁栄になると大喜びだが、タツコは山の中へ姿を消す。やがて追い詰められたタツコは沼に身を投げる。そのとき巨大な龍が彼女を迎えるように出現した。ある年日照りが続き、沼の底が見えるようになった。村人たちはこの沼を干しあげて田畑を増やそうとするが……。
 厚木公演では、市と教育委員会、厚木商工会議所青年部、厚木演劇鑑賞会が後援するほか、あつぎ障害者自立生活センターが協力。わらび座の舞台に共鳴した市民が集まって「あつぎわらびっこ応援団」を結成、公演成功のために活動している。団長の松田美八重さんは「自然と人間の共生を、現代に生きる私たちの心にやわらかく届ける舞台。ぜひ多くの方に見ていただきたい」と呼びかけている。 入場券は指定席4,500円、自由席3,500円。障害者・学生(高校生以下)2,500円。親子券5,500円。文化会館、厚木音協で発売中。問い合わせは090・6341・7164番(小菅)へ。
 
読者プレゼント
 わらび座ミュージカル「龍姫」に、市民かわら版読者(ペアで10名様)をご招待します。はがきに住所、氏名、年齢、職業、電話番号、市民かわら版の感想をお書きの上、〒243-0206厚木市下川入12―4市民かわら版「龍姫プレゼント係」へ申し込む。5日締切(消印有効)当選者に直接通知。

高齢化社会の備えに「ゆうゆうサポート」創刊
「高齢者が輝き、まちが輝くまちづくりを目指そう」と厚木市広報課では、このほど「ゆうゆうサポート」と題する広報紙を創刊した。紙面ではあたたかみや連帯感を全面に出して、高齢化社会への備えを市民に日頃から自覚してもらう工夫と、明るく健康的な老後を過ごすために、市民、行政、地域がどう取り組んでいくべきかを編集方針として構成している。
 名称の由来については「ゆう」とは遊ぶ心の遊、自由の由、結びつきの結、悠々自適の悠、余裕の裕、よりよい暮らしを誘う誘、力が湧く湧、友人の友などさまざまな意味が込められている。タブロイド版カラー4頁で年2回発行の予定。

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